SEVENTEENは「乙女ゲーム」の世界なのがいい! :岸田メル(イラストレーター)【K-POP沼にハマった人たち 第3回】
今、K-POPアイドルやアーティストを好きな皆さんも、「K-POPにハマったキッカケ」はあったはず。あなたはどんな風に好きになりましたか?その理由ってどんなものでした?で、自分以外の誰かが、どうしてK-POPハマったのかって、ちょっと興味がありますよね?
この連載「『K-POP沼』にハマった人たち」は、K-POPの「沼」にハマったキッカケと理由を様々な業界で働くファンの方達にインタビューする企画。この連載も3回目を迎え、とうとう男性ファンの登場です!今回はイベントやテレビ番組のMCなどでも活躍をしているイラストレーターの岸田メルさんに登場していただきました。
▲岸田メルさんの作品。透明感のある女の子が印象的。(c)コーエーテクモゲームス
男性ありながら、最近はすっかりSEVENTEEN(セブンティーン、セブチ)にハマっているという岸田さん。どっぷりハマったきっかけはなんだったのでしょうか?
■仕事は関係なく、自分は常に「オタク」でありたい
ーー今ではすっかりK-POPにハマっていらっしゃいますが、その前はどんなことやモノが好きだったんですか?
岸田メル:
「今、僕はイラストレーターとして仕事をしていますが、もともとゲームやアニメが好きだったからイラストレーターになったんですね。ただ、こういう仕事についた結果、客側として作品に熱中する事が少なくなってしまって、それ以来あまりハマっているものがありませんでした。色々触れてはいるんですが、どうしても作り手側の事が気になってしまうんですよね。それ以外で言えば、お酒や買い物は好きでしたけど(笑)
(c)コーエーテクモゲームス
そんな風に仕事をしているうちに、30歳になって地下アイドルに出会ったんです。これもたまたま仕事で名古屋(岸田メルさんは名古屋在住)のローカルアイドルと共演して。正直、地下アイドルなんて大したことないって思ってたんですけど、甘く見てました。かわいいアイドルの女の子が、至近距離で頑張っている姿に萌えたんです。その姿が本当に可愛くて。そのアイドルについては、実はいまトピでコラムを書いているので、よかったら読んでください。
<岸田メルさんによる地下アイドル「OS☆U」のコラム>
・帰ってきたオタクの見る夢は ~岸田メルとアイドルについて~
それで、握手会に並んでみたんですけど、「本当にアイドルに触れていいの?」ってすごく緊張をして・・・。自分がそのシーンで緊張している状況が新鮮だったし、そんな風になっている自分が気持ち悪くて(笑)それがなんか楽しかったんですよね。それで、すっかり地下アイドルにハマったんですよね。それから今までずっと好きなままで。」
ーーじゃあ、アイドル好きの始まりは名古屋の地下アイドルだったと?
岸田メル:
「そうですね。そうやって『地下アイドル好き』を公言していると、地下アイドルと一緒にする仕事ももらえるようになってきました。でも、それとは別にアイドルオタクの文化が面白くて、その文化に触れたくて、自分からその世界に普通のオタクとしてどんどん入り込んでいきました。
仕事として地下アイドルの子達と近い距離にいることもあるけど、そうじゃなくて、自分は業界人というよりはオタク寄りなんで、後ろの方で腕組んでみているよりも、他のファンと一緒に前の方に行って『ワ~~~~!』って一緒に盛り上がるのが好き。そうしてたら他のオタクの人たちも信用してくれて、受け入れてくれるようになりました。」
ーーあ~~、なんかその気持ちはすごくわかる気がしますね。オタクであるからこそ楽しいことってたくさんありますよね。
岸田メル:
「もちろん、仕事で接していると裏側とか見えてくることもあるんですが、そういうのとは関係ないですよね。自分は、常にオタクでありたいって思うんです。」
■K-POPの入口は「宇宙少女」の「リアルシャンプー」ソンソだった
ーー地下アイドルが好きだったのに、どういう形でK-POPへ?
