テレホンカードの度数が足りない…「ファンシー絵みやげ」で振り返るテレカブーム(1/2)

2017/6/9 12:00 山下メロ 山下メロ


お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。



当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。



「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。

■ テレホンカードの始まり

詳しくは後述しますが、このたび私は6月18日にテレホンカードをテーマにしたイベントを行うこととなりました。それもあって今回はテレカをテーマとするわけですが、携帯電話の普及で町から公衆電話が減少した現代では、テレカが1980年代~1990年代に爆発的に作られた記憶も薄れているのではないでしょうか。 公衆電話において、硬貨の代わりに使えるプリペイドカードであるテレホンカードは、1982年12月に旧・電電公社(現・NTT)で岡本太郎の「遊ぶ字シリーズ」が第1号として発売されました。


↑サンリオのタキシードサムも旧・電電公社本社発行の数少ないデザインに採用された。まだ旧・電電公社のロゴである

■ テレホンカードの普及

その後、独自にデザインできる金券であるため、贈答品やプレゼントに最適であることから色々な種類が作られました。企業のノベルティから個人の記念品まで、ありとあらゆるものがテレホンカードになったのです。そしてその図柄の多さから収集対象となり、多数のコレクターが生まれ、相場ができて数々のカタログ本や雑誌『テレコレ』が創刊されるまでになりました。


↑1987年出版のテレホンカードカタログ(松田英孝著)。単なるデザインの紹介にとどまらず、当時の相場まで掲載されている。

現代では以前ほどの需要はなくなりましたが、携帯電話普及率が低く、公衆電話が多く残されている地方や、携帯電話を持っていない児童や高齢者、それから携帯電話使用禁止の病院などでは重宝されています。また、固定電話の料金の支払いに使う手段もあるため、いまでも金券ショップなどで売買されているのです。

■ いろいろなテレホンカード

テレホンカードは非常にたくさんの種類が存在するため、無闇に紹介してもキリがありませんので、その中から時代や文化が分かるものを少しだけ紹介したいと思います。


↑地方のNTTが発行したもの。その地方を紹介する意味で観光地を扱ったものが多い。漫画家の滝田ゆうや小島功を使用したものも。


↑企業ノベルティや商品PRのものが多数あり、中には懐かしいものも。


↑すでに見かけなくなった短命な商品もあれば、今でも売られているロングヒットの商品もある。


↑結婚や退職の記念に配るために個人で作るテレカ。ホールインワンで配るテレカまである。日付や文章、写真から色々なことが読み取れて興味深い。

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