『オレたちひょうきん族』から『ザ・マスクド・シンガー』まで!?海外から輸入された番組形式が日本で成功する秘訣とは?

2021/10/13 22:00 龍女 龍女

⑤ザ・マスクド・シンガー日本版のシーズン2はあるか?

この番組は2015年に初回放送された韓国の音楽バラエティ。
これまでに世界50カ国でフォーマット輸出され、ようやく日本版がAmazon配信番組として放送中である。

正直、覆面歌王を知らなかったので、この日本版の予告編を見るまでは全く知らなかった。
予告編が面白そうだという感覚のみである。
しかし、実際に観てみたら、非常によく出来ている。
大枠のルールは、覆面をした12人の著名な出場者がカラオケバトルをする。
リアリティーショーによくある毎週1人づつ脱落している形式。
日本版シーズン1はエピソード9までなので、セミファイナルは2人、ファイナルは優勝者も最後はマスクをとるようである。
優勝者はゴールデンマスクを獲得すべく、それを争うのだ。

出場者の他にも、マスクの下の正体を予想しながら、観客と一緒に歌を鑑賞するパネリストがいる。
レギュラーパネリストに選ばれたのは、
ギタリストで俳優のMIYAVI(1981年9月14日生れ)、
3人組テクノポップユニットのPerfume(樫野有香・西脇綾香・大本彩乃)、
モデルで俳優の水原希子(1990年10月15日生れ)の3組。
それに2回づつ中堅のコメディアン(バカリズム、アンタッチャブル柴田、アンジャッシュ児島、おぎやはぎ小木)がゲスト枠のパネリストとして登場する。
これはテレビ番組の収録の日程でよくある2本録りの都合である。

マスクというより、着ぐるみを着たパフォーマーが歌の前にヒントにあたる「クルー」を見せて視聴者にも誰か探らせて面白さを増している。
観客とパネリストのスマホによる投票によって、投票数が少なかったパフォーマーがマスクを取る。
その時の決め台詞が
「Take it off!」(直訳すると「それを脱げ」)
である。
おそらく、『クイズ$ミリオネア』の時の「ファイナルアンサー?」のようにお馴染みのフレーズにしたい意図が感じられる。
韓国版ではなく、おそらくアメリカ版に準拠した演出がパネリストの座っているテーブルのデザインで、一連の強大な卓になっている。韓国版では個人個人に分けていた。
更にマスクを付けたバックダンサーがいる。

予告では元々が韓国なのにアメリカから上陸したかのような紹介なので不審に思った。
番組の企画そのものよりも演出がアメリカナイズされ、強調したいようだ。

日本で輸入されなかった番組のジャンルがある。
オーディション番組である。
既にリアリティショーの要素を持ったアサヤン(浅草橋ヤング洋品店の略)やAKBの舞台が存在したからだ。
アイドルも含まれる実力のある無名の歌手を育成する番組をわざわざ輸入する必要が無かった。
またオーディション要素がある日本の番組に、カラオケバトルと言うジャンルがある。
しかし、カラオケバトル番組には、視聴者も想像をかき立てるような知的なクイズが合わさったエンターテイメント番組は存在しない。
日本のカラオケ番組のクイズ要素は体力勝負や正確性に主眼が置かれている。

日本はクイズ番組は人気だが、ミリオネア以降、輸入された番組でゴールデンタイムで続いているのは、日本テレビで放映されている『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』位である。

近年では配信と地上波は視聴者のパイの争う関係になっている。
ただし、地上波は中高年層に多く、配信は若年層から中高年の始まりとされる30代まで観ている。
単純比較は出来ないが、重なる層が存在する。
90年代なら地上波で放送されてもいい内容の『ザ・マスクド・シンガー』。
配信開始時間は、金曜日の20時でゴールデンタイムに決定されたのだろう。
Amazonプライムに入っていれば、配信すぐに再生してみることも出来るし、都合が悪ければ後で観ても良い。
エピソード9まで観て、再生回数が多ければ、シーズン2も制作されるはずである。
筆者としては、すっかりハマっているので、観てみたい。

マスクを付けることで最初は声だけで誰か推理していくが、視聴者も参加できる見せ方がとにかく上手い。
時にはヒントを導き出すクルービデオでミスリードまでする。
正体が前の週の一瞬分かっていたはずなのに、忘れたパフォーマーまでいて、巧みなミスリードにうならされた。

観ていない人のために1回目からの脱落したパフォーマーの正体については触れない。
具体的に1人だけ。
決勝に残ったローズの正体は、当コラムの主役になった人のはずだ。


(パネリストからマスクの下の正体の予想を聞く大泉洋 イラストby龍女)

「こんな人、女優じゃないですよ」
と文句を言う大泉洋
「だから、女優だっつーの!」
大泉洋をどついたり、ツッコミの間がくい気味に早い。
アクションのスタイルがブルース・リーっぽい容赦なさがあの人にしかみえない…。

選ばれたパフォーマーの歌の実力は誰もひどいレベルの人はいないので、ビックリする。
歌声だけでキュンとしたパフォーマーの正体にもビックリした。
今の日本の歌手以外の職業の人を含めたレベルの高さに驚いている。

一方で、ものすごい実力の持ち主の歌手でも、歌以外のジャンルで得意のところを見せないと生き残れない今の芸能界の厳しさも知らされた。
非常に深い内容の番組を楽しく観られる。
どうしてもシーズン2で他の挑戦者の姿も見てみたいのだ。

過去の筆者のコラムで取り上げたあの若手俳優歌えることは分かっている。
シーズン2に出てくれないだろうか?


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