ガッツが足りない? チャンバが走る?…「ファンシー絵みやげ」で振り返るサッカーブーム(1/2)
お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。
当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。
「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。
■ サッカーブーム到来
前回は大人のスポーツゴルフでしたが、もう少し子供向けのスポーツでブームになったものも紹介したいと思います。もともと日本では野球が子供の人気スポーツでしたが、常に人気という感じで、ブームと呼べるような短期的な盛り上がりではありませんでした。
そこへ1980年代から人気を得てきたのがサッカーです。その一番の要因は、いまでの海外のプロサッカー選手が愛読書に挙げることで有名な高橋陽一先生の漫画『キャプテン翼』でしょう。1981年に週刊少年ジャンプで連載が開始され人気を博し、1983年にはアニメ化もされました。そして、サッカーをする少年がどんどん増えて行ったのです。
↑主題歌は竹本孝之が歌っている。初期は沖田浩之と小粥よう子が歌唱。「チャンバが走る」の歌詞の「チャンバ」は長らく謎とされ諸説ささやかれていたが、「バーチャン」をテレコにしたものらしい。
■ ビデオゲームにおけるサッカー
当時人気だったファミコンなどのビデオゲームにもサッカー人気は波及します。いまでこそウイイレをはじめ、サッカーのビデオゲームは人気ですが、それでも11人ものプレイヤーを動かさなくてはならないため、操作方法に色々な試行錯誤がなされました。そして1988年にテクモ(現・コーエーテクモゲームス)が『キャプテン翼』をゲーム化したのです。
↑ファミコン芸人フジタさんからカセットを借りた。外箱に日本音楽著作権協会(JASRAC)のシールが貼られているのが目に入るが、つまり例の曲が流れるのである。ゲームにおける音楽著作権がちゃんと管理しはじめられたことの証でもある。
これ以前のサッカーゲームのようにプレイヤーをピッチ内で自由に動かすのではなく、ガッツというパラメータを駆使するコマンド選択方式のアドベンチャーゲームという画期的なシステムが採用されました。
↑取扱説明書より、ガッツについての説明。ガッツが足りないときは「くっ!!ガッツが足りない!!」と表示された。
テクノスジャパンの「くにおくんシリーズ」では『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』という、「どっちやねん!!」とも言いたくなるようなややこしいタイトルのゲームも発売されました。さらにはPCエンジンのCDロムロムにおいて『熱血高校ドッジボール部CD サッカー編』という、本当に何が何だかわけがわからないタイトルにまで発展したことも忘れられません。