新茶シーズン到来!知っておきたい3つのこと

2017/4/19 11:30 satomin satomin


こんにちは。365日毎日お茶を飲むsatominです。

毎年春先になると新茶が出回り始めます!
新茶とはその年はじめに摘まれたお茶の葉から作られたお茶(主に煎茶)のことで、ワインでいうところのボジョレー・ヌーヴォーです。お茶の世界では新茶解禁!の盛り上がりを見せます。

新茶の中でも特に早いのを「走り新茶」「大走り新茶」と呼びプレミアム感が増します。初物は珍重され、煎茶の市場(しじょう)では長らく早ければ早いほど良いとされてきています。






◆地域は? Where?

では、日本で一番早く新茶がとれるのはどこかご存知ですか?


茶の樹は亜熱帯原産な為、世界的にみても赤道をはさんで北緯45度から南緯45度の間で栽培されています。

日本では、桜前線と同じで日本列島の南の暖かい地域から北へ、標高の低い地域から高い地域へ向けて新茶前線は駆け抜けていきます。


しもきた茶苑大山の大山泰成さんによると一番早い走り新茶の産地は沖縄県北部の国頭村奥で生産される新茶です。」
意外かもしれませんが煎茶のイメージがあまりない沖縄です!






日本で一番早い産地で、例年3月中旬には生産されますが、今年の状況は「例年より10日遅れているそうですが、既に3月26日にお茶摘みイベントが行われ東日本大震災の被災地に新茶が送られるそうです。今頃は収穫のピークにあると思います。」(しもきた茶苑大山 大山泰成さん)


沖縄以外にも走り新茶の産地としては、鹿児島県の種子島や屋久島のお茶も多く見かけます。
ただし、今年は「種子島あたりも遅れていて、今年の鹿児島茶市場初上場は4月7日に種子島産の松寿と徳之島産の「そうふう」だったそうです。」(しもきた茶苑大山 大山泰成さん)


ちなみに、日本での煎茶の北限は日本海側で新潟県村上市(村上茶)、太平洋岸で宮城県石巻市(桃生茶)と言われています。これは商業的にお茶の栽培をしている地域です。それよりも北にも茶の樹は存在し、製茶の北限が秋田県能代市の檜山茶、栽培の北限が青森県黒石市、植樹としての北限が北海道古平町になります。
一方、南は沖縄でも煎茶も作られていますが、生産量は少なくあまり多くは流通されていないようです。
北は北海道から南は沖縄まで、茶の樹は植えられています。まさにお茶の国です。






◆品種は? What's?

品種とはお米でいう「コシヒカリ」や「あきたこまち」。いちごの「あまおう」や「とちおとめ」。ブドウ(ワイン)の「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「シャルドネ」と言うとわかりやすいでしょうか。

お茶にも品種があります。国内で栽培されているお茶の約75%は「やぶきた」品種ですが、この時期は「さえみどり」や「ゆたかみどり」、「くりたわせ」、「しゅんたろう」といった早生品種のお茶を見かけることも。前述の走り新茶の沖縄は「印雑」の品種が多いとか。
早生品種がやぶきたと合組(ごうぐみ)、ブレンドされている場合も多いです。


よく飲まれる「やぶきた」は中生品種です。中生品種は他には「さやまかおり」や「めいりょく」といったものがあります。

中生品種より遅く摘まれる茶の樹は晩生品種です。「おくみどり」や「おくひかり」といった、品種名に「おく」がついたものが多いです。






◆時期は? When?

「夏も近づく八十八夜~」ではじまるお茶の歌は、立春から数えて88日目、5月2日ごろの八十八夜に茶摘みをする光景を歌っています。
八十八夜に摘まれた新茶は縁起がよく、飲むと長生きするありがたいお茶とされてきました。

走り新茶が5月2日よりもずっと早い3月中旬に摘まれますが、それがいかに早いかわかります。






新茶のシーズン到来を告げる各茶市場での新茶の2017年の初取引日です。
・鹿児島茶市場 新茶初取引会:2017年4月11日
・宮崎茶市場新茶初取引会:2017年4月19日
・静岡茶市場新茶初取引会:2017年4月24日

鹿児島県茶市場は前年より4日遅い4月11日、静岡茶市場は前年より3日遅い4月24日と、今年の新茶は例年より5日前後遅めの傾向です。


今年の新茶の状況を「しもきた茶苑大山」の茶師・大山泰成さんに伺いました。

大山さん:
「新茶が待ち遠しい今日このごろですが、4月11日に全国を先駆けて鹿児島新茶の初取引会が開催されました。取引内容は島嶼産の3点、24.1kgだったそうです。
全国的にも同じ傾向のようです。このような年はお茶農家にとっては早場所と遅場所、品種間の差が少ない超短期集中の生産になりやすく大変ですが、むしろ「山のお茶」産地の意欲を後押しして良質なお茶が生産されることが多いように思います。みなさん期待してください!」



やはり新茶の出足しは遅く、お茶農家さんも超短期集中の生産になりそうとのことですが、良質なお茶が多く作られることは嬉しいことです。

取引内容について過去を遡ると昨年は4月7日で40点、1,542kgと、4日早い初取引にもかかわらず取引量は今年よりも多いです。一昨年は今年より1日早い4月10日で、1,140点、135トンと最盛期の初取引でした。
ここ数年で見ると今年は取引量が少ないのが特徴的です。
今年のお茶はこれからに期待です!






新茶シーズンを前に、お茶を作る人、売る人、買う人など、お茶関係者は多かれ少なかれワクワク、そわそわ、時にハラハラします。
新茶初取引は11日の鹿児島の後は、宮崎、静岡と続き、八十八夜のゴールデンウィークごろにかけて新茶取引はピークを迎えます。

摘みたてのフレッシュな新茶が市場に出回り、店頭やオンライン販売でも購入できるようになります。新茶の販売会やイベントなども各地で行われるでしょう。
熟成してまろやかになったお茶も美味しいですが、この時期だけの、出来たばかりのエネルギー溢れる新茶をぜひ味わってみてください。


「今年のお茶は○○だね。」などつぶやけば、「お、この人違いがわかる男( or 女)だな」と一目置かれるかもしれません。



・しもきた茶苑大山 大山泰成(茶師十段)
住所:東京都世田谷区北沢2-30-2
ホームページ
Twitter:@shimokita5588


(satomin@お茶ライター Teawriter)


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