ときめきと情緒と…Lampの80年代、90年代に触れてみた(2/4)

2018/6/19 12:08 フレネシ フレネシ


■ 1998年は何をしていた?

―――フ:1998年は、何をしていましたか?

香:音楽を聴き始めたくらいじゃないですかね。その頃ソフトロックとかが流行っていて、御茶ノ水のジャニスに、ときどき借りに行ったりしていました。

当時は、昼夜逆転しているような生活で…。60年代のアングラ映画のオールナイト上映を観に行ったりしていました。とても混んでいて、椅子もないような場所に直接座っても平気で。




―――フ:ミニシアター、私も良く通っていました。ヌーヴェルヴァーグ作品のポストカードとか、集めたりしていませんでしたか?

香:ポストカードにはあんまり魅力を感じなくて、集めたことはないですね。柏に雑貨屋があって、一時期通ってその手の雑貨を集めたりしたんですが「これ意味ないな…」と途中で気付いて収拾をやめました。

あとは古着とか。たんぽぽハウスも好きですけれど、その頃は高円寺の古着屋によく行っていて。


―――フ:たんぽぽハウスで香保里さんが掘り当てたワンピース、すごくかわいかったです。私は今日お店に少し早く着いて、同じラックを見ていたはずなんですが、どこにあったんだろう、あのカワイイワンピースは…。掘り当てられませんでした。目利きですよね。

香:たんぽぽハウスって、棚にギチギチに入っていて、あまり探しやすくはないですよね。なので、表面をさーっと撫でて手触りで当たりを付けて、柄が気に入れば手に取る…という感じで商品を選んでいます。

―――フ:その処理スピードって、レコードショップでプロのバイヤーがサクサクするのと似ていますよね。



香:好みはその頃からあまり変わっていないかもしれないですね。ずっと愛情を持っているものあるし、冷めてしまったものもあるんですけど。今はもう冷めてしまったんですが、当時はGSとか好きで。

―――フ:意外ですね。いや、近いといえば近いのか…。

香:最近「すばらしか」というバンドを聴いていて、あの頃の気持ちがよみがえってきています。

―――フ:GSバンドですか?

香:いえ、違うんですけど、日本の古い音楽のいい雰囲気があって、自分が学生だった頃に憧れていた自由な世界観みたいなのが、そこに入っている気がするんですよ。

すばらしか 1stフル・アルバム『二枚目』ティーザー


―――フ:永井さんはいかがですか?

永:僕と染谷先輩の出会いは、高校のフォークソング同好会で。高校1年、2年のときはずっと一緒にいたんですけど、98年には先輩が大学に行っちゃったんで…。

―――フ:お二人の出会いのエピソード、もう少し伺ってもいいですか?



永:染谷先輩との会話で印象的だったのが「僕は(ギターの)テクニックはあまりないけど、コード進行には自信がある」という言葉で。

―――フ:それって、後のLampの音楽性に通じていますよね。高校生くらいって誰もが一番技巧に走りがちな年頃だと思うんですが、そうじゃなかったんですね、染谷先輩は。周りに流されていないというか。

染:ギタリストだった父がジミヘンなどが好きなロックやブルースの人だったので、その反発もあったかもしれません。3コードくらいでずっと演奏し続けるような音楽で、僕は全く魅力を感じなくて。

―――フ:私も当時鍵盤楽器を習っていたんですが、上手くなりたいという欲は15歳をピークになくなっていきました。最終的に、楽曲をいかにコンパクトにして、ワンコードのソロ回しみたいな無駄な展開を省いていくか…というところに行き着きましたが、考え方としては染谷さんに近いかもしれないです。

ところで、高校のときから、二人はそんなに雰囲気がおありだったんでしょうか。こうしてお話していても、現世に生きていないというか、浮世離れしているような空気感がものすごくて。



染:高校のときは制服だったんで普通の高校生でした。大学に行ってから私服になって、髪を伸ばしたりして…そこからはあまり変わっていないですね。

高校生の頃はバンドをやっていたんですが、98年の大学1年の頃は、ちょうど何もしていない空白の期間でした。2年生の冬からまた音楽を始めるんですけれど、それまではひたすら音楽を聴いて過ごしていました。

あんまり人とも交流しなかった期間で、特定の友達と…その友達というのは、今月17日にHMVでトークイベントをやった、大学時代の友人の山本君なんですけど。



彼は音楽好きが講じて、HMVでバイトするようになり、今は社員として本部でジャズを担当しています。その友人からいろいろ教えてもらって、熱心に音楽を聴くようになったのが、ちょうど大学1年の98年でした。

それまで僕は、極端に言えば60年代はビートルズとか、サイモン&ガーファンクルくらいしか知らなかったんですけれど、ロジャニコ(Roger Nichols & The Small Circle of Friends)やジョアン・ジルベルトなんかを知るきっかけになって。ブラジル音楽とか、ソウルとか、AORとか、色んなものを聴きまくった1年間でした。


―――フ:その人も壇上に上がったんですね。

染:はい。彼とは本当に久々に会いましたね。Lamp結成した当初、西麻布のMAGNACYという小さなバーでLIVE&DJイベントを一緒にやっていました。

―――フ:彼は、今もDJ活動をされているんでしょうか?

染:多分DJはやっていないですが「クワイエット・コーナー」というガイド本を出したり、コンピレーションCDの選曲をしたりしてします。彼とは、十数年ぶりに一緒にイベントに出た、ということになりますね。



―――フ:同じ学内にLampのお二人と山本さんという、音楽的に濃すぎるメンバーが同時期に在籍していたことは、ほとんど「奇跡」といえますね。

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