落語界の若手!二ツ目あるある!【春風亭昇々の落語NEW門】

2017/10/10 15:30 春風亭昇々 春風亭昇々


こんにちは。春風亭昇々です。

コラム締切が迫って、担当の方から「まだですか!」という連絡が入るも既読スルー。。。
本当に申し訳ない。。。でもね、違うんです!言い訳ですけど、最近は落語会も結構増えてるんですよ。ありがたいかぎり。。そしてなかなかコラム書く時間も取れなくてですね。。

でもね、ここ一年で落語会がほんと増えましたよ。一番増えたのは、二ツ目と言われる若手噺家だけの落語会。このコラムも、博多で林家はな平さんとの二人会の帰りに書いてますもん。

そんな最近のプチプチ落語ブームのおかげで、「二ツ目さんてどうやって生活してるんですか?」なんて聞かれなくなりましたが、それでも二ツ目の生活って謎ですよね。

そんなことで(ちょっと流れが強引ですが)今回は二ツ目と言われる、若手噺家あるある。もちろん独断と偏見です。
どうぞ!


1. めちゃくちゃ遅起き
若手噺家の朝は遅い。8:00に起きるなんて人がいたら「早起きだね」と言われます。10:00起きでもまあまあ普通。前日打ち上げがあって夜遅いことも多いので、びっくりするほど遅起きです。


2. 電話にドキドキする
落語会でお世話になる師匠に、落語会の前日に「お願いします」と確認の電話、翌日に「ありがとうございます」とお礼の電話をします。これが結構ドキドキする。だって相手は尊敬する落語界の大先輩でもあったりするわけですから。いつも留守電になってくれと祈っています。


3. 二ツ目だけで行く仕事はうれしい
今までは地方の落語会というと、真打についていくことが多かったのですが、最近は若手だけで行くことも増えました。ありがとうございます!二ツ目だけだと気を使わなくていいので、とっても嬉しいとみんな思っております。


4. チラシを持ち歩いている
都内の落語会開催の2か月前くらいに、主催者から大量のチラシが送られてきます。
なのでだいたいの二ツ目の家はチラシで溢れかえっております。
このネット時代になんとかならんもんかね!と思っておりますが、送られてくるんですから仕方がありません。マネージャーもいないので、会が始まる前に自分たちで挟み込みをしております。


5. 高座でメイクをしない
支度は着物を着て、髪の毛をちょっと整えるくらい。あんまり顔にどうらんを塗ったりはしません。開演前、スタッフさんに「まだ支度しなくていいんですか?!」とよく言われますが、5分くらいでできるので大丈夫です。


6. 先輩から電話がかかってくると「あれ?あの仕事今日だったっけ?日にち間違えたかな?」と思ってビクっとなる。
マネージャーがいないのでスケジュール管理は全て自分でやります。なので、仕事の日にち、時間を間違えるわけにはいきません。とは言っても誰でも一度や二度は間違えたことがあるもんです。それがトラウマになり、主催の方から別の日に電話がかかってくると「あれ?もしかして日にち間違えたかな?」とギクッとしてしまいます。


7. 前座さんの話題で盛り上がる。
噺家同士だってずっと一緒にいると話すことがなく、沈黙してしまうもの。話すことがないとき、一般の方は天気の話とかしますが、噺家は前座さんを話題に出します。よく出るフレーズは「前座さんで新しい人入った?」「今~協会て前座さん何人いるの?」「今の前座さんで仕事できるのってだれ?」。


8. 前座時代覚えたことを全て忘れる
前座時代には真打一人一人の着物の畳み方、出囃子の太鼓の叩き方、お茶の入れ方などを一生懸命覚えますが、二ツ目になると全て忘れます。そりゃあそうでしょ、だって楽屋仕事しなくてよくなるんですから。たまに自分が一番後輩で全部やらないといけなくなると、ちょっと慌てます。


9. 意外と「前座時代って青春だったよなあ」と思う
前座は四年間休みなくやらないといけないもので、とっても辛く一刻も早く二ツ目になりたいと思うものです。しかし二ツ目に昇進すると、なんとなくみんなで協力して仕事をしていたことを懐かしく思ったりします。みんなで助け合い、誰かの手がふさがっていたら誰かがサポートする、誰かがお茶を出していたら誰かが着物を畳み、誰かが高座返しをする。。。そんな時期を懐かしく思い出したりします。でもみんなが共通して言うこと。絶対に前座には戻りたくない!!!


10. 協会関係なく結構仲がいい
東京には落語協会、落語芸術協会、立川流、円楽一門会と四つの協会がありますが、落語会では協会関係なく一緒になることが多く、結構仲がいいです。二人会をやったり、自分の独演会にゲストを頼んだり、みんなで切磋琢磨しているのですよ。


いかがでしたか。二ツ目って素敵でしょう。二ツ目ってよく「若手」と言われるように、真打より未熟だと思われている。けど、決して真打を目指して頑張っているわけではない。真打はいつかなるものだし、二ツ目には二ツ目にできる高座がある。若い今しかできない高座をしている二ツ目を応援してね!!ではまた!!





(春風亭昇々)


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・春風亭昇々:
師匠は「笑点」司会の春風亭昇太。2011年4月に二ツ目昇進。
落語ブームを牽引する人気の若手二ツ目ユニット「成金」のメンバー。
2015年、2016年と2年連続でNHK新人落語大賞決勝にも進出し、2016年末には渋谷らくご大賞も受賞。2017年春からは「ポンキッキーズ」(BSフジ)の新MCに抜擢。「ミライダネ」(テレビ東京)にナレーターとして出演。
いま注目の若手落語家のひとり。Twitter:@shoshoa2011