③ドラマと映画が両立できた30代以降


（映画の1シーンから引用　イラストby龍女）

フジテレビで大ヒットした時代劇『大奥』の劇場版では、大奥でもっと有名な、江島生島事件の当事者、歌舞伎役者の生島新五郎を演じた。

徳川将軍の後継者を育てるための組織、大奥がある。
江島生島事件とは、6代家宣の側室で7代家継の生母となった月光院（井川遥）の右腕の御年寄の江島が主役である。
映画では仲間由紀恵が演じている。
月光院の名代で、徳川家の菩提寺の寛永寺と増上寺に参詣した帰りのこと。
山村座で芝居を観て、遅くなってしまい門限にギリギリ間に合わなかった。
そこで、贔屓にしていた役者生島新五郎と密会したのではと疑われた。
拷問がひどく生島新五郎は自白させられたが、おそらくえん罪であろう。
7代将軍家継は夭折してしまって後継者争いに大奥が絡んでいた時期なので、権力を持っていた江島が政治的圧力で消されてしまった可能性が高い。
江島は信州の高遠に、生島は三宅島へ遠島の処分が下された。
筆者は、高遠城の江島が幽閉された屋敷を再現した場所、江島囲み屋敷に見学に行っている。
江島囲み屋敷の周りには塀が囲まれている。
塀の上には侵入できないように忍び返しという仕掛けがあり、外側からも内側からも出られないようにな厳重な仕掛けが施されている。
建てさせた権力者の意思が感じられ、幽閉された江島の気持ちを想像すると、憂鬱な面持ちがした。

生島新五郎はこの事件のために名前が残ったが、歌舞伎俳優としては市川團十郎の名を繋げた2代目市川團十郎の師匠としても名高く、名優であったようだ。


30代になり、単なるイケメンから演技派として認められた。
今度は、『人間失格』を書いた太宰治をモデルにした津軽弁の男、杉冬吾を演じた。
『純情きらり』は2006年4月から9月まで放送された。ヒロイン・有森桜子役は宮崎あおいである。
杉冬吾は姉の笛子（寺島しのぶ）と結婚するので義兄に当たる。
宮崎あおいは1985年生まれだが、この世代の女優は当たり年だ。
その世代の兄的存在役が続いていく。
早生まれであるが、同い年の綾瀬はるか。
彼女が主人公の新島（旧姓・山本）八重を演じた2013年の大河ドラマ『八重の桜』。
西島秀俊は思わぬブレイクをする。