アノ有名キャラを無断で〇〇して販売停止…サザエボン事件の顛末【平成レトロ】(1/2)
■ サザエボン誕生秘話
先日、私はAbemaTVのAbemaNewsチャンネルの報道番組『AbemaPrime』に出演いたしました。なんと自宅のコレクション部屋からの生中継で平成レトロを紹介したのです。番組の様子はAbemaビデオにて無料で観られますので、よければ以下のツイートからご覧ください(視聴できる期間がありますのでご注意ください)。
AbemaPrimeの「平成レトロを回顧」コーナーが、AbemaTVのビデオに単独で登場していました。無料でまるまる14分観られます。私は途中から出演。https://t.co/Thkj8MUgkF
— 山下メロ(平成レトロの人、平成文化研究家) (@inchorin) 2019年2月10日
視聴できる期間に制限があるのでお早めにご覧ください。#平成レトロ #紗倉まな #石井正則 #小川彩佳 pic.twitter.com/hBCazx50oz
この動画の中で少しだけ話題になったのが、私の部屋に置かれているサザエボンが少しだけ映り込んだことです。サザエボンを知らない人もいるとは思いますが、ざっくり言うとサザエさんと、天才バカボンのパパという有名な2つのキャラクターを合体させたものです。画像を見たほうが分かりやすいと思いますのでご覧ください。
こちらは1990年代半ばに登場したまさに平成レトロを象徴するようなアイテムです。サザエさんはみなさんご存知でしょう、長谷川町子原作の漫画で長寿アニメ番組の主人公。天才バカボンは赤塚不二夫原作の漫画です。アニメは古くからありますが、ちょうど平成に入って『平成!天才バカボン』というまさに新元号を冠した形でリニューアルしたアニメが子供に人気でした。
ダウンタウンの松本人志さんが発案者という説や、週刊少年ジャンプ内の読者投稿ページ「ジャンプ放送局」のNG大賞のコーナーなどの説もありますが、一番有力視されているのは大阪の阪急電鉄十三駅前西商店街で露店商をしていたTOY魔人というお店です。
TOY魔人ではハンドメイドで既製品を合体・加工したパロディ商品を売っていたそうで、その中の手塚治虫の『鉄腕アトム』のアトムと『サザエさん』の磯野波平を組み合わせた「鉄わん波平(鉄腕波平)」は商店街のシンボルとなり、一時期は商店街が「波平通り」として、立体の鉄腕波平が商店街の看板になっていました(2010年代には形だけ残してイラストはなくなっています)。
↑ TOY魔人が発祥の鉄腕波平
TOY魔人の売っていたパロディ商品の中で、特にサザエボンは何度もテレビで取り上げられるなど注目を集めます。その合体商品を見て、サザエボンや鉄腕波平を福岡県春日市の大成という衣料品会社が1996年に商品化しました。大量生産によって全国の土産店で売られるようになったのです。独自の流通経路を持つ当時の土産店には、パチモノやパロディ商品があふれていました。これがサザエボンブームの始まりです。
色々な商品の中で、基本のミニソフビキーホルダーを中心に爆発的にヒットしたため、翌1997年に長谷川町子美術館と赤塚不二夫、手塚プロダクションによって訴訟が起こされました。「大阪固有のギャグ、パロディー文化によってもたらされたもので著作権侵害の意図はない」といった反論がなされるなど注目を集めましたが、同年8月に東京地裁から販売差し止め命令が出ました。
↑ 左は背中にはちゃんとタイセイの表記がある。他人の著作権を利用しながらも、自分の権利はしっかりと主張するスタイル。右はコピー品か。
しかし販売差し止めになった頃にはサザエボンの韓国からのコピー品が大量に出回りシェアをほとんど奪っており、大成のものが販売中止になれども実際の流通量はさして変わらなかったと言われています。販売差し止めの余波もあり大成は2000年1月27日に破産します。
これが平成に、女子高生を中心にブームを作ったサザエボン事件の顛末です。ではさらにどんなパロディ商品があったのか見て行きましょう。