ネッシーブームの足跡を追って…「ファンシー絵みやげ」で振り返るUMAブーム(1/2)

2017/4/28 12:00 山下メロ“院長” 山下メロ“院長”

お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。


↑今回は久々にスキーウェアでこんにちは

当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。



「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。

前回動物ブームを紹介しましたが、その裏で実在しない動物のブームがありました。未確認生物または未確認動物とも言われ、日本ではUMA(ユーマ、Unidentified Mysterious Animal)という和製英語の略称がすでに浸透しています。創作の世界によくある空想上の動物とは違い、UMAは目撃情報や写真、映像などが残されており、実在するという主張がなされています。

ここで忘れてはならないのが、ファンシー絵みやげ誕生と同じ1979年に学習研究社より創刊された、世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン『ムー』の存在です。

月刊のオカルト情報誌ですが、UMAについても広く扱っており、1980年代のUMAブームに一役買っています。UMAの目撃情報はかなり古くからあり、たびたび話題にのぼっていますが、まさに1980年代はテレビや雑誌などのメディアを通して大騒ぎしていたのです。まさに同じ時期に作られていたファンシー絵みやげは、やはりUMAブームに便乗しました。

さっそくUMAみやげを見ていきましょう。

■ 人面魚

さっそくメジャーどころから行きます。人面魚は、まさに1990年代に大ニュースとなったことを記憶している方もいらっしゃるのではないでしょうか。山形県鶴岡市善宝寺の貝喰池にいた金の鯉が話題となりました。



↑素材としては珍しいレザー仕様のキーホルダー。ディフォルメされすぎていて人面魚の面影がなく、パッと見て人面魚と判断することが難しい。裏を見ると確かにKAIBAMINOIKE(貝喰の池)と書かれている。

■ 人魚

人魚はどちらかというと「人魚姫」といった寓話のほうが有名ですが、半魚人というUMAの一種です。当時は人魚のミイラを保管している寺社などが話題になりました。


↑宮崎県の人魚キーホルダー。寓話的な人魚姫(PRINCESS MERMAID)であり、UMA的な要素はない。タコやイカがナンパしようとしている構図にも時代を感じる。

■ 雪男

日本の古典的な妖怪として雪女が有名ですが、雪男というとロッキー山脈のビッグフットやヒマラヤ山脈のイエティなど、世界の雪山で目撃されています。特徴としては、白い毛皮に覆われた大男という証言が多くあります。1980年代の漫画やアニメでもたびたび登場し、『うる星やつら』(1978年連載開始)に出てくる雪女・おユキの下男であるB坊や、『少年アシベ』(1988年)で、ネパールに引っ越したスガオくんの友達イエティなどが挙げられます。また、同じく山に関連する大男として、巨人のだいだらぼっちや比婆山のヒバゴンも近い存在でしょう。


↑長野県栂池高原のキーホルダーと新潟県妙高高原の灰皿。栂池高原のものは、説明もないので何か分からないが、何か分からないのでUMAということにしておこう。

■ 河童

河童(カッパ)に関しては水木しげる『河童の三平』もあり、妖怪の一種ともいえますが、目撃談があるためUMAに分類されます。民俗学者・柳田國男が岩手県遠野地方に伝わる民話や伝承話をまとめた『遠野物語』が有名です。


↑『遠野物語』にも登場する岩手県遠野市常堅寺の裏にあるカッパ淵。2016年9月撮影。手にしているのはカリンちゃんのキーホルダー。

ファンシー絵みやげで多く見るカッパのイラストは、遠野市の公式キャラクターのカリンちゃんです。1992年に「’92世界民話博IN遠野」が開催され、その際に作られました。カリンちゃんの名前はカッパの「カ」と旧遠野市の花リンドウの「リン」を組み合わせたものです。

「ゆるキャラブーム」を経た現在では、積極的にグッズ展開する自治体も多いのですが、当時は自治体のキャラクターをお土産として売ることはあまりありませんでした。しかしカリンちゃんは世界民話博のためのキャラクターでもあるため、使用許諾をもらったお土産メーカーがたくさんカリンちゃんの商品を作ったのだと考えられます。


↑岩手県遠野市のカッパモチーフのキーホルダーたち。やはりカリンちゃんが多い。

ファンシー絵みやげキーホルダーに使われているカリンちゃんが手に持っているのは、名前の由来でもある旧遠野市の花リンドウで、背景は南部曲り家です。しかし現在はこのカリンちゃんのイラストは使われていません。

2007年に旧遠野市と旧宮守村が合併した際、旧・宮守村のキャラクターを使わないかわりに、カリンちゃんの持っている花を旧遠野市の花リンドウから旧宮守村の花ヤマユリへと変更し、背景も釜石線と眼鏡橋に変わっているのです。イラストを読み解くことで「ゆるキャラ」でありながら、「今」の商品でないことが分かります。ちなみに、ピンク色のくるりんちゃんというパートナーもいるようです。


↑青森県の古牧温泉には、かっぱ沼を擁する古牧温泉渋沢公園があるため、カッパがモチーフに使われている。

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