最新主演作『峠』で役所広司が名付け親で師匠の仲代達矢と23年ぶりに共演。役所広司が師匠となるべく後継者はあの俳優か?

2022/6/23 22:00龍女龍女

無名塾の募集要項は具体的に決まった募集人数はないが、10人以下である。
年齢制限は18歳から30歳である。
募集期間は年度末の2月中旬から3月中旬。
合格すると、3年間、世田谷区岡本にある無名塾の稽古場に通う。
地方出身者は近くに部屋を借りて通学する。
授業料は無料である。
その代わりアルバイトは禁止で、少なくとも3年間は演劇の稽古に専念するよう努める。
仲代達矢は、父親を幼い頃に亡くし、母が妻子ある弁護士の妾をしたりと、複雑な家庭の事情のために経済的に苦しかった。
バイトに明け暮れる日々で、勉強する時間が無かった。
後輩には俳優の勉強に専念して欲しいとの思いで、無名塾の最初の3年間はバイト禁止にした。

無名塾が上演する演劇は翻訳劇が多い。
しかし、『いのち・ぼうにふろう』のような宮﨑恭子と創設した無名塾ならではの演目もある。

無名塾の第一期生で、有名になったのは
隆大介(1957~2021)である。
芸名は、宮﨑恭子のペンネーム「隆巴」から「隆」を貰った。


(隆大介 イラストby龍女)

仲代達矢とは黒澤明監督の『影武者』で、仲代達矢が武田信玄と影武者の二役、隆大介が織田信長役で共演しているのが最も有名だ。
他にも『日本の熱い日々 謀殺・下山事件』(1981年)、『北の螢』(1984年)で共演している。

名脇役の益岡徹(1956年8月23日生れ)は、第4期生だ。


(益岡徹 イラストby龍女)

筆者は市村正親主演の舞台『炎の人ゴッホ』のゴーギャン役で生の演技を観ている。

ちなみにアニメシリーズ『機動警察パトレイバー』に登場する
特車二課の後藤隊長のモデルは仲代達矢である。
筆者が昔、パトレイバーにハマっていた25年前、妄想していて後藤隊長役にぴったりだと思った人が益岡徹である。

筆者は無名塾の歴代の男性の教え子を観ていると、皆どこかしら仲代達矢に似ていると思った。
一方、女性の教え子は宮﨑恭子に似ている。

益岡徹は、9期生の若村麻由美(1967年1月3日生れ)と、
時代劇シリーズ『御家人斬九郎』(1995年~2002年)で共演している。


(若村麻由美 イラストby龍女)

『御家人斬九郎』主役の渡辺謙は、元文学座の岸田今日子らが創立した演劇集団円の出身である。
母親役に岸田今日子(1930~2006)、塩見三省と同じ劇団の俳優が出演している。

若村麻由美は朝ドラ『はっさい先生』(1987年10月~1988年3月)のヒロインで名前を知られるようになった。

無名塾出身で朝ドラの主役を務めた人物は他に2人いる。
11期生の渡辺梓(1969年2月20日生れ)は『和っこの金メダル』(1989年10月~3月)でバレーボール選手を演じた。


(渡辺梓 イラストby龍女)

田中実(1966~2011)は若村麻由美と同じく9期生。
『凜凜と』(1990年4月~10月)で、TVの開発者をモデルとした主人公を演じた。


(田中実 イラストby龍女)


近年、映像の世界で活躍しているのは、22期生の2人である。
滝藤賢一(1976年11月2日生れ)は、大ヒットしたTBSの21時のドラマ、日曜劇場『半沢直樹』(2013年7月~9月)で名前を知られることになった。
売れ始めたのは、原田眞人監督の『クライマーズハイ』(2008年)で新聞記者役に抜擢されてからである。
筆者は朝ドラ『梅ちゃん先生』(2012年4月~9月)で認識した。
2007年まで無名塾に在籍していた。
仲代達矢との舞台の共演はあった。
2015年のNHKの医療ドラマ『破裂』で共演をした。


(滝藤賢一 イラストby龍女)

真木よう子(1982年10月15日生れ)は中学を卒業して、無名塾に入り2年目にはゴーリキーの戯曲『どん底』のナターシャ役に抜擢されるなど、仲代達矢にも期待されていた。
合宿の稽古を早く済ませて発声練習していたところを仲代達矢がサボっていたと誤解して怒ったところ、逆に怒ってそのまま帰って、辞めてしまった。
映画は、井筒和幸監督『パッチギ!』(2005年)、本広克行監督『サマータイムマシン・ブルース』(2005年)など、小さな役だが、抜擢されるようになる。
『ベロニカは死ぬことにした』(2006年)でメジャー配給の角川映画で初主演する。
西川美和監督の『ゆれる』(2006年)で第30回山路ふみ子映画賞 新人女優賞を受賞した。
筆者もこのあたりから認識するようになる。
仲代達矢とは一緒のシーンはないが、大河ドラマ『風林火山』(2007年)に出演した。
仲代達矢は最初に登場する武田信虎、真木よう子は小山田信有(田辺誠一)の側室・美瑠姫を演じた。
大森立嗣監督『さよなら渓谷』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、
是枝裕和監督『そして父になる』で最優秀助演女優賞と2013年の公開作品2本でダブル受賞した。


(真木よう子 イラストby龍女)

ちなみに滝藤賢一と真木よう子は大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)で、共演している。
滝藤賢一は小松帯刀(1835~1870)
真木よう子が龍馬の妻、楢崎龍(1841~1906)を演じている。
ちなみにかつて仲代達矢が演じた武市半平太役の大森南朋は大森立嗣監督の弟である。
近いうちに真木よう子と仲代達矢が共演する姿が観たい。


一部ではある無名塾出身の俳優を上げてみた。
最も成功した俳優はやはり役所広司であろう。
最後に役所広司の経歴を詳しく観ていこう。

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