上白石萌音、深津絵里、川栄李奈のトリプルヒロインの朝ドラ新作『カムカムエヴリバディ』!『ちりとてちん』『平清盛』過去のNHKドラマとの共通点はあの人だ!?
①『ちりとてちん』までの道のり
2007年秋から2008年の冬にかけての朝ドラ『ちりとてちん』にたどり着く前に、藤本有紀はどんなドラマを手がけていたのだろう?
ドラマの脚本家になる前は、6人組のアカペラ劇団カクスコ(1987~2002年主宰中村育二)等の小劇団の脚本を書いて、フジテレビ『鬼の棲家』(1999年1月~3月)からデビューしている。
このドラマは、『ラブ・ジェネレーション』(2001年4月~6月)である。
この2作品のドラマには、劇団カクスコのメンバーが出ていて、座付き作家のような役割をしていた過去がうかがえる。
別のマンガの実写化ドラマの企画がなくなり、急いで3人体制で脚本家が3月分を書いた作品がある。
TBSの金曜22時の大ヒットドラマ『花より男子』(2005年10月~12月。1・5・7話担当)である。
ちなみに他の脚本家とは、2話のみ高橋ナツコ、3・4・8・9(最終回)話担当がサケタミキオ名義時代の宅間孝行(1970年7月17日生れ)である。
※ちなみに『花より男子2』(2007年1月~3月)では、全話サタケミキオである
これが『ちりとてちん』と繋がる。
設定の共通点が2つある。
①『花より男子』のヒロイン・牧野つくし(井上真央)と、『ちりとてちん』のヒロイン・和田喜代美(貫地谷しほり)は性格は全く違うが、地味目のヒロインである。
②牧野つくしが名門高校に入って対峙するスクールカースト上位の4人組F4に出逢う。
その内の道明寺司(松本潤)と恋に落ちるが、密かに花沢類(小栗旬)にも惚れられる。
『ちりとてちん』では和田喜代美は、入門した徒然亭一門の4人の兄弟子が登場する。
その家の一人、草々(青木崇高)と恋に落ちるが、一門の師匠・徒然亭草若(渡瀬恒彦)の息子、兄弟子の小草若(茂山宗彦)にも惚れられていた。
(『ちりとてちん』より。高座に上がって落語をしている高座名・徒然亭若狭こと和田喜代美 イラストby龍女)
(緊張している一番弟子の徒然亭草原。演じる桂吉弥は、メインキャストで唯一の本職の落語家。 イラストby龍女)
(何か企んでいる表情にしかみえない徒然亭四草。加藤虎ノ介が演じる。 イラストby龍女)
(落語バカの徒然亭草々。 イラストby龍女)
(見台の前で高座に上がる徒然亭草若。 イラストby龍女)
(持ちギャクのポーズをしている徒然亭小草若。 イラストby龍女)
俳優での繋がり
①藤本有紀担当の回に登場しないが、『花より男子2』に登場する西門総二郎の初恋の相手・日向更役が貫地谷しほり。
②牧野つくしの友人の三条桜子役の佐藤めぐみは『ちりとてちん』では、あだ名がA子こと同姓同名の和田清海で出演している。
さて肝心のドラマのタイトル『ちりとてちん』とは上方(首都で上りの方角という意味。京都・大阪をさした)落語の演目からとった。
上方落語の女性落語家を目指すヒロインを描いた。
元々、江戸落語の『酢豆腐』を上方で改作したモノである。
貫地谷しほり(1985年12月12日生れ)は、和田喜代美役として若狭地方出身の女性を演じた。
実は東京都荒川区出身。隣の台東区に、東京の演芸の中心地の一つ浅草がある。
むしろ、江戸落語の世界の住人と地続きの環境に育った。
登場人物のキャラクターは、特にメインの大阪のパートに出てくる登場人物は落語の中のキャラクターを引用している。
四草のキャラ設定は、『算段の平兵衛』から引用されている。余談だが、落語家としての明石家さんまの得意演目で、四草は女にモテるのだが、参考にしているのだろうか?
