大きなルーベンス、かわいいルーベンス、そして気になる「ルーベンス展」(バイエルン美術紀行2)
上野の国立西洋美術館を舞台に繰り広げられているルネサンス期の巨匠ミケランジェロとデューラーの競演はもうご覧になりましたでしょうか?
私はデューラーの版画を先に見てきました。画面下の川沿いの村の家々や広場に積み上がった材木まで細部にわたってきちっと描かれている《ネメシス(運命)》(下の看板の作品)はじめデューラーの版画はやっぱり見ごたえがありました。
ミケランジェロの大理石の彫刻も近いうちに見に行きたいと思っています。
ルネサンス期のイタリアとドイツの二巨匠の競演はこちらのコラムをご覧ください。
デューラーを見にドイツへ行こう!(バイエルン美術紀行1)
さて、ミケランジェロも楽しみですが、同じく国立西洋美術館で10月16日から開催される「ルーベンス展」も気になるところです。
(ルーベンス展チラシ)
ルーベンスといえば、大きな画面に筋肉もりもりの男性や肉づきのよい女性が躍動する大迫力の作品を思い浮かべますが、ルーベンス展公式サイト を見ると、大きな作品も来日するようですし、展示室前の広いロビーには「フランダースの犬」で知られた「アントワープの聖母大聖堂」が4Kで再現されるというので、今から楽しみにしています。
ルーベンスと「フランダースの犬」のお話はTakさんのコラムをご覧ください。
これはもう”事件”!?「ルーベンス展」開催で、あの名作アニメ「フランダースの犬」放送決定!
そして、ルーベンスのもう一つの顔が「かわいい絵のルーベンス」。
(ルーベンス展チラシ裏面)
2012年から2013年にかけて国内3か所で開催された「リヒテンシュタイン展」で来日した《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》(上のチラシの左上)に再会できるのもの楽しみです。
そういえば、国立西洋美術館の常設展示室にもかわいいルーベンスがいました。
(ルーベンス《眠る二人の子供》国立西洋美術館蔵)
ルーベンスといえば、私が最初に作品の大きさに圧倒されたのは、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークでした。
アルテ・ピナコテークには、12世紀から20世紀はじめにかけてバイエルンを支配したヴィッテルスバッハ家が蒐集した絵画コレクションのうち15~18世紀の名画が展示されています。その中でもルーベンスの作品群は、建物2階の中央にある「ルーベンスの間」にずらりと展示されています。
中央の作品は《最後の審判》。タテ約6m、ヨコ約4.6mの迫力の大画面です!
イタリア・ルネサンスのコーナーも充実しています。
下の写真の右から2番目はラファエロ《カニージャの聖家族》。
下の写真の左はフィリッポ・リッピ《受胎告知》、一番右はダ・ヴィンチ《カーネーションの聖母子》。
そして、エル・グレコ《聖衣剥奪》。
デューラーの作品は前回のコラムで紹介したので、こちらをご参照ください。
そして、うれしいお知らせ。
アルテ・ピナコテークは、4年以上にわたって改修工事を行っていたため、メイン展示会場の2階の一部の展示室が閉鎖されていましたが、7月3日から全面オープンしました。
10月まで「ルーベンス展」が待てないアートファンのみなさま、もし今年の夏、海外に行かれるのでしたら、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークがおススメです。
さらに全面オープン記念ということで、9月30日までの間、あのフェルメールの《手紙を読む青衣の女》(アムステルダム国立美術館蔵)が展示されるといううれしい特典つき!
アルテ・ピナコテークは、《手紙を読む青衣の女》の画像を公式サイト(ドイツ語)
のトップページに出して大々的に宣伝しています。同じヨーロッパの中でもフェルメールが来るのは「大事件」なのです。
この作品は、2011年12月から翌年3月までbunkamuraミュージアムで開催された「フェルメールからのラブレター展」で来日したので、ご覧になられたかたもいらっしゃるのでは。私も見に行きましたが、フェルメール作品が3点もそろった豪華な展覧会だったのでよく覚えています。
(フェルメール《手紙を読む青衣の女》 「フェルメールからのラブレター展」チラシ)
そしてもう一つ、お得なお知らせ。
アルテ・ピナコテークは月曜日閉館で、火曜日から土曜日までは一般7ユーロ(約910円)なのですが、日曜日はなんと1ユーロ(約130円)!
