『おかえりモネ』の夏木マリは何故いちいちカッコイイ?

2021/6/2 22:30 龍女 龍女

平成の初め1989~95年まで『男はつらいよ』シリーズで、満男(吉岡秀隆)のガールフレンド及川泉(後藤久美子)の母親及川礼子役で連続出演した。
1996年の朝ドラ『ひまわり』のヒロインの母役など年齢的に母親役が多くなる。

彼女のキャリアに変化が訪れるのは今度は歌手活動であった。
渋谷系の時代になり、ピチカート・ファイブの小西康陽プロデュースで『むかし私が愛した人』(1995年8月25日発売)をだした。
ちわきまゆみ(ロックシンガーの方。あの大歌手ではない)のカバーらしいが、調べてみて初めて知った。
小西康陽らしいポップな名曲だ。

2000年前後になると、かつての夏木マリを観ていた少年が大人になり制作者になった。
大きな役のオファーが来た。


(『ピンポン』の1シーンから引用 イラストby龍女)

映画『ピンポン』(2002年7月20日公開)のオババ役である。
主人公のペコ(窪塚洋介)のコーチ役として登場する卓球場の女主人だ。
今ではコンプライアンス的にダメな、たばこを吸う姿がかっこよすぎる。
漫画が原作なので、見た目に忠実に再現しているだろう。
漫画の実写化では見た目からして配役の割合が実写の原作よりも比重が高い。
この作品で二度目の日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得した。
前年のジブリ作品の『千と千尋の神隠し』では湯婆婆と、双子の銭婆の二役を吹き替え、50歳を迎えてファンキーなババア役と言えば夏木マリという感じになってきた。

2000年代半ばにブレイクしたエロかっこいいと呼ばれた倖田來未がリスペクトする存在としてクローズアップされた。

長年独身であったが、大きな出逢いがある。


(斉藤ノヴ。ほぼイトイ新聞から引用 イラストby龍女)

2006年に結成したブルース・ロックバンド、ジビエ・ド・マリのメンバーでもあるパーカッショニストの斉藤ノヴと交際を始め、事実婚状態になる。
彼は日本の屈指のスタジオミュージシャンで、知る人ぞ知る存在だった。
筆者は1991年頃から名前を知っていた。
テレビ東京で放送されていた『タモリの音楽は世界だ』の出演したバンドのノブサンズのリーダーだった。

夏木マリは本来やりたかったブルース・ロック歌手になった。
一方で演劇では1990年代に立ち上げた自己プロデュースの舞台・印象派を発展させた印象派Neoを始めた。
生涯の伴侶をなるべき人を見つけ、芸能の世界でようやく自分の居場所を作った。

2010年には支援活動OneOfLoveを立ち上げる。
元々海外の途上国の女性と子供のための支援活動であったが、皮肉にも翌年の東日本大震災の影響で日本でも重要な位置を占めるようになる。
被害に遭った東北では数多くの芸能人がボランティアをしたが、夏木マリもその一人だ。
そんな中、2011月の5月に斉藤ノヴと正式に入籍した。

更に2012年の始めに夏木マリは大きな役の依頼を受ける。
次はそれについて、取り上げていこう。

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