徒然亭一門のご近所さんで仏壇屋の菊江(キムラ緑子)は『菊江仏壇』から。
同じくご近所さんの居酒屋『寝床』の主人熊五郎(木村祐一)。
下手なフォークソングを披露したがる設定は、下手な浄瑠璃を披露したがる旦那が出てくる内容の『寝床浄瑠璃』を現代に置き換えている。
現代パートで重要だったのは、ヒロイン・和田喜代美の地元・福井である。
話全体がフィクションであるにも関わらず、実名で地元の大スター五木ひろし(1949年3月14日生れ)が出てくる。
喜代美の母・糸子(和久井映見)が五木ひろしの大ファンで、中でも「ふるさと」(作詞・山口洋子、作曲・平尾昌晃) が好きなのだ。
1973年7月にシングルレコード発売されたヒット曲で、第24回の紅白歌合戦でも五木ひろしは歌っている。
主人公はその日、1973年12月31日に産まれた。
回想シーンで臨月の糸子も登場する。
同時に誕生日をまとも祝ってもらえない喜代美のネガティブな性格の由来にもなっている。
巧みな仕掛けがされている。
余談だが、五木ひろしは今年から紅白には出場しない。
連続出場記録が50回で止まった。
北島三郎とタイ記録である。
こんな年に藤本有紀が再び朝ドラを担当するのも何か縁を感じずにはいられない。
朝ドラヒロインとして型破りすぎたのと、伏線がありすぎてドラマに集中しないと分からない部分もあった。
視聴率はいまいち伸びなかったが、DVDーBOX売り上げに関して、朝ドラ史上最高視聴率だった『おしん』を抜いて第1位というカルト的大人気の名作ドラマなのである。
朝ドラは、2000年代は低迷している。
歴代ワースト視聴率はトップ10の内、9位から1位まで2000年代に集中し、『ちりとてちん』も4位である。
しかし、平均視聴率の数値だけでは分からない人気ぶりで、スピンオフ『まいご3兄弟』も制作されている。
2010年代は復活し、全盛期を迎える。
一部評論家筋では最高傑作と呼ばれる、脚本・渡辺あや『カーネーション』(2011月10月~2012年3月)。
SNSのつぶやきがトレンドになった『あまちゃん』(2013年4月~9月)。
後に大河ドラマ『青天を衝け』をリンクさせることになった脚本家・大森美香の傑作『あさが来た』(2015年9月28日~2016年3月)と他にも秀作が続けて製作された。
朝ドラの存在意義を改めて見直し、2010年代のヒット連発の大きな伏線となった傑作として朝ドラ史に重要な作品として記録されていくことになるだろう。
次は藤本有紀が手がけた初の時代劇『咲くやこの花』について紹介しよう。
2007年秋から2008年の冬にかけての朝ドラ『ちりとてちん』にたどり着く前に、藤本有紀はどんなドラマを手がけていたのだろう?
ドラマの脚本家になる前は、6人組のアカペラ劇団カクスコ(1987~2002年主宰中村育二)等の小劇団の脚本を書いて、フジテレビ『鬼の棲家』(1999年1月~3月)からデビューしている。
このドラマは、『ラブ・ジェネレーション』(2001年4月~6月)である。
この2作品のドラマには、劇団カクスコのメンバーが出ていて、座付き作家のような役割をしていた過去がうかがえる。
別のマンガの実写化ドラマの企画がなくなり、急いで3人体制で脚本家が3月分を書いた作品がある。
TBSの金曜22時の大ヒットドラマ『花より男子』(2005年10月~12月。1・5・7話担当)である。
ちなみに他の脚本家とは、2話のみ高橋ナツコ、3・4・8・9(最終回)話担当がサケタミキオ名義時代の宅間孝行(1970年7月17日生れ)である。
※ちなみに『花より男子2』(2007年1月~3月)では、全話サタケミキオである
これが『ちりとてちん』と繋がる。
設定の共通点が2つある。
①『花より男子』のヒロイン・牧野つくし(井上真央)と、『ちりとてちん』のヒロイン・和田喜代美(貫地谷しほり)は性格は全く違うが、地味目のヒロインである。
②牧野つくしが名門高校に入って対峙するスクールカースト上位の4人組F4に出逢う。
その内の道明寺司(松本潤)と恋に落ちるが、密かに花沢類(小栗旬)にも惚れられる。
『ちりとてちん』では和田喜代美は、入門した徒然亭一門の4人の兄弟子が登場する。
その家の一人、草々(青木崇高)と恋に落ちるが、一門の師匠・徒然亭草若(渡瀬恒彦)の息子、兄弟子の小草若(茂山宗彦)にも惚れられていた。
