アカデミー賞当日に欠席!?『ファーザー』で主演男優賞の最年長記録を更新したアンソニー・ホプキンスは、少し運が良かっただけ?
②ハンニバル・レクターのキャラクター作りにヒントあり!
一回目の主演男優賞受賞作『羊たちの沈黙』(1991)は、オスカー史上唯一の作品賞を獲得したホラー作品だ。
受賞対象は、前年のロサンゼルス地区の映画館で上映された映画作品(細かい規定は他にもあるが省略)だ。
オスカーを狙うには公開を年末の秋から冬に集中させる。
制作会社オライオンの都合で、大作『ダンス・ウィズ・ウルブズ』公開と重ならない2月と不利な公開時期だったが、大ヒット。
他の大作が出来が悪い幸運も重なり、主要5部門(作品・監督・主演男優・主演女優・脚本または脚色)独占の快挙を成し遂げた。
『羊たちの沈黙』は、トマス・ハリス原作のハンニバル・レクターシリーズの第2作。
実はハンニバル・レクター役を演じたのは、アンソニー・ホプキンスが初めてではない。
第1作目『レッドドラゴン』は邦題『刑事グレアム凍り付いた欲望』(1986)になり、ブライアン・コックスが演じた。
映画化に際し、最初、ハンニバル・レクター役にオファーされたのはショーン・コネリーだが断われた。
第2候補のアンソニー・ホプキンスに廻ってきた。
エミー賞で主演男優賞を二度受賞した実績はあったが、映画の代表作はまだない、50代半ばの中堅だった。
脚本を読んで、内容の面白さに気づき出演を引き受けた。
FBI捜査官クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)が猟奇殺人犯バッファロービルを捕まえるために、精神科医で同じく猟奇殺人犯のハンニバル・レクター博士に、収監中の監獄で面会してヒントを貰いに行く。
その為に、主役ながら、出演時間は、全体の上映時間118分に対して16分しかない。
短い時間でどう印象的な演技を見せたか?
アンソニー・ホプキンスの役作りは、自分を役柄に寄せない。
アクターズスタジオインタビューによれば、30代の頃にメソッド演技の勉強はした。
しかし、
「このキャラクターはこんな事言わない。台詞変えても良いですか?」
はしない。
シナリオに書かれた台詞は徹底的に覚える。
自然に喋られるまでに体にしみこませる。
その中で解釈を施していく。
実はアンソニー・ホプキンスは、ものまねがうまいのである。
元々、ピアニストになりたかった位なので、耳が良いのだろう。
トマス・ハリスの意図したハンニバル・レクターは過去の猟奇殺人犯を何人かモデルとしたが、全くそういうリサーチを行っていない。
ハンニバル・レクターの声の高低は、トルーマン・カポーティ(1924~1984。作家。『ティファニーで朝食を』の原作者として有名)とキャサリン・ヘプバーンを参考にした。
この二人に共通する気取った口調を役に生かした。
後にケイト・ブランシェットが『アビエイター』(2004)のキャサリン・ヘプバーン役で第77回の助演女優賞、フィリップ・シーモア・ホフマンが『カポーティ』(2005)でトルーマン・カポーティ役で78回の主演男優賞を獲得した。
アンソニー・ホプキンスの演技の選択は、オスカー好みであった。
『冬のライオン』で、キャサリン・ヘプバーンの演技を記憶したことは無駄ではなかった。
もう一つ、ハンニバル・レクターの持つ怖さは、瞬きをしないところである。
それもロンドンで遭遇した怖い経験の記憶を参考にしている。
こうして、映画史上に残る強烈なキャラクターでオスカーを受賞したアンソニー・ホプキンスは、その後も同じ役を『ハンニバル』(2001)『レッドドラゴン』(2002)と演じることになる。
前日譚の『ハンニバル・ライジング』(2007)やTVシリーズでは他の俳優に譲っている。
(ハンニバル・ライジングはギャスパー・ウリエル、TVシリーズはマッツ・ミケルセン)
年齢的なモノと、当たり役をやり続ける弊害も知ってのことだろう。
一発屋になるのは極力避けたい。
それは俳優にとって諸刃の剣である。
強烈な役から次に進むために、アンソニー・ホプキンスはどうしたのか?