また、通常は開館時間が10時~18時なのですが、火曜日だけ20時まで夜間延長されます。
1ユーロをねらうか、夜間開館日にゆっくり見るか、旅行日程も考えどころです。
レジデンツ
ミュンヘン市の中心にあるヴィッテルスバッハ家の宮殿「レジデンツ」。
レジデンツの中のレジデンツ博物館にあるアンティクヴァリウムは圧巻!
バイエルン公アルブレヒト5世(1528-1579 在位1550-1579)が、蒐集した古代彫刻を飾るために造った広間がこの「アンティクヴァリウム」
ローマ時代の彫像がずらりと並び、天井や壁のフレスコ画も見事。
レジデンツが第二次世界大戦中の空襲で被害を受ける中、このアンティクヴァリウムは奇跡的に被害を免れました。
同じくレジデンツ内の宝物館には、きらびやかな財宝がいっぱい(写真はほんの一部です)。
レジデンツ内をじっくり見ていたら、一日あっても足りないくらいです。
ニンフェンブルク城
ミュンヘン郊外にあるヴィッテルスバッハ家の夏の離宮「ニンフェンブルク城」。
宮殿内のロココ様式の大広間シュタイネルナー・ザール
アルテ・ピナコテークを創設したルードヴィヒ1世(1786-1868 在位1825-1848)が理想とした美女36人の肖像画がかけられた「美人画ギャラリー」
ノイシュバンシュタイン城を建設したルードヴィヒ2世(1845-1886 在位1864-1886)が生まれた部屋
宮殿内だけでも見どころいっぱいですが、広い敷地内には馬車博物館、狩猟をしたときに休憩するアマリエンブルク城などがあって、こちらもじっくり見ていたら、一日あっても足りないくらいです。
ミュンヘンは一日あっても足りないくらいの見どころばかりですが、ピナコテーク(絵画館)はアルテ(古い)だけでなく、ノイエ(新しい)・ピナコテーク、ピナコテーク・デア・モデルネ(現代)があるので、時間がある方はぜひお立ち寄りください。
(ノイエ・ピナコテークのクリムト《マルガレーテ・ストンボロー・ヴィトゲンシュタインの肖像》
他にも20世紀前半にミュンヘンで活躍したカンディンスキーら「青騎士」の作品を多く所蔵するレンバッハ・ハウスがありますが、こちらは次回のコラムで紹介します。お楽しみに!
私はデューラーの版画を先に見てきました。画面下の川沿いの村の家々や広場に積み上がった材木まで細部にわたってきちっと描かれている《ネメシス(運命)》(下の看板の作品)はじめデューラーの版画はやっぱり見ごたえがありました。
ミケランジェロの大理石の彫刻も近いうちに見に行きたいと思っています。
ルネサンス期のイタリアとドイツの二巨匠の競演はこちらのコラムをご覧ください。
デューラーを見にドイツへ行こう!(バイエルン美術紀行1)
1 大きなルーベンス、かわいいルーベンスがやってくる!
さて、ミケランジェロも楽しみですが、同じく国立西洋美術館で10月16日から開催される「ルーベンス展」も気になるところです。
(ルーベンス展チラシ)
ルーベンスといえば、大きな画面に筋肉もりもりの男性や肉づきのよい女性が躍動する大迫力の作品を思い浮かべますが、ルーベンス展公式サイト を見ると、大きな作品も来日するようですし、展示室前の広いロビーには「フランダースの犬」で知られた「アントワープの聖母大聖堂」が4Kで再現されるというので、今から楽しみにしています。
ルーベンスと「フランダースの犬」のお話はTakさんのコラムをご覧ください。
これはもう”事件”!?「ルーベンス展」開催で、あの名作アニメ「フランダースの犬」放送決定!
そして、ルーベンスのもう一つの顔が「かわいい絵のルーベンス」。
(ルーベンス展チラシ裏面)
2012年から2013年にかけて国内3か所で開催された「リヒテンシュタイン展」で来日した《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》(上のチラシの左上)に再会できるのもの楽しみです。
そういえば、国立西洋美術館の常設展示室にもかわいいルーベンスがいました。
(ルーベンス《眠る二人の子供》国立西洋美術館蔵)
2 「ルーベンス展」を待ちきれないアートファンはアルテ・ピナコテークへ!
ルーベンスといえば、私が最初に作品の大きさに圧倒されたのは、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークでした。
アルテ・ピナコテークには、12世紀から20世紀はじめにかけてバイエルンを支配したヴィッテルスバッハ家が蒐集した絵画コレクションのうち15~18世紀の名画が展示されています。その中でもルーベンスの作品群は、建物2階の中央にある「ルーベンスの間」にずらりと展示されています。
中央の作品は《最後の審判》。タテ約6m、ヨコ約4.6mの迫力の大画面です!
