4月スタートの朝ドラ、黒島結菜主演『ちむどんどん』は「朝ドラあるある」の宝庫だった!?

2022/4/14 22:00 龍女 龍女

朝ドラあるある③
家族の誰かがトラブルメイカー


朝ドラに限らず、シナリオの鉄則は主人公を困らせる存在が必要だ。
ドラマはあらすじではなく、葛藤を描く形式である。
困らせるには、存在が身近にいることが肝心である。

特に前半で少年少女時代の主人公を困らせる存在(トラブルメイカー)は、家族の中に必ず一人はいる。
筆者がまず、事前番組を観て、『ちゅらさん』との関連性を見てとったのは同じ立場の登場人物が設定されていたからだ。

ニーニ(兄)の比嘉賢秀(竜星涼)である。


(比嘉賢秀役の竜星涼 イラストby龍女)

『ちゅらさん』でも、トラブルメイカーは古波蔵恵里(国仲涼子)の兄の古波蔵恵尚(ガレッジセールのゴリ)であった。
能登を舞台にした土屋太鳳主演『まれ』(2015年4月~9月)では、トラブルメイカーは父(大泉洋)である。
この三者の共通点は、一攫千金を夢見る事業欲があり、いつも失敗して多額の借金を抱える。

日本映画界で最も有名なキャラクター車寅次郎タイプである。
映画『男はつらいよ』シリーズにおける車寅次郎の失敗は、金銭よりももっぱら恋愛関係に集中する。
それが事業欲に変わっただけで基本的に同じ性格の登場人物である。


朝ドラあるある④
成長した地方出身のヒロインは都会へ出る


もう一つ『ちゅらさん』との大きな共通点は、主人公が東京に出るきっかけになる幼なじみが登場する事だ。
『ちゅらさん』では、恵里の初恋の相手、上村文也(小橋賢児)である。
『ちむどんどん』では、民俗学者・青柳史彦(戸次重幸)の息子、青柳和彦(宮沢氷魚)である。
『ちゅらさん』で文也を連れて小浜島へやってきた病弱の兄の上村和也(遠藤雄弥)が二人の縁結びをする。
『ちゅらさん』を参考にしているのは、この青柳親子の名前に上村兄弟の名に含まれる「ふみ・かず」を流用していることからも想像される。

朝ドラ全体の大きなテーマの一つが女性の社会進出だ。
基本的に主人公は就職するために選択肢が多い都会に移住することになる。
朝ドラは圧倒的に女性の社会進出が本格的に始まった
太平洋戦争後の昭和が舞台なので、どうしてもそうなってしまう。

さて、朝ドラの中盤に展開するお楽しみ、主人公の恋模様についてのあるあるについて紹介しよう。

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