朝ドラ『おかえりモネ』のトラブルメーカー!?内野聖陽を名脚本家たちが使いたがる理由とは

2021/6/16 22:00 龍女 龍女

⑤最新作では今が旬の脚本家に起用される

現在放送中の朝ドラ『おかえりモネ』では、内野聖陽は実家の漁師を継がず銀行員になった、ヒロイン百音の父・永浦耕治を演じている。
バブル期に銀行員になっているので、ほぼ半沢直樹(またもや堺雅人!)と同期かもしれない。
妻役は鈴木京香で舞台の宮城県出身で朝ドラは『君の名は』(1991年4月から1年間)でヒロイン真知子を演じた。
大石静とは『セカンドバージン』で主演を務め、三谷幸喜のドラマでは常連組に入る。
大河ドラマ『真田丸』では秀吉の正室・北政所を演じた。

『おかえりモネ』は脚本家・安達奈緒子のオリジナル脚本で、内野聖陽のキャスティングはよしながふみの原作漫画を脚色した『きのう何食べた?』の矢吹賢二役以来である。


(『きのう何食べた?』第9話から引用 イラストby龍女)

ヒロインの清原果耶もNHKの『透明なゆりかご』で組んでいるので、現時点での安達奈緒子作品の集大成になるだろう。
細かい日常描写を物語に組み込むことが出来るのが特徴で、シナリオライターとして本格的に活躍できる前に主婦の経験があったことが大きいだろう。
生年月日は公表されていないが、フジテレビ ヤングシナリオ大賞を受賞した頃(2003年)から類推するに1970年代生まれだろう。
若い頃に『ふたりっ子』や木村拓哉の兄役を演じた月9の『ラブジェネレーション』も観ているはずなので、内野聖陽の生かし方は心得ているはずである。


『おかえりモネ』のあらすじ
東日本大震災で大きな被災に遭った気仙沼沖の亀島出身のヒロイン永浦百音。
2011年3月11日当日は高校受験で仙台にいて故郷の被害を目の当たりにしなかった。複雑な思いを秘めている。
受験には失敗し、地元の気仙沼の高校を卒業して、地元を離れたくなった百音は、漁師の祖父・龍己(藤竜也)の紹介で登米市の森林組合に就職する。
そこで気象学に出逢い、東京に上京して気象予報士として修行に励む。
2019年の台風によって、百音は地元に戻り身につけた気象の知識であのとき何も出来なかった自分にリベンジする。


第4週の『みーちゃんとカキ』で、実家の寺院を継ぎたくなくて逃げてきた百音の同級生の後藤三生(前田航基)の気持ちにより添って二人きりで話すシーンがある。
内野聖陽の実家は横浜市の曹洞宗の寺院だそうだ。
家業を継ぐことにせずに自分がやりたい道を歩く男の役は当て書きかもしれない。

『きのう何食べた?』は漫画原作で、当て書きではなく原作の世界観と安達奈緒子の視点を一致させた作品なので作り方は異なるはずである。

大学出の俳優は以前に比べて非常に増えたが、文学的教養がうかがえる人物は実は減っている。
サブカルチャーが強くなりすぎたのと、実学が重視されすぎた弊害で偏った考え方や専門的知識はあっても総合的な思考を持った人材自体が減っているからだと思う。
そんな中で、内野聖陽は数少ない文学的教養がうかがえる俳優だといえるだろう。名脚本家たちが彼をキャスティングしたがる理由なのかもしれない。

『おかえりモネ』の父親役は、よかれと思っても周りには迷惑がられるトラブルメーカーである。
バブル世代でもうけを重視した新自由主義の弊害を一身に背負ったようなキャラだ。

トラブルメーカーなのに憎めないキャラクターを演じられる内野聖陽は、主役脇役にかかわらずキーパーソンとして役柄を与えられ続けるに違いない。


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