エリマキトカゲにラッコにコアラ…「ファンシー絵みやげ」で振り返る動物ブーム(3/3)

2017/4/21 12:00 山下メロ 山下メロ


■ コアラ

コアラのマーチなど、お菓子のモチーフでも有名なオーストラリアの動物。1984年、多摩動物園、東山動植物園、平川動物公園にコアラが来園し飼育展示され、コアラブームが起きました。1986年には平川動物公園で繁殖にも成功しています。


↑鹿児島県は国内初の繁殖成功のプライドがあるのか、どギツい蛍光ピンクで塗ったコアラの絵馬に、謎のファッショナブルシティジャパン表記のある切符型キーホルダーという不可思議な商品

コアラを飼育数は当時で96頭ほど。展示していた国内の施設も数えるほどしかありませんでした。それなのにコアラをモチーフとしたイラストのファンシー絵みやげが全国的に売られていたのは、コアラのマーチの例を挙げるまでもなく、人気のあった証拠でしょう。


↑左から静岡県伊豆、北海道摩周湖、北海道函館のキーホルダー。いずれもコアラはいなかった。


↑もちろん新潟県の離島・佐渡島にコアラはいなかった。なのにゴブラン織りのペナントまで作るとは。

■ ラッコ

水棲のイタチであるカワウソの中でも海洋に適応したのがラッコです。ラッコは海獣なため太平洋に広く分布し、日本近海でも見られるが、1982年に静岡県伊豆半島にある三津シーパラダイスで飼育展示され、一躍ブームになりました。1983年には鳥羽水族館でも展示を開始しています。1986年にはラッコが主人公の漫画『ぼのぼの』(いがらしみきお作)が連載開始しました。


↑伊勢志摩のキーホルダーたち。早くからラッコを展示している三重県の鳥羽水族館があるためだが、しかし伊勢志摩国立公園周辺をまとめて「ISESHIMA」または「ISEJI」と表記することが多かった。「TOBA」表記は見かけたことがない。


↑北海道のラッコキーホルダー。小樽のおたる水族館、網走のオホーツク水族館、シーサイドパーク広尾のひろお水族館。


↑ラッコ館を有するひろお水族館のキャラクターは、シーサイドパーク広尾が会場だったHIROO EXPO’88(十勝海洋博覧会)と共通である。


↑新潟県マリンピア日本海と東京都サンシャイン水族館。


↑キーホルダー以外にもラッコのキャラクターは存在する。

1987年には映画『ラッコ物語』が公開されました。筆者が個人的に邦画の動物映画における『○○物語』を“物語系動物映画”と呼んで注目しており、その1つです。他の“物語系動物映画”は、『キタキツネ物語』(1978年オリジナル、2013年リメイク)、『南極物語』(1983年)、『子猫物語』(1986年、日英米合作)、『ハチ公物語』(1987年)、『タスマニア物語』(1990年)があります。それ以外にフランス映画の邦題として『子熊物語』(1988年)、ムツゴロウさんこと畑正憲原作で恐竜が題材の『REX 恐竜物語』(1993年)があります。


↑物語系ファンシー絵みやげの代表格「小ぎつね物語」。キタキツネ物語のパロディなのか。

最後に、衝撃を受けたラッコのファンシー絵みやげを紹介します。



これは……あの有名なラブホテル「おひるねラッコ」のオフィシャルグッズ!?

……などと一瞬思ってしまうので危険……。むしろこれを「おひるねラッコ」のオフィシャルで使って欲しい。

では、また次回。

(文と写真:山下メロ“院長”)

■ 保護のお願い

私は全国の観光地で保護活動を行っていますが、現地から消滅したファンシー絵みやげについては、皆様の家に残されたものが頼りです。もしご実家などの学習机の引き出しの中に眠っているものなどが見つかりましたら、是非ともご一報ください。ハッシュタグ #ファンシー絵みやげ での報告も待ってます。

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