『おかえりモネ』の夏木マリは何故いちいちカッコイイ?

2021/6/2 22:30 龍女 龍女

朝ドラ出演2作目になる『カーネーション』。
脚本家の渡辺あやは、映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003年)でデビューした。
その渡辺あやが初めて手がける連続ドラマとして、筆者も毎日楽しみに観ていた。
主役はNHK広島で制作された地方発の1時間ドラマの『火の魚』で既に渡辺あやの脚本でヒロインを務めた尾野真千子であった。
途中で驚きの発表がなされた。
60代以降の主人公は、夏木マリに交代し最後の一ヶ月間出演するという。
5ヶ月間尾野真千子に馴染んできただけに、色々ドラマについて書いたブログやSNS上に書かれた。
筆者も2010年にTwitterを始めていたので、一部バッシングも目にしている。
しかし結果的にはこの判断は間違いではなかったと思う。


(『カーネーション』より。病院でのシーンから引用 イラストby龍女)

演じた小原糸子のモデルの小篠綾子(1913~2006)とは面識があったからだ。
2ページ目で前述したとおり、コシノジュンコとはGSの追っかけで知り合いであったと考えられる。
その後に小篠綾子と交流が生まれたのは当然の流れであったろう。

小篠綾子は晩年に自らのブランド「アヤコ・コシノ」を立ち上げた。
デザインは娘たち、いわゆるコシノ三姉妹のデザインからの引用が多かったらしいが、そういった若者向けのデザインを中高年以上の年齢層向けに仕立て直したサイズ展開という意味では画期的なブランドであった。

夏木マリはババア(あえて毒蝮三太夫風に呼ぶ)のロールモデルを演じた。
尊敬する先輩たちから大事な学びを受け取って、後輩たちに渡していく役割を与えられた。
ドラマ『カーネーション』は朝ドラが好きだった糸子が死んで、死後に娘と孫が『カーネーション』の第一回を観ているシーンで終わる。
朝ドラ史上でも少なくとも21世紀に入ってからは最高傑作と言われる作品でヒロインの最晩年を演じた。
間違いなく夏木マリの俳優としての代表作の一つとなった。

そして、10年後、夏木マリは再び朝ドラに出演することになった。
東北は宮城県を舞台にした『おかえりモネ』である。
その役について次は触れていきたい。

    次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5