短冊シングルにミリオンセラー…「ファンシー絵みやげ」で振り返る音楽CD(1/2)

2017/3/31 12:00 山下メロ 山下メロ


お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。



当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。



「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。

前回の連載で、日本で一番初めにCD化されたアルバム大滝詠一『A LONG VACATION』を紹介いたしました。いつの間にか当たり前になっているCDにも始まりがあるのです。今回はCDのはじまりから、ファンシー絵みやげへの波及について見ていきたいと思います。


↑1981年にナイアガラレコードから発売。1982年にCD化。同時に複数枚CD化されたが、型番が一番若いのがこのアルバム。

■ コンパクトディスクの登場

CDが発売される以前に音楽を聴くには、LP盤などのアナログレコードやカセットテープが主流でした。そこへ1982年に、デジタルデータを用いた新たな音楽メディアであるCD(コンパクトディスク)が登場しました。



コンパクトディスクは、ソニーとフィリップスが共同で開発しました。レーザー光を盤面に反射させ、レンズで読み取ることで、録音された音声データを読み取ります。コンパクトという名称については、コンパクトカセット(一般的にカセットテープと呼ばれているもの。本来はカセットテープの一種であるコンパクトカセット)に由来するのです。

あまり知られていないことですが、LD(レーザーディスク)というLP盤サイズの巨大な映像ソフト用光ディスクがCDよりも先に登場しており、それよりもコンパクトといった意味もあったのかもしれません。CDはその後、ビデオ映像を記録するVCDや、音声以外のデータも記録することのできるCD-ROMとしてパソコンやゲーム機でも使われるようになりました。

■ 8cm短冊シングル

最近にわかに再評価されてきているのが8cm短冊シングルです。現在はアルバムと同じ12cmのシングルが主流ですが、かつては小さいディスクで売られていました。ディスクは正円形なのですが、ジャケットは長方形だったため俗に短冊シングルと呼ばれます。レコードからCDへの転換期に、アナログのシングル盤の棚を流用できるよう、シングル盤のジャケットサイズの半分にして2列並べられるように……ということで縦長の短冊ジャケットが作られたのです。



8cmのディスクは、スロットイン方式のカーオーディオやパソコンにそのままでは挿入できないため、アダプタを使用する必要がありました。しかし現在ではアダプタの使用も動作保証外となっていることが多く、8cmシングルを取り巻く環境は年々厳しくなっています。

2000年代になると12cmのシングルが主流となりますので、短冊シングルは1980年代後半~1990年代の象徴とも言えます。特に1990年代の、J-POPにおいてミリオンセラーが連発したくらいの時期が中心であるため、まさに平成レトロの象徴ともいえます。

■ CDプレイヤー

CDの普及にともなって、さまざまなCDプレイヤーが登場しました。中でも特筆すべきはCDダブルラジカセでしょう。それまでのダブルラジカセは角ばったデザインにポップなカラーリングでしたが、CDダブルラジカセは両端が丸っこく、黒いデザインが多くありました。さらにトラック番号や時間をデジタルデータから読み取って表示する必要があるため、ほぼバックライトつきの液晶画面が必須なのです。


色々な機能をもった商品がありましたが、今でも名前を言えば思い出すくらい特徴的だったのは、パナソニックのコブラトップと呼ばれる、上部のフタが起き上がりコンソールパネルになる機構を備えたCDラジカセです。実際に周りで所有している人はあまりいませんでしたが、CMなどで一度聞いたら忘れられないような印象深いネーミングでした。

    次へ

  1. 1
  2. 2