松本潤主演『どうする家康』でアノ役はどの俳優が演じるのか?役所広司や夏目雅子も出演した1983年の大河ドラマ『徳川家康』から予想してみた。

2023/1/6 17:30 龍女 龍女




(『徳川家康』の主役滝田栄 イラストby龍女)

主役の徳川家康を演じたのは、滝田栄(1950年12月5日生れ)である。
当時は大抜擢で、大作の主役は初めてだった。
大河ドラマ出演は『草燃える』(1979)の架空のキャラ伊東祐之が初めてである。
橋田壽賀子(1925~2021)が初めて大河ドラマを手がけた
『おんな太閤記』(1981)では、豊臣秀吉(西田敏行)の親友で、後に加賀百万石の大大名家、加賀藩の祖となる
前田利家(1538~1599)を演じた。

1980年の朝ドラ『なっちゃんの写真館』ではヒロイン(星野知子)の夫役を演じた。
後に同じ山岡荘八原作の『独眼竜政宗』の主役に抜擢された渡辺謙同様に、朝ドラのヒロインの相手役は、大河ドラマの主役の布石になっている。(渡辺謙は『はね駒』のヒロインの夫役)

滝田栄は、満を持して大河ドラマ出演3作品目に、徳川家康という大役を預かった。
役作りで家康が竹千代の頃の今川家の人質として10代前半を過ごした静岡県の古刹、臨済寺を訪れた。
実際に過ごした竹千代の間の隣に宿を借りて禅の修行に励んだそうだ。
臨済寺はその名の通り、禅の宗派である臨済宗妙心寺派の寺院である。
駿河の領主今川義元(1519~1560)は名門今川家の生まれではあるが、嫡男では無い。
当初は相続の見込みがなかったので、出家して、臨済宗の僧・栴岳承芳(せんがくしょうほう)となっていた。
師匠の太原雪斎(1496~1555)は、兄・今川氏輝(1513~1536)の死をきっかけに、家督争いから今川家を相続することになった義元を支えたブレーンでもある。
竹千代はその雪斎を師に学問を学んだので、信長・秀吉に比べても教養の高さではずば抜けている。
そうした家康の内面を実際に過ごした寺院で体験したことは後の人生にも大きな影響を与えたそうだ。
21世紀に入ってから、俳優としての活動よりも仏師として活躍しているそうだ。


(今川義元を演じる成田三樹夫 イラストby龍女)

今川義元を演じたのは成田三樹夫(1935~1990)だ。
貴族を演じさせたら天下一品とされた悪役俳優である。
大河ドラマでは『新・平家物語』の藤原頼長役などがあるが、日本映画史的にはなんと言っても『柳生一族の陰謀』の烏丸少将である。
他にも映像としてよく観られているのは、『仁義なき戦い』シリーズや、松田優作主演のTVドラマ『探偵物語』の服部刑事役だ。
主人公の工藤俊作(松田優作)を
「工藤チャ~ン」と呼ぶ声のトーンが絶妙に面白かった。

今川義元は今川家の領主になる前は京都の禅僧であった事から、駿河に貴族文化を持ち込んだ。
桶狭間の戦いで討ち死にした為に評価は不当に低いが、徳川家康が三河の一国人領主から出世できた原因は、今川義元の人質として高度な教育を受けたことが大きい。
成田三樹夫自身も中退だが東大出身で、俳人という側面を持っていた。
随筆家の白洲正子(1910~1998)も贔屓の俳優で、彼の遺した句集について言及している。

『どうする家康』での今川義元を演じるのは、野村萬斎(1966年4月5日生れ)である。


(家康の母・於大を演じる大竹しのぶ イラストby龍女)

昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、源実朝の運命を予言する歩き巫女役も印象的だった大竹しのぶ(1957年7月17日生れ)。
徳川家康の人生の波乱のきっかけとなる母、於大の方(1528~1602)を演じた。
後年、大竹しのぶはたまたま『徳川家康』の再放送を観ていたら、自分が出ていてビックリしたそうである。
「覚えて無かったんかい!」

しかし、調べてみると、1983年は他にドラマ4本映画1本に出ており、私生活でも前年に結婚しており、一番人生の中で忙しかった時期だったようである。

『どうする家康』で於大を演じるのは、松嶋菜々子(1973年10月13日生れ)である。


(築山殿を演じる池上季実子 イラストby龍女)

今川義元の縁戚の関口家の息女・瀬名こと築山殿(?~1579)を演じたのが
池上季実子(1959年1月16日生れ)である。
映画の代表作になる『陽暉楼』と同年に放送されたので、一番俳優として脂がのりきっている時期だった。

父が商社勤務の関係でニューヨークで生まれ、母方の従兄に十代目坂東三津五郎(1956~2015)がいる。
ハグの習慣が身についているせいか、それが日本社会の習慣と合わず根も葉もない交際の噂に繋がり、悩んだそうだ。

『徳川家康』における築山殿は、夫家康が多忙でほっとかれたために、武田信玄と内通している家臣大賀弥四郎(寺泉憲)と密通してしまう。
信長の娘の徳姫(田中美佐子)は、家康と築山殿の息子松平信康(宅麻伸)の妻である。
築山殿とは仲が悪く、築山殿と信康は武田信玄と内通していると、父信長に報告した。
築山殿と信康は、信長から家康への命で、殺されてしまう。
家康は信長の同盟関係を守るために、正室と嫡男を殺す悲劇に見舞われる。
築山殿は、今川の人質時代の家康と大きく関係が変わってしまったために、殺されてしまった悲劇の姫君である。
しかし、かわいそうと言うより様々な要因で翻弄するされる女性と言う役柄は、池上季実子によく似合う、特徴的な個性と言えるだろう。

主演作品ではないが、於大役を演じた大竹しのぶと共演したTVドラマ『男女7人夏物語』(1986)の浅倉千明役にもそれが反映されている。

筆者は、約20年前大谷大学在学中に、京都のスターバックス三条大橋店で池上季実子を見かけたことがある。
公称では156cmらしいが確かに小さかったので、びっくりした。

最近その思い出を母に話したら、
「チビタンクみたいだった?」
と聞かれたが、他のたとえで言うと、筆者の生れる前の昭和三十年代に流行った言葉
トランジスタ・グラマー
が思い浮かんだ。

『どうする家康』で、築山殿は有村架純(1993年2月13日生れ)が演じる。

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