『007シリーズ』は今後もホントに続くのか?続くならジェームズ・ボンドは時代に合わせて〇〇遣いに!?大胆予想してみた

2021/10/28 22:00 龍女 龍女

⑤実在のスパイを参考に、7代目ジェームズ・ボンドがどう再解釈されるか?予想してみる。
申し訳ないが固有名詞をあげるのは、他の記事に任せる。
筆者は実在のスパイを参考にキャラ設定の変更を予想してみる。

最初にジェームズ・ボンドを演じたショーン・コネリー(1930~2020)から、 時代の変化とスパイの役割に対する再解釈がなされてきた。

2代目以降のジェームズ・ボンド役選びにも影響を及ぼした。
ショーン・コネリーが契約通り5作目で降板した。
荒唐無稽な内容にたいする反省が行われた。


(シリーズ6作目『女王陛下の007』のジョージ・レーゼンビー イラストby龍女)

オーストラリア人俳優ジョージ・レーゼンビー(1939年9月5日生れ)がジェームズ・ボンドに扮し、007シリーズの中で最もリアルなスパイの仕事が描かれた。
『女王陛下の007』(1969年)である。
これは007シリーズの製作会社イーオン・プロダクションのハリー・サルツマンが、原作に忠実な映像化をしたい意図に基づいていた。
しかし、ショーン・コネリーが持っていたヒーローらしい華もなく、内容も地味であった。
興行成績も振るわなかった。
ジョージ・レーゼンビーは1作のみで降板となった。
ショーン・コネリーが1作だけ復活した『007/ダイアモンドは永遠に』(1971)を経て、


(シリーズ8作目『死ぬのは奴らだ』のロジャー・ムーア イラストby龍女)

3代目ボンド役となったのは、実は1作目の制作時から候補に挙がっていたロジャー・ムーア(1927~2017)である。
マッチョで暴力的なショーン・コネリーのジェームズ・ボンドのイメージとは対極にあるコメディ路線を築いた。
ロジャー・ムーアの個性はとにかくジョークが多いことだ。
ジェームズ・ボンドは、イギリス人特有の皮肉の効いたジョークを言う設定が加味された。

007の映画自体は、イーオン・プロダクション以外でも2作(1967年のパロディ作品『007/カジノロワイヤル』とショーン・コネリー主演のセルフ ・リメイク版の1983年『ネバーセイ・ネバーアゲイン』)があるので足して考える。
ショーン・コネリーとロジャー・ムーアがそれぞれ7作品づつ最多作品でジェームズ・ボンドを演じた。
その為に、後にジェームズ・ボンドを演じる俳優はこの二人の間にある振り幅の中で演じざるを得ない状況に陥った。


(シリーズ15作目『リビング・デイライツ』のティモシー・ダルトン イラストby龍女)

4代目ジェームズ・ボンドとなったティモシー・ダルトン(1946年3月21日生れ)は、映画デビュー作が1968年の『冬のライオン』だ。
ティモシー・ダルトンは中退ではあるが、王立演劇学校で学んでいる。
イギリスでは正統派のシェークスピアを得意とする俳優だ。
シリアス路線の作品『007/リビング・デイライツ』(1987)と『007/消されたライセンス』(1989)の2作品に主演した。
しかしこの時期は冷戦構造が崩壊したので、スパイがヒーローとして最も機能しなかった時代である。
興行成績は振るわず、シリーズ存続の危機がやってきた。
筆者が初めて映画館で観た007シリーズは、『消されたライセンス』であり、同級生と一緒に観たが全然盛り上がらなかった。

映画配給会社MGMとイーオン・プロダクションの裁判もあり、5年間も007シリーズは製作出来なくなってしまった。

イーオン・プロダクションは1975年にハリー・サルツマンが去った。
第10作目『私を愛したスパイ』から第13作『オクトパシー』まで、アルバート・ブロッコリ単独名義。
第14作の『007/美しき獲物たち』(1985年)から、3番目の妻の連れ子マイケル・G・ウィルソン(1942年1月21日生れ)が加わる。
アルバート・ブロッコリが1996年になくなる前に、後述するもう一人が加わり、世代交代した。


(シリーズ17作目『ゴールデンアイ』のピアース・ブロスナン イラストby龍女)

復活出来たのは、実は007ファンの間では待望されていた人物がやっと日程が空き演じられたお陰である。
それがピアース・ブロスナン(1953年5月16日生れ)。
TVシリーズ『探偵レミントン・スティール』(1982~1987)でジェームズ・ボンドをイメージさせる謎の男を演じたことでマスコミ上でも話題になった。
日本テレビで1987年に放映されており、筆者も好きな海外ドラマだ。

