カラフルな色使いのヒミツとは…自閉症の男の子が描く数字のイラストがかわいすぎる(4/4)

2018/2/16 13:50 フレネシ フレネシ


―――フ:【質問その8】線に迷いを感じない悠斗くんの作品ですが、これらの作品は、どんなスピード感で描いているんでしょうか。

母:作品によって様々ですが数字の作品は20分位だと思います。ササッと描いてしまうこともあれば、「クレヨン玉」を作ってから 時間をかけて描くこともあります。

フ:「クレヨン玉」って何ですか?



母:最初に別の紙にクレヨンを強い力で塗ると、クレヨンの先に紙に載らなかったクレヨンかすが残りますが、それを指先でまとめ、なめらかな球体にしてから描くときがあります。



フ:か…かわいい。乗り切らなかったクレヨンをまとめようという発想自体、私にはなかったですが、クレヨンも丸めてこんな風に並べると、ポップなアート作品になりますね。

―――フ:【質問その9】悠斗くん自身が納得していないなどの理由で、実は非公開になっている作品はありますか?お母さんがまだ見ていない作品とかも…。

母:落書き帳を見ると、途中で描くのをやめているものが結構あるので、それは納得いかずやめてしまったのかなぁと思います。

悠斗は自分の部屋で作品を描いているので、後から落書き帳を見返して「あら素敵!」な作品を見つけたときが最高に楽しいです。

完成してしまうと、あまりこだわらず棚にポイっと置いて終わりです。特に小さい頃は、でき上がるとビリビリに切って捨ててしまったりすることもあったので「あーとっておきたかった!」と思うこともあります。



フ:こちらのカタカナ集も、カクカクした字体と並びがユニークですね。悠斗くんのお部屋で見つけられたそうですね。息子にカタカナを教えるときに、悠斗くんフォントの絵本があったら楽しいだろうな・・と思いました。

―――フ:【質問その10】町家建築の旧今井染物屋で開催されたアールブリュット展in上越では、「天井や押入れの中まで数字で埋め尽くされた」実際の悠斗くんの部屋を再現して、数字作品を中心に展示されたそうですね。


↑アールブリュット展in上越にて。

↑アールブリュット展in上越の様子。悠斗くんの部屋を再現。

今後、展覧会に出展の予定はありますか?

母:ちょうど今日、担当の方が作品を 取りにきました。インスタで最初に投稿した、夏休み中に描いた数字の作品と、食べ物の粘土作品です。昨年も 出展させて頂いたイベントです。

アートキャンプNIIGATA 2018 



開催日: 2018年2月17日(土) ~ 19日(月) 開催 <入場無料>
開催時間: 10:00 ~ 18:00 (19日は16:00まで)
会場: 新潟市東区プラザ 1F エントランスホール / 新潟市東区下木戸1-4-1
主催: NPO法人 アートキャンプ新潟
協力: 社会福祉法人 みんなで生きる



フ:今週末ですね。新潟にお住まいの方も、そうでない方も、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。お答えいただき、ありがとうございました。

● インタビューを終えて ● 

カラフルな数字の原点は、ピングーのVHSのパッケージだったんですね。「忘れることができない」という自閉症の特性がもたらした、色と数字の切り離せない関係…。個展に足を運んで、その法則に気付いた人もいるかもしれないですね。

お母さんが「完成してしまうと、あまりこだわらず棚にポイっと置いて終わり」と言っていたように、悠斗くん自身にとっては描いている瞬間が作品の目的そのもので、ただ描かずにはいられないという衝動が彼を動かしているのだ…と感じました。

↑粘土で数字を作って並べる悠斗くん。並べ終わるとあっけなく丸めてきれいな球体にしてお片づけ…もったいない!

「作品は常に衝動と共にある」…というのは、実は私の考える芸術の理想でもありますが、そんな風にして生まれた彼の作品は見飽きることのない魅力に溢れています。

(文:フレネシ)

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