ファンシーが心の中を通り抜ける…「ファンシー絵みやげ」で振り返るシーサイドリゾート(2/2)

2017/3/24 12:00 山下メロ 山下メロ


■ ネットサーフィン

今でもネットサーフィンという言葉が使われていますが、振り返るとインターネット黎明期から使われていた言葉で、ネットワークの海でブラウザというサーフボードに乗って自由自在にウェブサイトを閲覧して回ることを意味します。

ネットは網なので、さながら海で漁に使われる網などはサーフィンと相性悪い気もしますし、ウェブサイトのWebというのも蜘蛛の巣を意味しますので、あまり海のイメージがありません(WaveとWebをかけたという説もあります)。1992年にジーン・アーモア・ポリーという人が初めて言ったというのが定説となっていますが、語源はハッキリしていないのです(IT企業の一大拠点であるシリコンバレーがサーフィンの本場カリフォルニアにあることも影響しているのではないかと個人的には思っています)。


↑画像はイメージです。

当初はURLを直接入力するか、ハイパーリンク経由、または後述するロボット型検索に情報量や即時性で劣るディレクトリ型検索エンジンのみでしかウェブサイトは閲覧できなかったこともあり、次から次へと波に「乗らざるを得ない」イメージがありました。

そこへ1997年に、プログラムで自動的にデータを収集するロボット型検索エンジン型の実用的サービスであるgooが登場し、一気に求めているウェブページまで飛べるようになりました。つまりサーフィンで移動するというより、もはや目的地へ瞬間移動するという時代がやってきたのです。日本におけるディレクトリ型検索エンジンで独占状態だったYahoo!JAPANも、当時gooの検索エンジンを検索結果に用いるようになりました。


↑ロボット型検索エンジンの検索能力はすさまじく、一気に必需品となりました。現在でもGoogleなどが有名です。

少し話が横道にそれました。しかし、網や蜘蛛の巣といったイメージの相違や、すでに瞬間移動している状況になってもなお廃れることなくサーフィンという言葉が使われているということが、いかにサーフィンという言葉が人口膾炙しており、一般化していることの象徴だと思うのです。

■ サーファーの受難

前述の通り、海のファンシー絵みやげで一番多いキャラクターはサーファーです。以前の連載でもサーファーのキャラクターをいくつも紹介していますが、今回はひどい目に遭っているサーファーのファンシー絵みやげを紹介いたしと思います。


↑左のサーファーはすでに露出状態だが、真ん中と右も露出しそうな雰囲気を感じる。


↑はい。露出しました。

サーファーは裸に近いから遠慮なく露出させられるのでしょうか。こういった、めくったりするアクションはメインターゲットである子どもにとって非常に魅力的に感じるものですね。ただ、この場合は一緒に遊びにきた女子や、クラスの女子にめくらせて反応を楽しむといったことが基本的な遊び方だったのでしょう。いい大人がこれを買うとは思えません。いや、私は買っていますが。


↑千葉県は房総半島のおみやげキーホルダー。

もう隠す気すらなく、女の子も裸です。一体このカップルに何が起きたのでしょうか。そしてこのカニは容赦ないですね。阿部定事件も思い出します。これもいい大人が買うとは思えませんね。私は買っていますが。


↑こちらも千葉県は房総半島のキーホルダー。

やはり椰子の木、椰子の実がシーサイドリゾートの重要な要素ですね。この子は露出しながら「ヤシの実ブラブラ」と考えているようですが、一体何が言いたいイラストなのかよく分かりません。椰子の実に例えるとは、ちょっと大きさを誇張しているのでしょうか。

しかしどのみち、やはりいい大人が買うものではありませんね。私は買いますし、女子に見せますが。

このようにファンシー絵みやげは子ども向けがゆえに、子どもが喜ぶようにと露出している、または露出させることができる商品が数多くあります。そして、その一番の餌食になっているのが「すでに半裸だから脱がせやすい」サーファーキャラクターなのです。みなさんもサーファーを見かけたら優しくしてあげましょう。間違っても、キーホルダーのマネをしてサーファーのパンツを脱がせたりしてはいけません。キーホルダーは特別に許可を得てパンツを脱がせています。

最後に湘南命のキーホルダーを見てください。



では、また次回。

(文と写真:山下メロ“院長”)

■ 保護のお願い

私は全国の観光地で保護活動を行っていますが、現地から消滅したファンシー絵みやげについては、皆様の家に残されたものが頼りです。もしご実家などの学習机の引き出しの中に眠っているものなどが見つかりましたら、是非ともご一報ください。ハッシュタグ #ファンシー絵みやげ での報告も待ってます。

《イベントのお知らせ》
3月30日(木)の夜に阿佐ヶ谷ロフトAで、旅するイラストレーター キン・シオタニさんのイベントにゲスト出演いたします。TVKの街歩き番組「キンシオ」でもおなじみのキンさんと、ともに全国を旅する2人がどんなトークをするのかお楽しみに!

キン・シオタニpresents「描き語り33」

OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥2,100 / 当日¥2,600(共に飲食代別)
前売はローソンチケット【Lコード:76512】から
【出演】キン・シオタニ
【ゲスト】山下メロ院長(ファンシー絵みやげ研究家)

旅するイラストレーター、キン・シオタニのトーク&パフォーマンスライブ。
今回は、1980年代に国内の観光地にあふれていたファンシーイラストのおみやげ「ファンシー絵みやげ」を収集している山下メロ院長がゲストです。いったいどんなお話が飛び出すか、お楽しみに!ドローイング・シアターも、もちろんあります。     


《関連コラム》

・「見たことある!」ファンシー絵みやげで振り返るスキーブーム(連載 第一回)
・80年代にはグランブルーファンシーがあった……「ファンシー絵みやげ」で振り返るマリンスポーツ(連載 第二回)
・波の数だけ抱きしめたい!「ファンシー絵みやげ」で振り返るサーフィン文化(連載 第三回)



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