公衆電話にコードレスホンにポケベル…「ファンシー絵みやげ」で振り返るラブ電話ブーム(2/2)

2017/6/16 12:00 山下メロ 山下メロ


■ コードレス電話機の登場

今まで家の電話は有線でしたが、それが電源とも電話線とも切り離されたコードレスホンが1988年頃から普及しはじめラブコールは一変しました。


↑初期のコードレスホン子機は大きかった。90年代初期のトレンディードラマで、とても大きな子機を使って通話していたのも懐かしい。

今では想像もつかないでしょうが、当時は家に電話するしかありませんので、親などの家族が出るということは当然のようにありました。よく「前時代あるある」として語られるこの問題も、約束の時間に電話の前で待機するなど回避策はありました。

しかし問題はそれだけではありません。各部屋に電話線を引いていて電話機を設置してない場合には、家族のいる居間で喋らなければならなかったのです。そういった状況ではラブコールも難しいでしょう。

コードレスホンがあれば、自室へ子機を持ち出せばいいし、たとえ部屋が共用でも子機を持って廊下や階段などで喋ることもできます。

■ ポケベル時代突入

ポケットベル自体は1968年からありましたが、もともとは単純な呼び出しのみでした。1990年代には小型化に加えてディスプレイの大型化やメッセージの送信まで可能になり、若者が伝達手段として使うようになりました。放課後、学校の公衆電話に列を作った人も多いのではないでしょうか。

この頃は上野などの路上で外国人が売る「10枚千円」の改造テレカ(偽造テレカ)も問題になりました。

秋元康が企画したドラマ「ポケベルが鳴らなくて」は、同名で国武万里が歌った主題歌とともにヒットしました。面識のない人とメッセージを送り合う「ベル友」というのもありましたね。


↑今もポケベルのアラームで目覚めることで有名な私は、ポケベルも収集・保護している。

1990年代のポケベルにもデジタル電話帳機能は付いているのですが、あまり数が入りませんし、CASIO データバンクなどの腕時計に記憶させることもできましたが探しづらく、やはり紙の電話帳は手放せませんでした。

■ ファンシー絵みやげの電話帳

実用性が売りのファンシー絵みやげには電話帳も多くありました。いずれも携帯しやすいミニサイズなところが特徴的です。


↑北海道と軽井沢のマグネット付アドレス帳。表面はヘアライン加工のメタリックな仕上がりになっている。


↑開くと、このように1枚の紙をジグザグに折ったものが広がる。しかしマグネットでぴったり閉じることができる。


↑三重県伊勢物語と広島県日本三景の宮島の電話帳。50音を先に選ぶとそのページが開くという高機能な電話帳である。二見浦の夫婦岩や伊勢神宮とともに「お願い神様教えて、僕っていい子?」などと書かれているが、大丈夫なのか。


↑三重県伊勢志摩の電話帳。これは……筋斗雲に如意棒では……鳥山明「ドラゴンボール」!? そしてなぜか非常にアンティーク調の電話機が描かれている。

アンティークな電話といえば、なぜかアンティークな電話モチーフのキーホルダーもありました。


↑青森県の十和田湖と下北半島のキーホルダー。なぜか八角形の中にイラストが。裏側はダイヤルの位置に丸い方位磁針が入っている。下北半島の小坊主は恐山のキャラクターかもしれない。

では、最後に我が家の電話機をご覧ください。



1980年代には、こういった電話機もたくさん作られていました。今では電話機も高機能になり、この頃の電話機はあまり残っていません。こういった電話もたくさん保護しておりますので、何か情報ありましたら教えてください。

また、このような電話の背景を考えつつテレホンカードを鑑賞して語らう会を6月18日の昼に高円寺で行いますので、よろしければご参加ください。詳細はこのページの下にあります。

では、また次回。

(文と写真:山下メロ“院長”)

■ 保護のお願い

私は全国の観光地で保護活動を行っていますが、現地から消滅したファンシー絵みやげについては、皆様の家に残されたものが頼りです。もしご実家などの学習机の引き出しの中に眠っているものなどが見つかりましたら、是非ともご一報ください。ハッシュタグ #ファンシー絵みやげ での報告も待ってます。

《イベントのお知らせ》
6月18日(日)昼に高円寺Punditにてテレホンカード鑑賞会を行います。

ぶっとび~テレカ探偵団 1度数「おもいッきりテレカ」


OPEN 12:00 / START 13:00
前売¥1,200 / 当日¥1,500(共に飲食代別)
【出演】 山下メロ、てれこま(謎の店)、\ヘッチャリンコ/
【ゲスト】 UN21(妖怪シール・カードコレクター)

80年代90年代に多数作られたテレホンカードを大量に鑑賞し当時のカルチャーを語ります。 アイドル、アニメ、TV番組、CM、博覧会、お菓子、飲料、おもちゃ、車、観光地、個人の記念品から子犬、子猫…

欲しいテレカがありましたら、ご来場のお客様にもプレゼントします(※使用済みテレカのみ)。大量のテレカから「これは!」というテレカを探す鑑定作業にも、ご希望のお客様は参加していただけます

80年代観光地みやげ=ファンシー絵みやげのテレカも紹介。
ファンシー絵みやげの現地保護活動報告もやります☆

今回は、ゲストにシールコレクターUN21さんが登場!
UN21さんのテレカコレクションも紹介します☆

イベント終了後に北中夜市に出店予定です ※雨天中止     


《番組出演のお知らせ》
スチャダラパーBoseさんの番組『さきどりBose』に出演いたしました。GYAO!にて無料で視聴いただけますので、リンク先より是非ご覧ください。

さきどりBose #18(番外編) 
山下メロがやってきた ファンシー絵みやげをご紹介!



平成レトロ研究家の山下メロ、スキーファッションでトレンディに乱入! アラサー、アラフォー世代の心をくすぐる「ファンシー絵みやげ」の世界をご紹介! Boseも思わず吹き出す懐かしい80年代~90年代あるあるが続々登場! バブル期のみやげ物はローマ字だらけ! 遺族NGの出ない歴史上の人物とは? 山下メロのファンシー絵みやげ「保護活動」に、いつも楽しそうな小池美由が思わずドン引き? そして、衝撃の一言を放つ!
    


《グッズ発売のお知らせ》
卒業生代表さんの民芸みやげ風な通行手形ICパスケースに、私がファンシー絵みやげイラストを描いた最高なコラボ商品が完成しました!ヴィレッジヴァンガードのオンラインショップで購入できます☆

【卒業生代表×山下メロ】通学手形ICパスケース


    


《イベントのお知らせ》
7月13日(木)の夜に阿佐ヶ谷ロフトAで、旅するイラストレーター キン・シオタニさんのイベントにゲスト出演いたします。TVKの街歩き番組「キンシオ」でもおなじみのキンさんと、ともに全国を旅する2人がどんなトークをするのかお楽しみに!

キン・シオタニpresents「描き語り34」

OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥2,100 / 当日¥2,600(共に飲食代別)
前売はローソンチケット【Lコード:34390】から ※5/27~発売
【出演】キン・シオタニ
【ゲスト】山下メロ院長(ファンシー絵みやげ研究家)

旅するイラストレーター、キン・シオタニのトーク&パフォーマンスライブ。
今回は前回に引き続き、1980年代に国内の観光地にあふれていたファンシーイラストのおみやげ「ファンシー絵みやげ」を収集している山下メロ院長がゲスト。前回参加できなかった方ももちろん大丈夫。2人の不思議なコンビネーションは必見です。 ドローイング・シアターも、もちろんあります。     


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