幕末・明治の伝説の芸妓…江良加代と安藤照子の妖艶な美貌
江戸時代から明治にかけて、まだあまり写真が普及していない時代に美人と言われた女性が本当に現代でに通用する“美人”であったのか、疑わしいと思ったことはありますか?
「高祖母は若い頃村一番の評判の美女で」なんていう話を聞いても、ついつい浮世絵のイメージで「…下膨れで目が細かっただけでは?」と勘ぐってしまいがちですが、数少ない写真に残された幕末・明治の美女を見ると、現代でも充分通用する美貌の女性も少なくありません。今回は、そんな100年以上昔の美女の残像をご紹介したいと思います。
■ 値千金…貢がれた額も桁違いの江良加代
1人目は、京都祗園の芸妓、江良加代。西園寺公望、木戸孝允、伊藤博文といった錚々たる明治政財界の立役者達を翻弄し、歌舞伎役者・五代目中村歌右衛門をして「こんな芸妓、生涯二度とお目にかかるまい。 」と言わしめた伝説の女性です。写真に残された姿は、切れ長の瞳と細く整った鼻梁が流れるようなラインを描くシャープな美女で、ミステリアスな表情が印象的です。現代の女優さんで、彼女を演じるなら誰がいいのか…なかなか思い浮かばない、純和風のお顔立ちですね。
京都祗園の芸妓、江良加代!
御高祖頭巾を身につけた冬の装い!御高祖頭巾は宝暦(1751~1764)頃から明治時代にかけて流行した!
方形の布に耳をかける輪をつけており、耳にかけて顔を出す被り方と、目の周りだけ出す被り方がある! pic.twitter.com/UiJoVVFQ7a
— イカスはくさい!! (@ccbin451) 2016, 1月 22
江良加代は文久2年(1862年)生まれで、父親は道場主、母親は華頂宮家に仕えた女性と出自も良く、美しいだけでなく芸事にも優れていたので、お座敷に出て瞬く間に売れっ子になります。
その品のある美貌が京都中に知れ渡り、今で言うところの芸能人のような存在になった加代に恋をした西園寺公望は彼女を東京に連れ帰りますが、正妻を娶らないという西園寺家の家訓により破局。手切れ金として贈られた豪奢な調度品は噂の的で、その後も木戸孝允、伊藤博文が貢いだ、現在の貨幣価値に換算すると1000万円近い衣装代も伝説となっています。
■ 男装も男前…ハンサムな美女お鯉
2人目にご紹介するのは、明治13年(1880年)生まれの、安藤照子(通称・お鯉)という名の芸妓です。四谷の漆問屋・松屋に生まれた照子は、生家の没落により、安藤家の養子となります。
14才で花柳界に入り、歌舞伎役者の市村羽左衛門に見初められて結婚しますが、離婚し、再び芸妓に戻った頃、元老山県有朋の紹介で、明治・大正の間に総理大臣を3度も勤めた桂太郎と出会い、恋に落ちます。妾という立場でしたが、「玩具にされるのなら嫌です。芸者だって人間です。生涯のことを考えて 下さるのでなければ御免を蒙ります」と見栄を切り、その江戸前の気風の良さに惚れ込んだ桂の寵愛を受けます。
残されている写真は、非常に現代的な美貌で、一皮目と呼ばれる一重瞼には珍しく、細い目ではなく涼し気ででありつつ大きく輝きが強いアーモンドアイで、鼻筋の通ったキリリとした男装姿も非常に男前で、天海祐希のような宝塚系女優さんを思わせるハンサムな女性です。
【お鯉(安藤照子)】
芸妓さんです。
とても美しいですね。
時の総理大臣・桂太郎に
見初められたという
エピソードも納得です。
お祭りの若衆姿のコスプレ(?)
をしているこの写真も倒錯的でセクシーです。 pic.twitter.com/XH0EKKBiLV
— 【マジか?】美人すぎる!☆幕末女性名鑑 (@bijin_bakumatsu) 2014, 6月 21
当時の政財界は、しばし政治の密談にお座敷を利用していたとのことで、 明治政府の要人には美妓芸者を夫人に娶った人が少なくなく、特に新橋や赤坂の芸妓は、夜の接客業でありながら憧れの対象という側面もあったようです。
明治時代の政治家で外交官でもあった伯爵・陸奥宗光の妻、陸奥亮子も、旗本・金田蔀の長女で、実家の没落によって、新橋で芸妓をしていたと言われています。こちらの写真を見る限りでは、女優さんで例えるなら吹石一恵を思わせるようなお嬢様系の美女に思えます。明治、幕末の美女写真を眺めながら、もしドラマ化するならどんな女優さんが適役なのかを考えるのも、楽しいですね。
陸奥亮子 pic.twitter.com/sR2he6Z8h2
— アンニュイ美人bot (@ennui_bijin_bot) 2016, 1月 25
芸妓という色に纏わる職業であっても、「実は家柄の良い上品な女性である」という意外性に惹かれてしまうのは、今も昔も変わらぬ、男性ならではのファンタジーなのかもしれませんね。
【参考】
※ 美女の日本史 (別冊宝島 2399)
※ 明治快女伝―わたしはわたしよ (文春文庫) 文庫 – 2000/8
森 まゆみ (著)
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(星野小春)