とんねるず石橋貴明・木梨憲武と意外で深い関係!?映画『怪物』でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した坂元裕二はまだキャリアの頂点などではない?
『怪物』は長野の湖畔にある雑居マンションの放火事件から台風までの二人の少年達が起こした事件をめぐるミステリー風の人間ドラマである。
芥川龍之介の短編『羅生門』と『藪の中』を組み合わせて映像化した黒澤明の名作映画『羅生門』によって映画の文法になった
羅生門形式の構成で書かれたシナリオである。
この形式を黒澤明と開発したのが
橋本忍(1918~2018)である。
3人の証言が食い違う事件の真相に迫る方法は、厳密には『藪の中』にあった要素なのでそう言っても構わない。
日本語の慣用句として「藪の中」は迷宮入りで、実は原作では事件の真相は明かされていないので、やはり映画の「羅生門方式」で正しい。
(橋本忍 イラストby龍女)
この『怪物』の3人の視点は
シングルマザー麦野早織(安藤サクラ)
(安藤サクラ イラストby龍女)
小学校教師、保利道敏(永山瑛太)
(永山瑛太 イラストby龍女)
星川依里(柊木陽太)と麦野湊(黒川想矢)
(柊木陽太と黒川想矢 イラストby龍女)
の三者である。
詳しい内容は避けるが一点、指摘しておこう。
『怪物』のクライマックスに襲いかかる台風によって二人の少年の心が解放される描写がある。
明らかに相米慎二監督の金字塔
『台風クラブ』(1985)の影響下にあるそうだ。
あの映画では「普通でない人」は演劇部の女子高生だったが、少年を描くことに長けている是枝監督に合わせて設定が変わっているのだろう。
坂元裕二の才能が映画に向いてきたのは映画の方が変わってきたからである。
近年の傾向が、連続ドラマの形式に寄ってきたのが大きい。
ハリウッド映画で常にヒット作の上位にいるのが、マーベル映画である。
これは壮大な連続ドラマでもある。
それ以外にもシリーズ物の続編が映画館に観客を呼び寄せる興行の呼び物である。
この6月30日には筆者待望のインディ・ジョーンズシリーズの完結編が公開される。
今のTVドラマの脚本家のルーツの一人、山田太一はもう引退状態である。
連続ドラマの第一線をのいてからは単発ドラマを書くのがやっとであった。
また、坂元裕二も50代後半を向かえて、TVドラマの速報性には体力的にもついてこれないのではないかと思う。
映画界も坂元裕二の才能を求めている今、連続ドラマよりもしばらく映画のシナリオに専念するのが賢明な選択である。
カンヌ脚本賞受賞は、坂元裕二のキャリアの頂点などではない。
カンヌは世界の映画業界の見本市でもある。
彼はようやく映画の脚本家として認められた。その第一歩に過ぎない。
2024年に公開される次回作は
朝ドラのヒロインを務めた3人がタッグを組む。
広瀬すず(1998年6月19日生れ)
杉咲花( 1997年10月2日生れ)
清原果耶(2002年1月30日生れ)
が共演の『片思い世界』である。
監督は『花束みたいな恋をした』でもコンビを組んだ土井裕泰(1964年4月11日生れ)である。
彼の映画の原点は同じく広島出身の先輩、ディレクターズ・カンパニーのリーダーだった
長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』である。
坂元裕二は最初に思い描いた形ではないが、遠回りをしてようやく夢を続けられる光の道を歩みはじめた。
まるで『怪物』のラストシーンで少年達が二人だけの道を楽しげに走り去っていったように。
※最新記事の公開は筆者のFacebookとTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)
芥川龍之介の短編『羅生門』と『藪の中』を組み合わせて映像化した黒澤明の名作映画『羅生門』によって映画の文法になった
羅生門形式の構成で書かれたシナリオである。
この形式を黒澤明と開発したのが
橋本忍(1918~2018)である。
3人の証言が食い違う事件の真相に迫る方法は、厳密には『藪の中』にあった要素なのでそう言っても構わない。
日本語の慣用句として「藪の中」は迷宮入りで、実は原作では事件の真相は明かされていないので、やはり映画の「羅生門方式」で正しい。
(橋本忍 イラストby龍女)
この『怪物』の3人の視点は
シングルマザー麦野早織(安藤サクラ)
(安藤サクラ イラストby龍女)
小学校教師、保利道敏(永山瑛太)
(永山瑛太 イラストby龍女)
星川依里(柊木陽太)と麦野湊(黒川想矢)
(柊木陽太と黒川想矢 イラストby龍女)
の三者である。
詳しい内容は避けるが一点、指摘しておこう。
『怪物』のクライマックスに襲いかかる台風によって二人の少年の心が解放される描写がある。
明らかに相米慎二監督の金字塔
『台風クラブ』(1985)の影響下にあるそうだ。
あの映画では「普通でない人」は演劇部の女子高生だったが、少年を描くことに長けている是枝監督に合わせて設定が変わっているのだろう。
坂元裕二の才能が映画に向いてきたのは映画の方が変わってきたからである。
近年の傾向が、連続ドラマの形式に寄ってきたのが大きい。
ハリウッド映画で常にヒット作の上位にいるのが、マーベル映画である。
これは壮大な連続ドラマでもある。
それ以外にもシリーズ物の続編が映画館に観客を呼び寄せる興行の呼び物である。
この6月30日には筆者待望のインディ・ジョーンズシリーズの完結編が公開される。
今のTVドラマの脚本家のルーツの一人、山田太一はもう引退状態である。
連続ドラマの第一線をのいてからは単発ドラマを書くのがやっとであった。
また、坂元裕二も50代後半を向かえて、TVドラマの速報性には体力的にもついてこれないのではないかと思う。
映画界も坂元裕二の才能を求めている今、連続ドラマよりもしばらく映画のシナリオに専念するのが賢明な選択である。
カンヌ脚本賞受賞は、坂元裕二のキャリアの頂点などではない。
カンヌは世界の映画業界の見本市でもある。
彼はようやく映画の脚本家として認められた。その第一歩に過ぎない。
2024年に公開される次回作は
朝ドラのヒロインを務めた3人がタッグを組む。
広瀬すず(1998年6月19日生れ)
杉咲花( 1997年10月2日生れ)
清原果耶(2002年1月30日生れ)
が共演の『片思い世界』である。
監督は『花束みたいな恋をした』でもコンビを組んだ土井裕泰(1964年4月11日生れ)である。
彼の映画の原点は同じく広島出身の先輩、ディレクターズ・カンパニーのリーダーだった
長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』である。
坂元裕二は最初に思い描いた形ではないが、遠回りをしてようやく夢を続けられる光の道を歩みはじめた。
まるで『怪物』のラストシーンで少年達が二人だけの道を楽しげに走り去っていったように。
※最新記事の公開は筆者のFacebookとTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)