服部半蔵、柳生十兵衛を演じた「千葉真一」が数々のスター俳優を生み出した育て方とは?

2021/8/25 15:00 龍女 龍女

②80年代の千葉真一とJACが産んだスターたち。


(テレビドラマ『柳生十兵衛あばれ旅』より引用 イラストby龍女)

1978年に東映でオールスターキャストで作られた時代劇映画が萬屋錦之介主演の『柳生一族の陰謀』だった。
この作品は千葉真一が東映に出した企画『裏柳生』が素になっており、萬屋錦之介が柳生但馬守宗矩、千葉真一が長男の柳生十兵衛三厳を演じた。
柳生十兵衛は、将軍の剣術指南役の柳生家の嫡男でありながら、家光の勘気を被りお役御免とされ、放浪の旅をした伝説を持つ剣豪である。
これ以降、柳生十兵衛は、千葉真一の当たり役となり、TV版の『柳生一族の陰謀』や『柳生十兵衛あばれ旅』、映画では『魔界転生』でも同じ役を演じた。


(新・影の軍団 第参章 地雷火より引用 イラストby龍女)

もう一つの当たり役は、フジテレビ系関西テレビ制作の『影の軍団』伊賀忍者の頭領・服部半蔵だ。
家康が本能寺の変で堺にいたときに、明智光秀からの追っ手を逃れて本拠地の三河に戻ることになった。
海路では無く陸路の伊賀を山越えした。「神君伊賀越え」を先導した伊賀忍者を率いる武将が服部半蔵正成である。
実際は忍者の頭領では無く、伊賀の槍の達人の武将に過ぎなかったが、伊賀の忍者とパイプを持っていたのは事実である。
子孫は、代々半蔵を名乗ったらしい。

3代目半蔵の正就が改易されたという史実を元に、半蔵が江戸の市井の庶民になった設定で時の権力者と敵味方入り乱れて活躍する。
影の軍団は第1シリーズ(1980年4月~9月)から第4シリーズ(1985年4月~10月)までは火曜に22時、最終シリーズになった第5弾の『影の軍団 幕末編』(1985年10月~12月)は月曜日の22時に放送されていた。


(東スポの新聞記事より引用 イラストby龍女)

第2シリーズの『影の軍団Ⅱ』(1981年10月~1982年3月)から出演し始めたのが真田広之


(『大江戸捜査網』隠密同心風役の志穂美悦子 イラストby龍女)

志穂美悦子である。
1970年に千葉真一が設立したスタントもこなせる人材を育成する芸能事務所ジャパンアクションクラブ略してJAC所属の俳優であった。
この両者は角川映画で、主役(真田広之は『麻雀放浪記』、志穂美悦子は『二代目はクリスチャン』)を務めるなど、JACが生んだ最大の男優であり女優である。


(東スポの新聞記事から引用 イラストby龍女)

第4シリーズと第5シリーズには、伊原剛志が出演している。
伊原剛志は、朝ドラでは『ふたりっこ』(1996年)『花子とアン』(2014)、映画はクリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』(2006年)でバロン西こと1932年のロス五輪の馬術障害飛越の金メダリスト西竹一中佐を演じた。
近年でも忍者役で『超高速!参勤交代』(2014年)に出演し、殺陣を披露している。


(映画.comから引用 イラストby龍女)

堤真一は4年間JACに所属していた新人時代に真田広之の付き人をしていた。
現在は日本映画の主役級の俳優として欠かせない存在(2008年『クライマーズ・ハイ』2019年『決算!忠臣蔵』など)だが、付き人時代の経験から、真田広之とその時の共演者の佐藤浩市は共演NGだという。
アクションは、『SP野望篇・革命篇』(2010・2011年)や『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』(2014年)で堪能できる。

真田広之は特に2003年の『ラストサムライ』以降は海外を拠点に活躍しており、千葉真一が目指していたハリウッド進出を、1989年のJAC独立から徐々に実現していった。

最後に、千葉真一の晩年の活躍に触れて行きたいと思う。

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