(『ちりとてちん』より。高座に上がって落語をしている高座名・徒然亭若狭こと和田喜代美 イラストby龍女)
(緊張している一番弟子の徒然亭草原。演じる桂吉弥は、メインキャストで唯一の本職の落語家。 イラストby龍女)
(何か企んでいる表情にしかみえない徒然亭四草。加藤虎ノ介が演じる。 イラストby龍女)
(落語バカの徒然亭草々。 イラストby龍女)
(見台の前で高座に上がる徒然亭草若。 イラストby龍女)
(持ちギャクのポーズをしている徒然亭小草若。 イラストby龍女)
俳優での繋がり
①藤本有紀担当の回に登場しないが、『花より男子2』に登場する西門総二郎の初恋の相手・日向更役が貫地谷しほり。
②牧野つくしの友人の三条桜子役の佐藤めぐみは『ちりとてちん』では、あだ名がA子こと同姓同名の和田清海で出演している。
さて肝心のドラマのタイトル『ちりとてちん』とは上方(首都で上りの方角という意味。京都・大阪をさした)落語の演目からとった。
上方落語の女性落語家を目指すヒロインを描いた。
元々、江戸落語の『酢豆腐』を上方で改作したモノである。
貫地谷しほり(1985年12月12日生れ)は、和田喜代美役として若狭地方出身の女性を演じた。
実は東京都荒川区出身。隣の台東区に、東京の演芸の中心地の一つ浅草がある。
むしろ、江戸落語の世界の住人と地続きの環境に育った。
登場人物のキャラクターは、特にメインの大阪のパートに出てくる登場人物は落語の中のキャラクターを引用している。
四草のキャラ設定は、『算段の平兵衛』から引用されている。余談だが、落語家としての明石家さんまの得意演目で、四草は女にモテるのだが、参考にしているのだろうか?
徒然亭一門のご近所さんで仏壇屋の菊江(キムラ緑子)は『菊江仏壇』から。
同じくご近所さんの居酒屋『寝床』の主人熊五郎(木村祐一)。
下手なフォークソングを披露したがる設定は、下手な浄瑠璃を披露したがる旦那が出てくる内容の『寝床浄瑠璃』を現代に置き換えている。
現代パートで重要だったのは、ヒロイン・和田喜代美の地元・福井である。
話全体がフィクションであるにも関わらず、実名で地元の大スター五木ひろし(1949年3月14日生れ)が出てくる。
喜代美の母・糸子(和久井映見)が五木ひろしの大ファンで、中でも「ふるさと」(作詞・山口洋子、作曲・平尾昌晃) が好きなのだ。
1973年7月にシングルレコード発売されたヒット曲で、第24回の紅白歌合戦でも五木ひろしは歌っている。
主人公はその日、1973年12月31日に産まれた。
回想シーンで臨月の糸子も登場する。
同時に誕生日をまとも祝ってもらえない喜代美のネガティブな性格の由来にもなっている。
巧みな仕掛けがされている。
余談だが、五木ひろしは今年から紅白には出場しない。
連続出場記録が50回で止まった。
北島三郎とタイ記録である。
こんな年に藤本有紀が再び朝ドラを担当するのも何か縁を感じずにはいられない。
朝ドラヒロインとして型破りすぎたのと、伏線がありすぎてドラマに集中しないと分からない部分もあった。
視聴率はいまいち伸びなかったが、DVDーBOX売り上げに関して、朝ドラ史上最高視聴率だった『おしん』を抜いて第1位というカルト的大人気の名作ドラマなのである。
朝ドラは、2000年代は低迷している。
歴代ワースト視聴率はトップ10の内、9位から1位まで2000年代に集中し、『ちりとてちん』も4位である。
しかし、平均視聴率の数値だけでは分からない人気ぶりで、スピンオフ『まいご3兄弟』も制作されている。
2010年代は復活し、全盛期を迎える。
一部評論家筋では最高傑作と呼ばれる、脚本・渡辺あや『カーネーション』(2011月10月~2012年3月)。
SNSのつぶやきがトレンドになった『あまちゃん』(2013年4月~9月)。
後に大河ドラマ『青天を衝け』をリンクさせることになった脚本家・大森美香の傑作『あさが来た』(2015年9月28日~2016年3月)と他にも秀作が続けて製作された。
朝ドラの存在意義を改めて見直し、2010年代のヒット連発の大きな伏線となった傑作として朝ドラ史に重要な作品として記録されていくことになるだろう。
次は藤本有紀が手がけた初の時代劇『咲くやこの花』について紹介しよう。