三谷幸喜が『鎌倉殿の13人』で源実朝(柿澤勇人)暗殺事件をしつこく描きたい理由に、過去の大河ドラマで自ら演じた役にヒントがあった!

2022/11/25 17:45 龍女 龍女

三谷幸喜は脚本家として、3回目(『新選組!』『真田丸』)の大河である。
実は俳優としても出番は少ないものの重要な役で2回出演している。

1回目は
司馬遼太郎原作大石静が脚色した『功名が辻』(2006年)。
室町幕府最後の将軍
足利義昭(1537~1597)を演じた。


(『功名が辻』の主人公、山内一豊の妻・千代 イラストby龍女)


(大石静 イラストby龍女)

2回目は宮藤官九郎が書いた
『いだてん~東京オリムピック噺』(2019年)で


(宮藤官九郎 イラストby龍女)

三谷幸喜は市川崑(1915~2008)を演じた。
市川崑は日本映画黄金期を代表する映画監督の一人。
東京オリンピックの記録映画の監督に選ばれた。
しかし最初から市川崑だったわけではなく、当初は黒澤明(1910~1998。ロックバンド怒髪天の増子直純が演じた)だった。
いだてんの後半の主人公・田畑政治(1898~1984。阿部サダヲが演じた)が組織委員会から去ったので降板した。
そこで、市川崑にお鉢が回ってきた。


(『いだてん』で三谷幸喜が演じた市川崑 イラストby龍女)

三谷幸喜が市川崑を演じることになったのは、晩年の市川崑本人と接点があったからだ。

三谷幸喜が足利義昭を演じた年は2006年。
その年に公開された市川崑が監督した作品がある。
『犬神家の一族』だ。
これは1976年に公開された『犬神家の一族』のリメイクである。
最後のシーンを除き、細かい変更はあるモノ、ほぼ同じように撮られた。
制作された理由に後世の映画関係者のためのテキストという目的があったからだ。
主役もオリジナルの映画化の主役石坂浩二が金田一耕助を演じている。

しかし、配役はオリジナルに出た俳優が殆ど物故者になったので大幅に入れ替わった。
1976年版で犬神竹子を演じた三條美紀(1928~2015)はお園に変わった。
1976年版では妹の梅子を演じた草笛光子が2006年版では琴の師匠を演じている。
三谷幸喜は1976年には原作者の横溝正史(1902~1981)が演じた金田一耕助が宿泊する那須ホテル主人役であった。
三谷幸喜は市川崑監督の金田一耕助シリーズの大ファンで、2006年の『古畑任三郎ファイナル』のエピソード『今蘇る死』で石坂浩二を登場させてオマージュをしている。

更に、2008年に公開された三谷幸喜の監督作『ザ・マジックアワー』では、市川崑が映画監督役として登場している。
この時市川崑が演じる映画監督が撮影している作品名は、
『黒い101人の女』
船越英一郎のコラムでも触れた『黒い10人の女』のパロディである。

筆者が覚えていて欲しいのは
『ザ・マジックアワー』の主役が佐藤浩市(1960年12月10日生れ)だったことだ。

『鎌倉殿の13人』では上総広常(?~1184)を演じた。
源頼朝(大泉洋)は反乱を企んでいた鎌倉御家人を結束させるために、人身御供に最も有力者だった上総広常を北条義時(小栗旬)に殺させた。


では、次は筆者がヒントにしたと観ている『犬神家の一族』とは、どういうあらすじだったのか?
ミステリーと言う性質上、犯人は誰かはハッキリさせず、発端まで詳しく紹介する。

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