岡田将生・中井貴一主演の『ザ・トラベルナース』は『ドクターX』の2番煎じ?ドラマ内でも見られる医師と看護師あるあるとは?

2022/11/18 17:00 龍女 龍女

③看護師を下に見る医者がいる

天乃総合メディカルセンターの外科医で2番目の立場の古谷亘(吉田ウーロン太)は、深夜に患者が急変して仮眠中に看護師から電話がかかる。
何らかの処置をする判断を仰がなければならないときに、逆ギレしてすぐに判断を下さなかった。


(吉田ウーロン太が演じる古谷亘 イラストby龍女)

「天乃総合メディカルセンター」の院長の天乃隆之介(松平健)は、経営第一で、看護師や医師はすぐに変えられると思っている。
しかし、人を切り捨てられると思っている人は、いずれ他人からも切り捨てられる。
第6回では、看護部長(寺島しのぶ)が矢面に立たされることによって 、それが浮き彫りになるエピソードのようだ。

天乃隆之介には、後継者として内科医の天乃太郎(泉澤祐希)がいる。
いずれはトップになるプレッシャーで腹を下したりして悩んではいるが、プレッシャーで悩むよりも大事なところがある。
太郎が、リーダーとして致命的な欠点は看護師一人一人の名前を覚えていないところである。
「おい」「君」とか個人名を呼ばないことがいかに相手に対して失礼なことか。
これは社会人全体としても重要なスキルかもしれない。
ホテルのベルボーイは宿泊客の名前を覚える能力が求められる。
俳優の世界でも「座長」の立場になる主役級の俳優は、共演者以外にもスタッフの名前を覚えている人は間違いなくその役割を続けられることだろう。
木村拓哉や小栗旬が主役が出来るのはそういう一面もある。
おそらく、舞台で座長を務めることが多い松平健にもそういう面もあろう。
彼の場合は料理がうまいので、みんなに食事を振る舞う事で心を掴んでいる面の方が強調されやすい。


(松平健演じる天乃隆之介 イラストby龍女)

今回のドラマでは、外科医のトップである外科部長の神野博道(六角精児)がグルメ担当の役割を一手に担っている。

④女医の数がまだまだ少ないし、儲かる女医と損する女医がいる。
外科医達の中で、一番下の立場にいるのが郡司真都(菜々緒)である。
大学の医学部の試験で試験の合否判断で、男性の受験者と女性の受験者の間に不正があったことがニュースになっていた。
そもそも女医を採用する気がない育成する気もない大学の態度に呆れるが、女性と男性に学力の差はなく、そんなモノは個人差である。
さて、医師は儲かる商売だと思われるが、それは担当する科によって違うと言わざる得ない。
郡司は女医仲間の食事会に高級そうなホテルで集まっているが、その仲間の多くは美容整形をやっているように見受けられる。
これは美容整形は分かり易い病気を治療するためではないので、保険が利かないので高額医療費を患者から貰えるからだ。
儲かっている業種がすぐに分かるCMの世界では、医療関係の広告が多いのは圧倒的に美容整形だ。


(菜々緒演じる郡司真都 イラストby龍女)

⑤男性の看護師は女子力が高い
看護師の母によれば、男性の看護師には大きく二つのタイプに分れるそうだ。
いばりん坊と、女子力が高い細かいところに気がつく人だ。
主人公の那須田歩(岡田将生)は前者(料理上手なので後者の部分もある)、九鬼静(中井貴一)は後者に大きく分けられる。
実際、筆者が会った事がある男性の看護師は後者の女子力高めのタイプだった。
これは医師と看護師の仕事の内容の違いによる。
医師は患者の病気に対してどう治療を施すか判断するのが主な役割。
看護師は病気で不安になっている患者自体に寄り添うのが役割だ。
そもそも役割が違うからそこに上下を付けようとする態度自体がおかしい。

那須田歩(岡田将生)は元々医師になりたかったが母親を早くに亡くし経済的に貧しかったので看護師の勉強をしてアメリカでNPの資格をとった。
第5回で九鬼からその一番痛いところを突かれてしまう。


(中井貴一が演じる九鬼静 イラストby龍女)


実は看護師にむいている人の性格というのは、非常に俳優の資質に似ていることに気づいた。
俗に女優は男らしく、男優は女々しいと言われる。
過去に看護師を演じた人で思い出すのは、『ナースマン』(2002年1月~3月)の松岡昌宏
ごく最近では当コラムでも取り上げた『にじいろカルテ』(2021年1月~3月)の北村匠海である。


(『にじいろカルテ』の北村匠海 イラストby龍女)

この際だから、医者を演じるのも結構だが、今後はあらゆる男優達がナース役に挑戦してみてはいかがだろうか?

『ザ・トラベルナース』は、『ドクターX』の2番煎じではないだろう。
副主人公の中井貴一の役の方がこれまでの中園ミホの作品の主役感が大きい。
何より主人公が失敗して学んでいく過程を描く成長譚が軸として大きいので、
「私、失敗しないので」
の大門未知子(米倉涼子)とはむしろ対照的な存在である。


※最新記事の公開は筆者のFacebookTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4