ピアース・ブロスナン版はロジャー・ムーアに近いコメディ路線の作品群。
『007/ゴールデンアイ』(1995年)、
『トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997年)、
『ワールド・イズ・ノット・イナフ』(1999年)、
『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)
の4作品に主演した。

敵方が北朝鮮の設定だった為、『007/ダイ・アナザー・デイ』の北朝鮮の公開はなかったそうだ。

6作目のダニエル・クレイグは、母親が美術教師だった。
初主演となる『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)以前は、アート系の作品に好んで出演する中堅のバイプレイヤーだった。
その中でも最も評価を受けたのが『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』(1998年)の主人公の同性の恋人ジョージ・ダイアー役だ。
イギリスの20世紀を代表する画家フランシス・ベイコンを演じたデレク・ジャコビと共にエディンバラ国際映画祭最優秀演技賞を受賞した。
彼が6代目に決まった当初は
「金髪碧眼のボンドはあり得ない」(金髪碧眼のイメージは、アングロサクソンというより北欧系に多いから)
「背が低い」(とんねるずの背の低い方の木梨憲武と同じ178cmなので、前任者が180cm以上だったため比べたらの話)
と非難されたから、007というアイコン化したキャラを演じたプレッシャーは凄かった。
しかし、原作通りの寡黙でタフなジェームズボンドを演じたことが大成功。
「ショーン・コネリー以来の最高のボンドだ」(ザ・サン2006年10月20付)
と評価が変わった。

007シリーズを製作するイーオン・プロダクションの世代交代が完了したこと、時代の空気としてアメコミのヒーロー映画がヒットする流れが、設定に大きな変更が観られた。
ダニエル・クレイグ主演版は、ジェームズ・ボンドのキャラクターが成長する。
日本流に言うと、大河ドラマ形式になった。
つまり、今回のジェームズ・ボンドは最期死ぬ…。
シナリオ上でも役を降りられる設定がなされたので、7代目ジェームズ・ボンドは他の誰かになる。

映画を観た人で、
「ほんとに007シリーズは続くの?」
と疑問に思った人は多いだろう。
なぜなら、MI6を引退したジェームズ・ボンドの後任の007は黒人女性のノーミだ。
しかし、ノーミは映画本編の中でこう言った。
「ただの数字に過ぎない」
このシリーズで実は重要なのは、あえて触れていなかったが
「ジェームズ・ボンド」と言う名前は、プレーボーイのMI6のスパイの総称であって、本名とは限らない

ダニエル・クレイグを選んだのはバーバラ・ブロッコリ(1960年6月18日生れ)。
アソシエイトプロデューサーだったが、『007/ゴールデンアイ』でプロデューサーに昇格する。
バーバラは、アルバート・ブロッコリと3番目の妻ダナ・ウィルソン・ブロッコリの実子。
相方のマイケル・G・ウィルソンとは異父兄妹に当たる。
初めて、女性プロデューサーが選んだジェームズ・ボンド役というのは大きかった。
常に女性側から非難されたマッチョすぎるキャラクター設定への解答が更に進んでいく。
基本的にジェームズ・ボンドの決して褒められない女性蔑視の部分は変わらない。
同僚や上司に女性が増えていく、社会の変化を取り入れられている。
ダニエル・クレイグはギリシャ彫刻のモデルのようにやたらと裸になる場面が多い。
ミューズとしてのジェームズ・ボンドはダニエル・クレイグらしい要素だろう。
しかも、今回初登場したQの自宅での台詞だ。
料理をしていたQは「彼を待っていた」と言っている。
訪問客が映像で分かるドアフォンを観ると、マニーペニーと一緒にやってきたジェームズ・ボンドにがっかり。
つまり、ベン・ウィショー演じるQは本人がそうであるようにゲイだ。

スパイとゲイの関係は第二次大戦中から指摘されてきた。
MI6のスパイであったサマセット・モームはゲイである。
1967年までイギリス(厳密にはイングランド及びウェールズ)では同性愛行為は犯罪であった。
法律が廃止されるのに時間がかかった原因の一つに舞台から映画『アナザーカントリー』のモデルになったガイ・バージェス事件(ケンブリッジ大学出身者が中心となったダブル・スパイ事件)があった。

ジェームズ・ボンドは男女関係なく性的に引きつける魅力がある。
今後は時代の変化もあり、男女関係なくお相手をするベッドシーンが観られるかもしれない。
これまでのパターンとして、MもマネーペニーもQも今回と同じ俳優が演じることは確定している。
次回作は、ボンドウーマンと並んでボンドマンの出演もあり得るかもしれない。
ジェームズ・ボンドは間違いなく男性には間違いない。
バーバラ・ブロッコリの意向が大成功を収めた。
彼女の嗜好が筆者の願望と近いのであればの話だが。


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