服部半蔵、柳生十兵衛を演じた「千葉真一」が数々のスター俳優を生み出した育て方とは?

2021/8/25 15:00 龍女 龍女

③サニー・チバ
90年代以降の千葉真一は映画監督やJACを売却するなど、俳優としての活動以上に映画制作者としての側面が強くなる。
特に1990年代後半以降は拠点をロサンゼルスに移した。
1996年に再婚して26歳年下の夫人との間にもうけたのが、真剣佑と郷敦である(2015年に離婚)。

ハリウッド制作映画で最も有名な出演作品はクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビルVol.1』(2003年)で、役名も服部半蔵である。
タランティーノの千葉真一の熱烈ファンぶりは筋金入りだ。
海外での芸名はサニー・チバである。
脚本を担当したトニー・スコット監督の『トゥルー・ロマンス』(1993年)の主人公クラレンス・ウォリー(クリスチャン・スレーター)がサニー・チバのファンというキャラ設定に反映させている。

国内のテレビドラマで最後になったのは、BSプレミアムで放送された主演作『おわこんTV』(2014年)でコメディーだった。


(事務所提供の写真から引用 イラストby龍女)

前妻・野際陽子の娘で長女の真瀬樹里は父・千葉真一と大河ドラマ『風林火山』(2007年)で共演しており、忍者の役を演じるなど殺陣を得意とする。

「私は一報を受け、仕事後駆けつけましたが、最期に立ち会うことはできず…しかし、顔を見て、お別れと伝えたい事を言うことはできました。苦しんだとは思えないほど、穏やかな顔をしておりました。
(中略)生前お世話になった関係者の皆様、父を応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。父の遺した作品を、これからも愛し続けて頂けたら幸いです」
とコメントをツイッター上に公表した。

私は80年代以降の千葉真一しかリアルタイムに観ていない。
時代劇の印象が強いが、大河ドラマ出演は『風林火山』のみだ。
しかし放映当時、演じた武田信玄の傅役・板垣信方の壮絶な討ち死にの様子は評判を呼んだ。


(千葉真一芸能生活60周年記念祝賀会から引用 イラストby龍女)

殺陣がメインの時代劇以外でも、『できちゃった結婚』(2001年7月~9月フジテレビ)では元警察署長の頑固親父を演じるなどのコメディでもその独特のキャラクターを生かした活躍を見せた。

千葉真一は単に格闘やスタントが出来る俳優を育てただけで無く、歌って踊れる、どんな要求にも応えられる総合的に演じられる俳優を育てた。
それは、今も活躍する元JACのトップ俳優によって、証明されている。
それ以外でも、長男の真剣佑はいよいよ本格的にハリウッド進出する。
次男の郷敦も今は国内だが、海外進出する可能性は高いだろう。

本人が残した作品は、出演作品だけで無い。
一緒に共演したり育てた俳優たちも、千葉真一の大事な作品群である。


ご冥福を祈ります。


※最新記事の公開は筆者のFacebookTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4