イタリア・ルネサンスのコーナーも充実しています。
下の写真の右から2番目はラファエロ《カニージャの聖家族》。
下の写真の左はフィリッポ・リッピ《受胎告知》、一番右はダ・ヴィンチ《カーネーションの聖母子》。
そして、エル・グレコ《聖衣剥奪》。
デューラーの作品は前回のコラムで紹介したので、こちらをご参照ください。
そして、うれしいお知らせ。
アルテ・ピナコテークは、4年以上にわたって改修工事を行っていたため、メイン展示会場の2階の一部の展示室が閉鎖されていましたが、7月3日から全面オープンしました。
10月まで「ルーベンス展」が待てないアートファンのみなさま、もし今年の夏、海外に行かれるのでしたら、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークがおススメです。
さらに全面オープン記念ということで、9月30日までの間、あのフェルメールの《手紙を読む青衣の女》(アムステルダム国立美術館蔵)が展示されるといううれしい特典つき!
アルテ・ピナコテークは、《手紙を読む青衣の女》の画像を公式サイト(ドイツ語)
のトップページに出して大々的に宣伝しています。同じヨーロッパの中でもフェルメールが来るのは「大事件」なのです。
この作品は、2011年12月から翌年3月までbunkamuraミュージアムで開催された「フェルメールからのラブレター展」で来日したので、ご覧になられたかたもいらっしゃるのでは。私も見に行きましたが、フェルメール作品が3点もそろった豪華な展覧会だったのでよく覚えています。
(フェルメール《手紙を読む青衣の女》 「フェルメールからのラブレター展」チラシ)
そしてもう一つ、お得なお知らせ。
アルテ・ピナコテークは月曜日閉館で、火曜日から土曜日までは一般7ユーロ(約910円)なのですが、日曜日はなんと1ユーロ(約130円)!
また、通常は開館時間が10時~18時なのですが、火曜日だけ20時まで夜間延長されます。
1ユーロをねらうか、夜間開館日にゆっくり見るか、旅行日程も考えどころです。
3 ミュンヘンに行ったらこちらにもぜひ!
レジデンツ
ミュンヘン市の中心にあるヴィッテルスバッハ家の宮殿「レジデンツ」。
レジデンツの中のレジデンツ博物館にあるアンティクヴァリウムは圧巻!
バイエルン公アルブレヒト5世(1528-1579 在位1550-1579)が、蒐集した古代彫刻を飾るために造った広間がこの「アンティクヴァリウム」
ローマ時代の彫像がずらりと並び、天井や壁のフレスコ画も見事。
レジデンツが第二次世界大戦中の空襲で被害を受ける中、このアンティクヴァリウムは奇跡的に被害を免れました。
同じくレジデンツ内の宝物館には、きらびやかな財宝がいっぱい(写真はほんの一部です)。
レジデンツ内をじっくり見ていたら、一日あっても足りないくらいです。
ニンフェンブルク城
ミュンヘン郊外にあるヴィッテルスバッハ家の夏の離宮「ニンフェンブルク城」。
宮殿内のロココ様式の大広間シュタイネルナー・ザール
アルテ・ピナコテークを創設したルードヴィヒ1世(1786-1868 在位1825-1848)が理想とした美女36人の肖像画がかけられた「美人画ギャラリー」
ノイシュバンシュタイン城を建設したルードヴィヒ2世(1845-1886 在位1864-1886)が生まれた部屋
宮殿内だけでも見どころいっぱいですが、広い敷地内には馬車博物館、狩猟をしたときに休憩するアマリエンブルク城などがあって、こちらもじっくり見ていたら、一日あっても足りないくらいです。
ミュンヘンは一日あっても足りないくらいの見どころばかりですが、ピナコテーク(絵画館)はアルテ(古い)だけでなく、ノイエ(新しい)・ピナコテーク、ピナコテーク・デア・モデルネ(現代)があるので、時間がある方はぜひお立ち寄りください。
(ノイエ・ピナコテークのクリムト《マルガレーテ・ストンボロー・ヴィトゲンシュタインの肖像》
他にも20世紀前半にミュンヘンで活躍したカンディンスキーら「青騎士」の作品を多く所蔵するレンバッハ・ハウスがありますが、こちらは次回のコラムで紹介します。お楽しみに!