これはもう“事件”!?「ルーベンス展」開催で、あの名作アニメ「フランダースの犬」放送決定!
1975年に世界名作劇場として放映されたアニメ『フランダースの犬』。ベルギー・フランダース地方に、絵を描くのが得意な少年ネロと祖父ジュハン、そして愛犬パトラッシュとの慎ましい生活を描いた名作です。
最終話、ネロとパトラッシュがアントワープ聖母大聖堂にある祭壇画の前で息絶えるシーンは悲劇の結末の代表作として今でも語り継がれています。因みに最終話の視聴率は30.1%を記録したそうです!今ではとても信じられないお化けのような数字です。
ネロが今際の際で目に焼き付けた祭壇画を描いたのが、ピーテル・パウル・ルーベンス(Peter Paul Rubens 、1577年6月28日 - 1640年5月30日)です。画家を目指していたネロにとってルーベンスはまさに憧れの存在でした。
《ローマの慈愛(キモンとペロ)》ペーテル・パウル・ルーベンス 1612年頃
油彩/カンヴァス(板から移し替え)サンクトペテルブルク、エルミタージュ美術館 Photograph © The State Hermitage Museum, 2017
日本だと『フランダースの犬』の方が圧倒的に知名度が上ですが、ヨーロッパではその真逆。ルーベンスはバロックと呼ばれる壮麗華美な美術様式が栄えた17世紀ヨーロッパを代表する画家であり、後に「王の画家にして画家の王」と呼ばれたほどの存在なのです。
日本で人気の高い、印象派の画家たちやフェルメールよりもルーベンスが尊崇の念を抱かれているのには理由があります。
超人気画家という顔だけでなく、古典的知識を持つ人文主義学者、美術品収集家、外交官としても活躍(七ヶ国語を話せた!)してスペイン王フェリペ4世とイングランド王チャールズ1世からナイト爵位まで得ているのです。
《パエトンの墜落》ペーテル・パウル・ルーベンス 1604 / 05年 油彩/カンヴァス
ワシントン、ナショナル・ギャラリー Courtesy National Gallery of Art, Washington
ヨーロッパをはじめとし海外ではしばしば「ルーベンス展」が開催されていますが、日本ではこれまで数えるほどしかなく、以下に列挙した僅か5展のみです。
「ルーベンスの世紀展」(池袋西武百貨店)1969年
「ルーベンスとその時代」(北海道立近代美術館)1982年
「ルーベンス展―巨匠とその周辺」(日本橋高島屋他)1985年
「ルーベンスとその時代展」(東京都美術館他)2000年
「ルーベンス―栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」(Bunkamuraザ・ミュージアム他)2013年
「ルーベンスとその時代」(北海道立近代美術館)1982年
「ルーベンス展―巨匠とその周辺」(日本橋高島屋他)1985年
「ルーベンスとその時代展」(東京都美術館他)2000年
「ルーベンス―栄光のアントワープ工房と原点のイタリア」(Bunkamuraザ・ミュージアム他)2013年
海外の有名な美術館が所蔵していたり、作品が大きかったり、またはそもそも教会に設置されていて移動できなかったりと、ルーベンスの展覧会を開催するには幾つもの高いハードルを越えなければなりません。
現地へ行くしかないのか…と諦めてはいけません。神様はきっと助けの手を差し伸べてくれるものです。何と2018年10月16日から上野の国立西洋美術館で「 ルーベンス展ーバロックの誕生」が開催されるのです!
《キリスト哀悼》ペーテル・パウル・ルーベンス 1603年 油彩/カンヴァス ローマ、ボルゲーゼ美術館
過去に日本で開催されたルーベンス展はネーデルランドという地のコンテクストの中でルーベンスを見てきましたが、今回はイタリア美術の文脈から捉えていく、これまでにない「ルーベンス展」となります。
ルーベンスとイタリアの双方向の影響関係、つまりルーベンスがいかにイタリア文化(古典)を継承し、バロック美術の発展と発展に寄与したのかを見ていく展覧会です。「王の画家にして画家の王」はいかにして誕生したのでしょう。
国内では過去最大の「ルーベンス展」となりルーベンス作品がまとめて何と45点も観られるのです。これは「事件」と行っても過言ではありません。
《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》ペーテル・パウル・ルーベンス 1615-16 年
油彩/カンヴァス ウィーン、リヒテンシュタイン侯爵家コレクション
©LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna
「探しに来てくれたんだね、ありがとう。僕たちはいつまでも一緒だね。ずっと見たかった絵を見ることができて、すごく幸せなんだよ」
おっと、感動し過ぎて『フランダースの犬』ラストシーンのネロのセリフを口走ってしまいました。死亡フラグ自ら立てちゃいけませんいけません。
でも、どうしてもルーベンスと『フランダースの犬』は切り離せないもの。そこで「ルーベンス展」開催にあわせ、今秋、CS・TBSチャンネルにてアニメ『フランダースの犬』が放送されます。
大人になってから見るネロとパトラッシュの物語は、果たしてどのように感じられるでしょうか。大丈夫もう泣かないから!(でも、絶対泣くな…逆に。涙腺緩くなっているし……)
そして会場となる国立西洋美術館内ロビーに4Kカメラで撮影したルーベンスの大作「キリスト降架」他を原寸大に近い大きさで、聖堂内の空気感そのままで完全再現を試みるそうです。
今年の秋から冬にかけて「ネロとパトラッシュ」ごっこが激しく流行りそうな予感が。もちろん、自分もやりますよ~愛犬は連れて行けませんけどね。
「ルーベンス展-バロックの誕生」
会期:2018年10月16日(火)〜2019年1月20日(日)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
東京都台東区上野公園7の7
開館時間:9時30分〜17時30分
(金曜、土曜は20時まで。ただし11/17は17時30分まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし12/24、1/14は開館)、12/28〜1/1、1/15
主催:国立西洋美術館、TBS、朝日新聞社
後援:ベルギー大使館、イタリア大使館、ベルギー・フランダース政府観光局、BS-TBS、TBSラジオ
特別協賛:大和証券グループ
協賛:NISSHA株式会社、あいおいニッセイ同和損保、三井物産
協力:アリタリア、日本貨物航空、日本航空、日本通運、ルフトハンザカーゴ AG、
ルフトハンザ ドイツ航空、西洋美術振興財団
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