もうすぐオクトーバーフェスト!ミュンヘンも横浜も、カンディンスキーもモネも広重も、みんなつながっていた!?(バイエルン美術紀行3)

2018/9/14 09:00 yamasan yamasan
もうすぐオクトーバーフェスト!

9月もなかばになると気になってくるのが「オクトーバーフェスト」。
今ではすっかり日本の秋の風物詩となって、全国各地で開催されていますよね。
そして今年で15回目を迎えた横浜でも9月28日(金)から10月14日(日)まで、赤レンガ倉庫イベント広場で「横浜オクトーバーフェスト2018」が開催されます。


オクトーバーフェストは、1810年、ドイツ・バイエルン王国のルートヴィヒ皇太子とテレーゼ妃の成婚を記念して行われたのが始まりです。
ミュンヘンでも今年は9月22日(土)から10月7日(日)に開催されます。この間は市内のあちこちに巨大なテントが出現して、大勢の市民や観光客がビールのジョッキを傾けることでしょう。
(はじめは10月中旬に開催されていましたが、ミュンヘンは10月中旬ともなると寒くなるので、今では9月中旬から10月の最初の週末までの16日間開催されています。)

ミュンヘン市街




上の写真はデジカメのミニチュアライズ機能を使って新市庁舎の塔から撮影しました。本物のミニチュアっぽく見えるので、この機能、結構気に入っています。
エレベーターで昇った新市庁舎は、「新」とはいっても堂々この風格。


毎日11時と12時、3月から10月までは17時にも仕掛け時計が始まります。21時にはミュンヘン小僧がおやすみのあいさつに現れます。


玉ねぎの頭のような二つの塔が特徴のフラウエン教会も見えます。


(ルートヴィヒ皇太子は、のちのバイエルン国王ルートヴィヒ1世。「バイエルン美術紀行2」で紹介したアルテ・ピナコテークを創設した方です。「バイエルン美術紀行」のシリーズもぜひご覧になってください。)

バイエルン美術紀行1 「デューラーを見にドイツへ行こう!」

バイエルン美術紀行2 「大きなルーベンス、かわいいルーベンス、そして気になる『ルーベンス展』」

カンディンスキーと青騎士たち-レンバッハハウス美術館

さて、19世紀末のことになりますが、こういった華やかな雰囲気のミュンヘンに、モスクワからやってきた一人の法学者がいました。

その名も  ヴァシリー・カンディンスキー


カンディンスキー《コンポジションⅩ》(1939年 デュッセルドルフ・K20州立美術館蔵)

1896年、モスクワ大学法学部助手だったカンディンスキーは、この年モスクワで開催された「フランス美術展」で、モネの《積み藁》を見て、その自然の光を採りいれた明るく自由な色遣いに大きな衝撃を受け、心の内にしまいこんでいた絵心がむくむくと湧き出てきました。
そのときすでに30歳。「画家になるんだ!」との決意は固く、他の大学からの講師ポストの誘いも辞退して、当時ヨーロッパではパリと並んで芸術の都だったミュンヘンに飛び出してきたのです。

そこで今回のコラムでは、20世紀初頭にカンディンスキーをはじめ、アウグスト・マッケ、フランツ・マルク、ガブリエレ・ミュンターらを中心とした前衛的な芸術家集団「青騎士」たちの作品を数多く所蔵しているミュンヘン市立レンバッハハウス美術館を紹介したいと思います。

ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館の外観


「レンバッハハウス美術館」というと、同館が改修のため閉館している間、2010年11月23日から2011年2月6日まで三菱一号館美術館で「レンバッハハウス美術館所蔵『カンディンスキーと青騎士展』」が開催されたのでご記憶にある方もいらっしゃのるでは。
この展覧会の内容やカンディンスキーをはじめとした青騎士の仲間たちについてはTakさんの「青い日記帳」に詳しい解説がありますので、こちらをご参照ください。

