最もハリウッドで成功した日本人俳優?『MINAMATA』出演の真田広之が師匠・千葉真一を超えたモノとは?

2021/9/29 22:00 龍女 龍女

⑤分身としての俳優と『ウエストワールド』
俳優がキャリアの中でキャスティングされる理由を考えるとやはり過去作の存在は無視できない。


(『ウエストワールド』の1シーンから引用 イラストby龍女)

アメリカの有料ケーブルTV局HBOで2018年から放映されているTVシリーズ『ウエストワールド』で真田広之は剣豪アンドロイドのムサシを演じている。
この作品は、第1シーズンが西部劇テーマパークで起こるトラブルで始める。
この企画の元になったマイケル・クライトン(1942~2008)が監督・脚本を務めた1973年の映画の世界観に準じている。
第2シーズンで真田広之は初めて登場した。TVシリーズのオリジナルの展開で、アメリカ人の考えた時代劇テーマパークで起こるトラブルが描かれる。
このキャラクターを配役するにあたり、製作陣は当然、黒澤映画や千葉真一の作品を念頭に置いていたはずである。

かつて真田広之の初主演作『忍者武芸帳・百地三太夫』(1980年)の公開に当たって師匠の千葉真一は
「僕はアクションが好きで、俳優として東映に入社したときから本格的なアクション映画を創りたいと念じていた。だがそれが果たせないままに年月が流れ、ようやく機会が訪れたとき、体は若い頃のようにどうしても動けない……果たせなかった夢を広之で果たしたい。広之は僕の分身なんです」
とコメントしている。

千葉真一が初監督をした『リメインズ 美しき勇者たち』(1990年)の主役は、真田広之である。

さて、最後に最新作の『MINAMATA』について紹介して、真田広之の今を確認していこう。

    次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6