不謹慎とのせめぎあい…ヒロシマ・ナガサキの被爆建造物「ファンシー絵みやげ」(2/3)

2018/8/10 12:00 山下メロ 山下メロ


■ 広島と長崎の被爆建造物

原爆ドームは正式には広島平和記念碑という名称です。そして元々は広島県産業奨励館でした。爆心地のすぐそばにあったにも関わらず、様々な条件が重なりドーム部分は骨組みを残すなど、象徴的な外見となりました。政治的な意味も含めて賛否両論を受けながら保存され、今ではユネスコの世界遺産にも登録されています。


↑3色に塗り分けられたリアル描写の原爆ドーム。まわりには折り鶴。そしてPEACEFUL TOWN。

以前、隠れキリシタンを紹介した際にもいくつか長崎のファンシー絵みやげを紹介しました。広島と同じく原爆を投下されたという過去を持ち、修学旅行などで平和学習をしに多くの学生がやってくる長崎ですが、ファンシー絵みやげには被爆建造物が登場しません。

なぜなら長崎の爆心地は都市の中心部ではなかったことから、残存しやすい建造物が少なく被爆建造物が少なかったのです。そして爆心地にあった浦上天主堂の遺構は保存される方向で進んでいたのが一転取り壊されて建て替えられました。


↑長崎のファンシー絵みやげの背景は大浦天主堂が定番で、浦上天主堂のものは現時点では発見されていない。大浦天主堂も爆心地から離れているものの原爆投下時には被爆し、のちに修復されている。

こういった理由もあって長崎では被爆建造物など原爆関連の商品が見つかっていません。また、伴天連やシスターなどキャラクターのモチーフが豊富な長崎と、平清盛以外のモチーフがおらず、何かとカップルに頼りがちな広島との違いもあるのかもしれません。


↑平清盛キーホルダー。宮島ではシカや神主・巫女さんなどがモチーフとなることもあるが、ほとんどは厳島神社と関係の深い平清盛である。

    次へ

  1. 1
  2. 2
  3. 3