天狗に狸に鬼に竜…「ファンシー絵みやげ」で振り返る妖怪ブーム(1/2)

2017/5/5 12:00 山下メロ 山下メロ


お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。



当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。



「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。

■ 80年代と妖怪

今回は、前回のUMA編で扱いきれなかった、「現代では目撃情報に乏しい」異形や物の怪、幽霊・お化け、伝説上の生き物などの妖怪の仲間たちについて扱いたいと思います。

前回挙げたヒバゴンやダイダラボッチのように、地域の民間伝承や昔話などは観光地にとって「観光資源」たるキャラクターであるため、ファンシー絵みやげのキャラクターとなることがあります。


↑『遠野物語』にも登場する岩手県遠野市常堅寺の裏にあるカッパ淵。2016年9月撮影。手にしているのはカリンちゃんのキーホルダー。

2010年代には「妖怪ウォッチ」人気から観光地でも「妖怪ウォッチ」のご当地モノが全国で売られますが、かねてより定期的に妖怪をテーマにした流行のアニメがたびたび作られます。中でも1980年代の代表格は水木しげる現在のアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』でしょう。1960年代よりアニメが作られていますが、吉幾三が主題歌を歌った1985年開始のシリーズがヒットし、これまで以上に妖怪というものが認知されたのではないでしょうか。

1983年に発売された家庭用テレビゲーム機であるファミコンでも妖怪をテーマにしたカセットが数えきれないほど作られました。ゲゲゲの鬼太郎のカセットも発売され、こちらも大人気だったのです。そんな1980年代の妖怪ブームの影響を受けたファンシー絵みやげを紹介してまいります。

■ 河童

前回の連載ではUMAとして扱いました河童(カッパ)ですが、水木しげる『河童の三平』もあり、妖怪としての扱いも多くあります。


↑柳田國男『遠野物語』の岩手県遠野市とかっぱ沼のある青森県古牧温泉のキーホルダー。

■ 天狗

各地で民間伝承があり、信仰の対象として神聖視されることもあるのが「天狗(テング)」です。実は色々な姿のイメージがある天狗ですが、一番有名だと思われる朱色の肌に長い鼻という「天狗の面」に多いイメージのファンシー絵みやげは見たことがありません。修験者の恰好をしたカラスである、カラス天狗のみ鳥取県大山で確認されています。


↑鳥取県大山の烏天狗キーホルダー。光で変わるオーロラカラーでとっても派手である。

■ 竜(龍、ドラゴン)

中国の伝説上の生き物という性質が強い竜ですが、さまざまな形態があり、妖怪として扱われることもあります。


↑鳥取県の温泉地近くにある中国大庭園のテーマパーク「燕趙園」のキャラクターは竜である。


↑西洋風の竜である富士五湖ドラゴン。富士山の近くにある竜ヶ岳は、富士五湖の竜がのぼったとされる。

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