『カムカムエヴリバディ』にも出演中の早乙女太一や梅沢富美男の他にも!?「大衆演劇」出身のアニメにも関わる意外な人物とは?

2022/2/3 22:00 龍女 龍女

下町の玉三郎・梅沢富美男
1982年にTBSの金曜ドラマで放映された市川森一脚本の『淋しいのはお前だけじゃない』 でドラマに初出演したのが、梅沢富美男(1950年11月9日生れ)である。
ドラマは大衆演劇そのものが題材として用いられた。
主人公の借金の取り立て人の沼田薫(西田敏行)が出会う、金融業者の愛人(木の実ナナ)が駆け落ちする旅役者の役だった。

1982年当時、梅沢富美男は兄の梅沢武生が座長の梅沢武生劇団の看板役者であった。
独学で確立した女形をマスコミが「下町の玉三郎」と記述するようになった。
女形の芸の最高峰である歌舞伎俳優の坂東玉三郎( 1950年4月25日生れ)にあやかったモノだ。

ドラマ出演をきっかけに本業である梅沢劇団の興業と並行してTV番組での露出が徐々に増えていく。

大衆演劇はこのドラマで取り上げられた当時すでに全盛期を過ぎていたという。
梅沢武生・富美男兄弟の父、梅沢清(1909~1983)が梅沢劇団を旗揚げしたのは1939年である。
戦争が終わった1945年から1953年(昭和28年)あたりまでは、身近な娯楽として楽しまれてきた。
全盛期の終わりは1953年に日本でNHKからTV放送が始まった事である。
ピークには全国に600あった芝居小屋が減少していったそうだ。
梅沢富美男の人気もあり、TVドラマに出演したが、皮肉にも大衆演劇の命脈を保たせたのも、TVの影響があったことになる。


(第1回向田邦子賞受賞作の『淋しいのはお前だけじゃない』の1シーンから イラストby龍女)

俳優としてTVドラマにも出るが、主に元々女形の前からやっていた三枚目の役柄の延長線上が多い。
2000年以降はバラエティーの露出も増え、TV朝日で放送されていた料理バラエティ『愛のエプロン』(1999~2008)では、料理の腕前を披露。
現在放送中のMBSの『プレバト!!』では、俳句の永世名人を獲得。
俳句のおっちゃんとして、親しまれている。
努力家ではあるが、自慢話が多い。感情に起伏が激しいなど面白い人柄ではある。
ただし「下町の玉三郎」と言う呼ばれ方には、何か含みがあるようだ。


(日刊スポーツ2018年2月21日付記事から引用 イラストby龍女)

大衆演劇の源流は、歌舞伎ではあるが、現在松竹が興行している大歌舞伎とは明治時代の半ばから枝分かれした経緯がある。
世襲制が根強い大歌舞伎の組織にとどまっていては梨園の御曹司たちが主役をとり続ける。
脇役しか与えられない状況に不満を持った弟子たちが独自に劇団を立ち上げた。
古典のみではなく新作の演目も演じて小規模ながら自分たちのやりたい芝居を続ける形態として誕生したのが、第二次大戦後、称するようになった名称が「大衆演劇」であるようだ。

その影響で女形の活躍も観られるが、男しかでない芝居を示す「野郎歌舞伎」と言う形態もとらず自由度が高い。
女性も出演できる。
次は大衆演劇出身の女性で、現在は別の分野に活躍する人を紹介しよう。

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