青い日記帳「カンディンスキーと青騎士展」

さて、展示室をご案内しましょう。入ってすぐの部屋はフランツ・マルクのコーナー。


一番左には来日した《虎》も見えます。
一番右は「青騎士」の代名詞ともいえるフランツ・マルク《青い馬》(下のアップ写真)。


アウグスト・マッケ《トルコのカフェ》。なごみ系の作風に癒されます。


バイエルン・アルプスのふもとにある小村ムルナウ時代のカンディンスキーと仲間たち。このあたりまではまだ「なごみ系」ですね。


それでもムルナウ時代からカンディンスキーは抽象画の世界に足を踏み入れていきます。一番左はやはり来日した《山》。


「青騎士」の時代になると作品はさらにはじけていきます。中央は《インプロビゼーション19》。



「青騎士」以降の完全にはじけた、これぞカンディンスキーという作品は、戦後、ミュンヘン市が独自に蒐集したものです。


バウハウス時代の盟友、パウル・クレーのコーナーもあります。


京都国立近代美術館で開催中の「バウハウスへの応答」は前回のコラムで紹介しています。→京都・奈良 この秋、気になる美術展めぐり

ミュンヘン市立レンバッハハウス美術館
開館時間 火 10:00~20:00 水~日 10:00~18:00 月曜日は休館
入館料 一般 10ユーロ(ドイツ語か英語のオーディオガイド付) 
      18歳以下 無料 他



日本で見られるカンディンスキー

カンディンスキーやパウル・クレーの豊富なコレクションといえば仙台市にある宮城県美術館。
昨年、パナソニック汐留ミュージアムで開催された「カンディンスキーとルオー」展で、その所蔵作品の充実ぶりに驚かされましたが、同館ではコレクション展示でカンディンスキーやパウル・クレーの作品を見ることができます。

宮城県美術館「平成30年度第Ⅱ期コレクション展示」
会 期 6月13日(水)~9月30日(日)
休館日 月曜日(ただし9月17日、24日は開館)、9月18日(火)、9月25日(火)
開館時間 9:30~17:00(観覧券の販売は16:30まで)
料 金  一般 300円 大学生 150円 小中高校生 無料 他
(特別展の観覧券でコレクション展示も観覧可)


カンディンスキーとパウル・クレーの展示作品のテーマは各期ごとに設定されています。

第Ⅱ期 6月13日(水)~9月30日(日)     「ブリュッケの版画」
第Ⅲ期 10月3日(水)~12月24日(月・祝)  「カンディンスキーとパリ」
第Ⅳ期 2019年1月22日(火)~4月14日(日) 「バウハウスの版画」

コレクション展示では、同館所蔵の内外の近現代絵画が約100点ほど展示されているので、好きなテーマの時にふらりと仙台まで足を伸ばしてもいいかもしれませんね。


さて、オクトーバーフェストとカンディンスキーのお話はいかがだったでしょうか。

ここでこのコラムのタイトルに戻ります。

ミュンヘンはオクトーバーフェスト発祥の地。そして横浜は日本のオクトーバーフェストの老舗。これでミュンヘンと横浜はつながりました。

そして、モネの《積み藁》が人生の大きな転機になったカンディンスキー。
モスクワの「フランス美術展」でカンディンスキーが見た《積み藁》は、スイス・チューリッヒ美術館の《陽のあたる積み藁》で、実はこの作品、2014年に国立新美術館で開催された「チューリッヒ美術館展」で来日していたのです。

チューリッヒ美術館展チラシ これがカンディンスキーの見た《陽のあたる積み藁》
              ↓

さらに、モネは歌川広重の《東海道五拾三次之内 鞠子 名物茶店》の構図に影響を受けて《積み藁》の連作を描きました。とろろ汁の茶店と積み藁の形はそっくり!
歌川広重《東海道五拾三次之内 鞠子 名物茶店》

(これは復活した永谷園「東海道五拾三次カードフルセットプレゼントキャンペーン」で当たったカードです!応募期限は2022年1月31日。お茶漬けを食べて広重を当てよう!

これで、カンディンスキー、モネ、広重もつながりました!

めでたし、めでたしというところで、さあ、オクトーバーフェストに

プロスト(乾杯)!