ビーバップも湘爆も観光地にいた!?…「ファンシー絵みやげ」で振り返るツッパリ・ヤンキー・暴走族ブーム(1/2)
お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。
↑今回はワケあって学生服を着ています。
当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。
「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。
■ 暴走族ブーム
前回1980年代からのモータースポーツをとりあげましたが、サーキットのレーサーだけでなく、当時は地方の暴走族もまた、バイクで疾走していました。
↑集会に向けてスクーターで疾走する暴走族のメンバー。こんなキーホルダーも作られていた。タグが付いていることから観光地の土産店で売られていたと思われる。
改造バイクに特攻服、旭日旗などの要素を持つ暴走族と、もう少し大きなカテゴリで、主に不良学生を指すツッパリ、ヤンキーと呼ばれた若者たち。彼らは1980年代に漫画などのサブカルチャーを中心にディフォルメされて消費されていきました。
↑旭日旗をバックに「特攻」の二文字。暴走族の世界観には旭日旗に神風特攻隊など、旧日本軍や愛国の要素が含まれている。イラストはウンコ座りするリーゼントにマスクの不良学生なので、あまり暴走族の感じはない。ただし後述する裏ボタンの文字など、不良学生も暴走族の要素は取り入れていた。
■ 音楽とツッパリ
1981年に「ツッパリHigh School Rock'n Roll (登校編) 」をヒットさせたTHE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL、それから銀蝿一家で「男の勲章」の嶋大輔、杉本哲太のいた紅麗威甦など音楽方面でツッパリという要素が消費されていました。
↑こちらも先ほどと同じ「特攻」の文字と旭日旗のモチーフだが、ちゃんと特攻服を着ている。ローマ字日本語の文章に「バリバリ」や「ブッチギリ」という言葉があり、横浜銀蝿を思わせる。しかし3人組だそうなので、暴走族にしては少ない。
■ なめ猫
社会現象ともなった特攻服を着た猫の実写キャラクター「全日本暴猫連合 なめんなよ(「Don't Pelorian!)」通称「なめ猫」も1981年にレコードを出しています。なめ猫は免許証風カードをはじめ、数々の商品が作られました。
↑観光地でも買えるほどに、なめ猫グッズはバカ売れしていましたが、こちらは木製の吊るしファンシー絵みやげの仕様で作られた、おそらく非ライセンス商品と思われる「なめ猫」のドアプレート。ステータスによって目が変わる。
■ 湘南爆走族
1982年には暴走族を題材にした漫画“湘爆”こと吉田聡『湘南爆走族』が少年KINGで連載開始、アニメや実写映画化もされるほどにヒットしました。特に1987年の映画では主人公・江口洋助を演じたのが江口洋介で、本名と同じ読みの役名でデビューしたのです。同じくオーディションでアキラ役となった織田裕二も映画デビュー作でした。
↑『湘南爆走族』のキーホルダー、2種類あったロゴを裏と表にそれぞれ配置してある。メタルプレートにラメ入りエポキ樹脂ポッティングとファンシー絵みやげと同じ仕様。
↑明らかに“湘爆”を意識している「爆走族」のタバコとライターを入れる吊るしケース。鳥取大砂丘のコルクボードが貼られており、鳥取砂丘で売られていた商品。下部はCABINのデザインになっている。
↑こちらも“湘爆”からと思しき「爆走連合」キーホルダー。
↑WARU BOYS なのか WA爆RU BOYSなのか。リーゼントの2人組でサングラスをかけている。しかし、SHONANと書かれている通り湘南のファンシー絵みやげミラー+コーム。「爆」で「湘南」。これはもう湘南爆走族ではないか。