ときめきと情緒と…Lampの80年代、90年代に触れてみた(1/4)
こんにちは。フレネシです。
皆さんはもう、Lampの新作をお聴きになったでしょうか。
Lamp 「Fantasy」
聴いた瞬間にロッサーナ・カザーレの初期の音源「Destino」や「La via dei misteri」が髣髴され、これまでのLampとは違う何かを感じた、今作「彼女の時計」。
ロッサーナ・カザーレはイタリアの女性シンガーですが、彼女の作品に限らず、私が大学時代(安いのをいいことに)80sポップスにハマって買い漁った、異国の、何語とも分からぬままに繰り返し聞いたさまざまなアルバムが頭を巡りました。
「ラブレター」のエレピのキラキラした音色や、「スローモーション」のシンセベース、「夜会にて」からそこはかとなく感じる「ロマンティックあげるよ」的な空気感…。
アルバム全体からにおい立つような、別次元のノスタルジー。それは「さちこ」から地続きではあるけれど、私の知っているLampとは確実に違うようでもありました。
実はLampとは、活動開始時期や音楽的な界隈がそれほど遠くないにも関わらず、これまでほぼ接点もなく、私にとっても、ヴェールに包まれた存在だったのです。そこで、思い切ってインタビューを打診してみることに…。
● Lampに会いに行く ●
待ち合わせ場所は、都内某所のたんぽぽハウス。たんぽぽハウスは一度行ってみたかった古着屋で、都内(主に東側)にも何店舗かあるのですが、聞くところによればLampの香保里さん、永井さん行きつけのお店でもあるのだとか。
先に着いた私は、服をあれこれ物色するも、特にこれといったモノを見つけられず…。少し遅れて現れた3人のうち、香保里さん、永井さんはほとんど迷うことなく、好みのアイテムを見つけていました。
何だろう、初めて来た古本屋でどこに何があるのか分からなくて、背表紙のタイトルをただ眺めているようなこの感じ…。
唯一「これだ」と思ったのが、プチバトーの子供用の帽子。お値段なんと105円!息子の頭のサイズには合わず、購入を断念しましたが。
● Lampにインタビュー ●
■ 「1998」は1998年のこと?
―――フレネシ(以下フ):MVが公開された「1998」、これは1998年の出来事が関係しているのですか?
Lamp「1998」
永井(以下永):それについては、関係あるとも、ないともいえます。もともとは、香保里さん作詞の「ブルー」(未発表曲)に「1998」という歌詞が出てくるんですが、その世界観を借りて書いたのが「1998」です。
実際の1998年のことを歌っているということではないのですが、「1998」という文字列からインスピレーションを受けて書いているため、間接的には関係している、ともいえます。具体的に1998年に何かがあったというわけではないです。
香保里(以下香):『ゆめ』をリリースした時の特典音源に「雨、降り続く雨」という楽曲があるんですが、そこで「古いダイアリー 1984年 わたし淋しくて…」と年代を入れたら、歌詞に立体感が生まれたような気がして。そこに何かがあったわけではないんだけれども、いい感触を得たので「ブルー」でも年代を入れました。
永:ユーミンの「Corvett 1954」にも「1954」という歌詞があるね。
―――フ:西暦を髣髴させる数字を入れることで具体性が生まれて、聞き手にとって特別な意味が生まれそうですね。
永:98年に生まれた人が「生まれた年でうれしい」と反応していたりして…。それは僕の意図するところでも全くないんですけれど、その人が受け取って感じたことなので、よかったなと。
染谷(以下染):スマパン(The Smashing Pumpkins)の「1979」って曲を聞いて、それは、僕の生まれた年なんですけど…
香:でも「生まれた年」っていうのはロマンチックじゃないよね。
染:うん、ロマンチックじゃないんだけど、僕は、あの曲の世界観というのは、郊外のアメリカのティーンエイジャーが夜、街へ繰り出しているような、音からそんな勝手な想像をしながら聞いていて。歌詞も全く知らず、聞いている感触だけでイメージしていて。
香:ステキな場所とステキな時間が想像できる…
―――フ:生まれた年というのは、やはり誰にとっても特別だと思います。私の大好きな絵本になかえよしを先生と上野紀子先生の「まどべのおきゃくさま」という作品があって、初版が自分の生まれ年で…小1のときに図書館で出会って以来、主人公を自分と同一視してしまうくらいに魅力に取り付かれていました。