短冊シングルにミリオンセラー…「ファンシー絵みやげ」で振り返る音楽CD(2/2)

2017/3/31 12:00 山下メロ 山下メロ


■ ファンシー絵みやげにおけるCD

1980年代~1990年代に、音楽CDがいかに新しい文化として注目を集めていたかを、ファンシー絵みやげから読み解くことができます。



地名はありませんが、このようにCDプレイヤーをミニチュアにしたキーホルダーも観光地にありました。こちらはボタン電池で駆動し、ディスクを入れ替えると、それぞれのディスクの音が再生されます。といってもディスクは回ることはなく、ディスクの裏にある端子に接触して音のデータを読み取って電子音で再生しているのです。



こちらのキーホルダーはCDを模したデザインとなっています。円形で、虹色ではありませんが、銀色の部分がCDのように光を反射する加工となっています。CD-DA(音楽CD、COMPACT DISC DIGITAL AUDIO)の規格を満たしていることを示す「COMPACT DISC DIGITAL AUDIO」マークが、明らかに規格を満たしてないにも関わらずばっちり書かれています。型番やSTEREO、著作権の表記に加えて、曲名まで書いてあるところがポイントです。

1.YUME O OIKAKETE
2.MY ROOM E YŌKOSO
3.ANATA TO HAPPY
4.P.S. I LOVE YOU…


以上です。ありそうでないタイトルなのかと思いきや、最後に「P.S. I LOVE YOU…」というイカ天出身のガールズバンド・ピンクサファイアが90年代にヒットさせた曲名が出てくるところも非常に平成レトロです。



また、「P.S. I LOVE YOU」といえば、中山美穂さんがニッポン放送でパーソナリティを務めていたラジオ番組の名前も同じでしたね。



こちらは真ん中の穴がないながらも、CD風にしようと頑張っているキーホルダーです。先ほどのものとは違い、こちらは光り方は似ていませんが、虹色の反射をオーロラ素材で表現しています。また、こちらも当然のように「COMPACT DISC DIGITAL AUDIO」のマーク入りです。このマークでは「DIGITAL」と正しいスペルにも関わらず、外周の英語では「DEGITAL」とスペルミスをしちゃってます。当時の商品開発のユルさが垣間見えるような気がしますね。



こちらは日光東照宮のおみやげで、ジュエルケースに入ったCD型の折り畳みミラーです。本物より小さいにも関わらず細部までジュエルケースを再現しています。中を開くと歌詞カード風のイラストがあり、さらに円形の鏡面で光ディスクを表現しているのです。



また、ジュエルケースの外側には、ここにもやっぱりの「COMPACT DISC DIGITAL AUDIO」のマークが入っています。



北海道のメジャーキャラクターである「くまがでるぞー!!」のポーチ。こちらの中身はCDファイルにはなっていませんが、ちょうど12cmのCDが入るサイズであるため、CDファイルとして使うことができます。

CDにまつわるファンシー絵みやげはとても多く、いかに新しい記録媒体として脚光を浴びていたのかがよく分かります。その後、トレンディードラマへのタイアップによってミリオンヒットが当たり前になる時代が来るなど、CDは普遍的なものとなりました。今ではCDの存在が当たり前すぎて、CDを模した商品を作ったり売ったりすることはそうないでしょう。カラス除けくらいなものでしょうか。


↑カラス除けは簡単にDIYできるので、マセキ里穂のシングルCDで作ってみた。ヒモがなかったのでヘッドホンのケーブルで吊るしている。

しかし8cmシングルCDでは、今やカラスも慣れてしまっているのではないでしょうか。そこでより大きなカラス除けの製作に着手しました。


↑レーザーディスクである。以前の連載でも扱った『グランブルー』のLDを使用。このド迫力ならカラスも逃げるのでは!? 奥の8cmシングルとの差がスゴイ。

実際の効果のほどは測定できていませんが、カラスにお困りの方は是非一度お試しください。

CDに次いで、デジタルの記録メディアとしてMDが登場します。しかしiPodやRioをはじめとする携帯ミュージックプレイヤーや、メモリ型のデジタルオーディオレコーダーの普及で衰退していきました。さらに携帯ミュージックプレイヤーと音楽配信の普及によって、CDの販売数は年々減っているのです。

CDの販売数減少にともない、町のCDショップも営業が厳しくなってきていて、廃業するお店も増えています。消えていくCDショップのことを少しでも残したいという思いから、私はCDマットの保護活動もやっております。



CDマットとは、ジュエルケースの中のCDを置くトレイとCDの間に敷いて、CDを傷から守るもの……とされていました。しかし近年では、むしろ傷がつきやすいとか、化学反応を起こしてCDがダメになるなど、逆に敷かないほうが良いという情報も出ており、最近では見かけることがほとんどなくなりました。見つからなくなったものほど保護したくなるため、町のCDショップなどのロゴが入ったCDマットがありましたらご連絡ください。

では、また次回。

(文と写真:山下メロ)

■ 保護のお願い

私は全国の観光地で保護活動を行っていますが、現地から消滅したファンシー絵みやげについては、皆様の家に残されたものが頼りです。もしご実家などの学習机の引き出しの中に眠っているものなどが見つかりましたら、是非ともご一報ください。ハッシュタグ #ファンシー絵みやげ での報告も待ってます。

《関連コラム》

・「見たことある!」ファンシー絵みやげで振り返るスキーブーム(連載 第一回)
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・ファンシーが心の中を通り抜ける…「ファンシー絵みやげ」で振り返るシーサイドリゾート(連載 第四回)



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