上白石萌音、深津絵里、川栄李奈のトリプルヒロインの朝ドラ新作『カムカムエヴリバディ』!『ちりとてちん』『平清盛』過去のNHKドラマとの共通点はあの人だ!?

2021/11/4 22:00 龍女 龍女

②筆者お薦めのオリジナル時代劇『咲くやこの花』

『ちりとてちん』のなかでも、落語を解説するシーンで時代劇パートは存在したが、本格的な時代劇に挑戦した作品である。


(カルタ大会に挑む主人公 イラストby龍女)

主演は成海璃子(1992年8月18日生れ)。
ネガティブな性格で地味に生きようとするという、『ちりとてちん』のヒロイン喜代美にも通じる主人公・こいを演じている。

江戸時代の百人一首のカルタ大会に挑む物語である。
引っ込み思案な主人公を大会へ導くきっかけになった相手役の浪人・深堂由良を演じるのは、平岡祐太(1984年9月1日生れ)である。
題名の元になった和歌は、平安中期の勅撰(天皇・上皇の名で編纂された)古今和歌集の仮名序(ひらがなで書かれた序文)に出てくる。

難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花

ドラマの語りは、新古今和歌集の編者の一人で、小倉百人一首の編者・藤原定家に扮した中村梅雀であった。
ちなみに2009年から連載が始まった大人気漫画『ちはやふる』も百人一首、在原業平の一首から引用している。

このドラマが藤本有紀作品で重要な位置を占めている理由がある。
藤原定家が確立した和歌における手法、本歌取りを脚本に取り入れた。
ちりとてちんで確立した藤本有紀の作風の種明かしをしてくれた作品なのだ。

本歌取りとは、過去の和歌の有名なフレーズを使ってそのイメージを引用しつつ新たな趣向をもたらす高度な技術だ。
現代の音楽ジャンルでは、ラップミュージックの手法であるサンプリングと通じる。
その点において、藤本有紀は3歳年下の宮藤官九郎(1970年7月19日生れ) と同じ資質を持っている。
元ネタがあってそこから新たなドラマを生み出すのだ。

宮藤官九郎はサブカルチャーからの引用が多いが、藤本有紀はメインカルチャーである国文学の造詣も深いようだ。


次のページでは、このドラマの主役の成海璃子が、ドラマの転換点を担うキャラクター主人公の義妹・平滋子を演じた大河ドラマ『平清盛』について、紹介しよう。

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