【約70年前の東京】での散歩気分が味わえる映像が楽しい
どうも服部です。昭和の動画を紐解いていくシリーズ、今回は昭和20年代前半の東京の映像をお送りしていきます。
「[Street scenes, city in Japan, late 1940s](街のシーン、1940年代後半の日本の街=著者訳) 」というタイトル付けされた、アメリカの政府機関「US National Archives(アメリカ国立公文書記録管理局)」が公開している映像です。
1940年代後半ということで和暦にすると昭和20年から24年となりますが、戦災からの復興具合からして昭和22年から24年ごろに撮影されたものではないかと思われます。早速見ていきましょう。
「コヤマ理髪所」というお店前から映像はスタートします。右手には人力車が、奥の高架には電車が通ります。東京の日比谷近辺かと思われます。
映像は後ろ向きで進んでいきます。上下の揺れがあまりないので、人が担いでいるのではなく、カメラを車輪の付いた台に固定させて撮影しているのでしょうか。
このブレの少なさのためか、映像を眺めていると、なんだかこの場に自分がいるかのような気分にさせてくれます。
電信柱には「日比谷病院」の看板が出ています(同名の病院は現在存在しないようです)。
通り過ぎたカメラを振り返り見る男性の姿も。
「仁丹」や「CAMERA」といった看板が見られます。
「美松洋装」というお店の前を歩く和服の女性。その左後ろにも和服姿が見られます。戦後すぐという状況ではないように見受けられます。
場所柄もあってか、みなさんお洒落ですね。
右手にいる米兵らしきが、お店に入ろうとすると、日本人サイズの軒に帽子が当たり取れてしまうシーンがあります。なんでもない場面ではありますが、70年前という歴史が加わると、なんだか微笑ましく感じられるものです。
左手には、その米兵らしきの仲間なのでしょう、米軍兵が荷台に乗っている車が停まっています。
場面は変わり、細い商店街のようなところが映し出されます。
「上田洋品店」にCAP(帽子)の「カワシマ」の看板があります。見たところ衣料品のお店が主に並んでいるようです。カメラは2人の女性を中心に捉えています。
が、女性2人はここで脇道へ逸れていきます。
「道玄坂百貨店」という看板が全貌となりました。渋谷の道玄坂周辺のようです。
右手には国民服を着た男性が立っています。下の写真の右側、「陸軍略帽型」ではないでしょうか。ちなみに国民服とは「国民の衣生活の合理化・簡素化を目的として」戦争中に法制化された標準服でした(ただし義務化ではなかった)。
"Kokumin-Fuku" by 不明 - 朝日新聞社「朝日歴史写真ライブラリー 戦争と庶民1940-1949 第1巻」より。. Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.
場面が切り替わると、今度は車道での撮影のようです。道路には都電の線路が見えます。
カメラの前を自転車で通過していく男性。
こちらは配信元のコメントによると米軍用のバスだそうです。
手前に米軍のと思われる軍用車両、奥には日本のボンネットバスが走っていきます。
こちらは道路を横断する自転車……、と見たことあるお店がありますね。動画の冒頭に登場した「コヤマ理髪所」が通りを挟んで見えています。あの場所です。
「ビフステーキ」と書いてある看板も見えます。
通りを挟んで眺めると、冒頭の映像では見えなかった建物の看板が見えてきて楽しいですね。
都電が横切っていきます。
最後は米国・ゼネラル・モーターズ(GM)の「Buick Super」と思われる車両が登場して映像は終了します。
"Buick Super Eight Serie 51 4-Dorrars Sedan 1948" by Lars-Göran Lindgren Sweden - Own work. Licensed under CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons.
いかがでしたか? ただただ街並みをカメラが移動しながら撮影していくという内容の、わずか4分ほどの映像でしたが、昭和20年代前半のなにげない日常が垣間見られ、とても興味深いものだったと思います。引き続き、歴史の1ページを紐解いていければと思います。
(服部淳@編集ライター、脚本家)
【動画】[Street scenes, city in Japan, late 1940s] (街のシーン、1940年代後半の日本の街)
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