ときめきと情緒と…Lampの80年代、90年代に触れてみた(4/4)

2018/6/19 12:08 フレネシ フレネシ


■ アジアのシーンで注目しているのは?

―――フ:台湾や韓国でのツアーを行っていますが、アジアのシーンで気になるアーティストやレーベルは?

染:僕は台湾の落日飛車と韓国の公衆道徳ですね。

落日飛車「金桔希子」


落日飛車はレコーディングもライブも両方良いという稀なバンドです。日本は上辺だけのシティポップが流行っただけだから、彼らのような本当に良質な音楽を受け入れる土壌がありそうに見えて、実は中々ない。彼らはアジア圏以外でもすごく人気があります。

公衆道徳


公衆道徳は、自分たちのレーベルからファーストアルバムをライセンスで出したんですが、マニアックな内容にも拘わらず、めちゃくちゃ売れました。内容のあるマニアックなものってやっぱり伝わるんだなと思いました。近々セカンドも出ると思います。

そのように極稀に飛びぬけて良いアーティストはいますが、全体で見ると、やはりまだまだアジア圏では、日本が、層が厚くマニアックであるという意味で、一歩も二歩もリードしていると僕は感じます。


■ 影響を受けたアーティスト、作品は?

―――フ:今作で影響を受けたアーティスト、作品はありますか?

染:沢山ありますね。専らブラジルのアーティストで、80年代のMPBやミナス系のアルバムに影響を受けています。それを通ったことにより、ほんの一部ではありますが、同年代のアメリカやヨーロッパ、日本の音楽も聴くようになりました。



■ 今後の活動予定は?

―――フ:今後の活動予定について、教えてください。

染:今年の8月と9月にツアーがあり、11月からは作曲期間、そしてそのまま制作に入る予定です。といっても実際にどんなものが出来るか、そもそも曲がスムースに出来ていくかすら、まだ分からないので、今のところ「そのつもり」って感じです。

制作に入ると、世間的には、まさに冬眠しているような感じに映るかもしれませんが、良いものを作るべく毎日音楽のことで動いているでしょうから、次のリリースを気長に待っていてもらいたいですね。


● インタビューを終えて ●

お会いする前、染谷さんに「冬の海を背景にしたアー写がステキなので、3人で崖を見に行ったりする週末を想像していました」というお話をしたら、「いや、行かないですよ」と笑っていらっしゃいました。オープンカーでドライブしながら崖を…そんなMVのような週末が似合う3人だなあ…と実際にお会いしてもなお、思ったのでした。



インタビューの中で印象に残ったのが「ロマンチックじゃない」「情緒がない(ある)」という表現。「今の発言、すごくLampっぽい!」と思った瞬間でもありました。

物事をとらえる際、そういう視点が3人の共通認識として当たり前に存在していることが、Lampの作品の「現実味のある夢」のような「浮世離れしたリアリティ」を生み出している理由なのかもしれない…と感じたインタビューでした。

文:フレネシ
写真:ヨシナガ

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