90年代以降の経歴を観ていこう。
一回目の主演男優賞受賞作『羊たちの沈黙』(1991)は、オスカー史上唯一の作品賞を獲得したホラー作品だ。
受賞対象は、前年のロサンゼルス地区の映画館で上映された映画作品(細かい規定は他にもあるが省略)だ。
オスカーを狙うには公開を年末の秋から冬に集中させる。
制作会社オライオンの都合で、大作『ダンス・ウィズ・ウルブズ』公開と重ならない2月と不利な公開時期だったが、大ヒット。
他の大作が出来が悪い幸運も重なり、主要5部門(作品・監督・主演男優・主演女優・脚本または脚色)独占の快挙を成し遂げた。
『羊たちの沈黙』は、トマス・ハリス原作のハンニバル・レクターシリーズの第2作。
実はハンニバル・レクター役を演じたのは、アンソニー・ホプキンスが初めてではない。
第1作目『レッドドラゴン』は邦題『刑事グレアム凍り付いた欲望』(1986)になり、ブライアン・コックスが演じた。
映画化に際し、最初、ハンニバル・レクター役にオファーされたのはショーン・コネリーだが断われた。
第2候補のアンソニー・ホプキンスに廻ってきた。
エミー賞で主演男優賞を二度受賞した実績はあったが、映画の代表作はまだない、50代半ばの中堅だった。
脚本を読んで、内容の面白さに気づき出演を引き受けた。
FBI捜査官クラリス・スターリング(ジョディ・フォスター)が猟奇殺人犯バッファロービルを捕まえるために、精神科医で同じく猟奇殺人犯のハンニバル・レクター博士に、収監中の監獄で面会してヒントを貰いに行く。
その為に、主役ながら、出演時間は、全体の上映時間118分に対して16分しかない。
短い時間でどう印象的な演技を見せたか?
アンソニー・ホプキンスの役作りは、自分を役柄に寄せない。
アクターズスタジオインタビューによれば、30代の頃にメソッド演技の勉強はした。
しかし、
「このキャラクターはこんな事言わない。台詞変えても良いですか?」
はしない。
シナリオに書かれた台詞は徹底的に覚える。
自然に喋られるまでに体にしみこませる。
その中で解釈を施していく。
実はアンソニー・ホプキンスは、ものまねがうまいのである。
元々、ピアニストになりたかった位なので、耳が良いのだろう。
トマス・ハリスの意図したハンニバル・レクターは過去の猟奇殺人犯を何人かモデルとしたが、全くそういうリサーチを行っていない。
ハンニバル・レクターの声の高低は、トルーマン・カポーティ(1924~1984。作家。『ティファニーで朝食を』の原作者として有名)とキャサリン・ヘプバーンを参考にした。
この二人に共通する気取った口調を役に生かした。
後にケイト・ブランシェットが『アビエイター』(2004)のキャサリン・ヘプバーン役で第77回の助演女優賞、フィリップ・シーモア・ホフマンが『カポーティ』(2005)でトルーマン・カポーティ役で78回の主演男優賞を獲得した。
アンソニー・ホプキンスの演技の選択は、オスカー好みであった。
『冬のライオン』で、キャサリン・ヘプバーンの演技を記憶したことは無駄ではなかった。
もう一つ、ハンニバル・レクターの持つ怖さは、瞬きをしないところである。
それもロンドンで遭遇した怖い経験の記憶を参考にしている。
こうして、映画史上に残る強烈なキャラクターでオスカーを受賞したアンソニー・ホプキンスは、その後も同じ役を『ハンニバル』(2001)『レッドドラゴン』(2002)と演じることになる。
前日譚の『ハンニバル・ライジング』(2007)やTVシリーズでは他の俳優に譲っている。
(ハンニバル・ライジングはギャスパー・ウリエル、TVシリーズはマッツ・ミケルセン)
年齢的なモノと、当たり役をやり続ける弊害も知ってのことだろう。
一発屋になるのは極力避けたい。
それは俳優にとって諸刃の剣である。
強烈な役から次に進むために、アンソニー・ホプキンスはどうしたのか?
90年代以降の経歴を観ていこう。