岸田メル:
「推しがアイドルをやめちゃったんですよね。日本のアイドルは今も好きですが、推しがいなくなったことで熱量が落ちちゃったのは確かで。入れ替わるみたいにK-POPのMVを見るようになって。タイミングとしてはたまたまなんですが、何か空いた穴にスッと入ってきた気もします。
あと、その前から韓国のイラストレーターとかカルチャーに興味があった、というのもありますね。韓国で日本のオタクカルチャーに寄ったイラストを描く作家さんは昔から沢山いて。さかのぼってみればそこから意識はしていました。
それ以外にも例えば、代官山のオシャレな雑貨屋さんに行ってパッケージが可愛い雑貨があったら、それが全部韓国製だったりするんですよ。それで色々調べているうちに、韓国人の見た目に対するものすごい自意識の強さとか、日本の若い女の子がオルチャンメイクみたいな韓国のメイクやファッションにすごく影響を受けている事を知って。とにかく、外見を重視するっていう執念のようなものを感じるんですよね。日本とはそこが全然違う気がします。どちらが良いってわけじゃないんですが、僕の仕事はあくまで見た目の表現ですから、そこに強い興味が沸きました。」
ーー韓国のカルチャーに興味が湧いてくる中でK-POPアイドルへ?
岸田メル:
「僕がK-POPアイドルにハマったキッカケは、『宇宙少女』のソンソです。ある掲示板で彼女のスレが立ってて、『リアルシャンプー(シャンプーは漫画「らんま1/2」の女性キャラクター)!』とか言って、すごく盛り上がってたんです。僕のK-POPの女子グループの記憶は、少女時代とKARAで終わってましたからね(笑)それで、どんななんだろう?と思ってMVを見たら、すごく良かったんです。
▲宇宙少女 - Secret (アイコンタクト ver.)
セクシー系の曲と、可愛い系の曲があったんだけど、セクシー系だけだったらハマらなかったけど、可愛い曲の方がすごく良かった!
そこから、毎日のように宇宙少女の動画を漁るようになって。もともとオタク気質ですから、彼女たちがどんなグループでどんな立ち位置にいるのかとか調べているうちに、他の女の子のグループとかも知るようになって。で、そこからどんどん宇宙少女にハマっていったんです。」
■SEVENTEENの持つ「乙女ゲーム」な世界がいい!
ーー最初は女の子のグループだったんですね。でも、なぜそこから男性グループのSEVENTEENへ?
岸田メル:
「宇宙少女の動画を漁っているうちに、彼女たちと同じ事務所の男性グループのMONSTA X(モンスターエックス、モネク)とコラボレーションしている動画に当たったんですよ。それで、宇宙少女とモネクが一緒に踊ってるのを見て、『モネク、超カッコいい~~~!!』ってなって、そこから男性グループを見るようになったんです。
▲ Y틴 (MONSTA X 宇宙少女) - Do Better(練習動画ver.)
そこからモネクの動画を見たり調べたりするうちに、『モネクと仲のいいグループにSEVENTEENがいるらしい…』と聞いてMVを見たら、ドハマり。」
ーーそのMVはなんだったんですか?
岸田メル:
「その時に見たMVは『万歳(マンセー)』でした。あのMVの世界観がすごく好きで。K-POPの男性グループによくある『俺たちカッコイイ』的な世界観ではなく、ちょっとコミカルで空気が柔らかいのがいい。
▲SEVENTEEN - 万歳(マンセー)
『万歳(マンセー)』のMVって『乙女ゲーム』なんですよ。主人公は『私』で、その私を好きになってくれる男の子たちがセブチなんです。もう最高ですよね。逆ハーレムなんです。しかも、このMVのヒロインはキレイなんですがわかりやすい美人ってわけじゃないのがいい。だから、そこに自分を投影できる。セブチのMVの世界は、女の子の夢の世界なんだと思います。それがいい!まあ、自分は男なんで投影してるのも変なんですが、仮に自分が女の子だったら、みたいな…」
■男の子同士が仲よくしているのが「萌える」のを、Kポで知った
ーーK-POPにハマって驚いたことってありますか?日本のアイドルと比べて…
岸田メル:
「そりゃ、いっぱいありますよね(笑)マスター(ホームマスター)の存在ももちろんだし、サイン会のボーダー(韓国のサイン会におけるCD購入の当選ラインのこと)とか。国が違うからルールが違うのはもちろんあると思うんですけど、それを知ること全てが面白かったですね。
ああ、あとファン同士の『ソンムル(プレゼント)交換』にも驚きました!(笑)みんな、ファンに配るためにいろんなプレゼント用意しているんですよね。僕なんか何も持ってないのに頂いたりして。ああいうのは地下アイドル時代にはなかったので驚きました。
あと、K-POPアイドルって男の子同士で仲がいいですよね。あれにも驚きました(笑)別に演技とかじゃなくて、男同士で友情関係を築いているのがすごくいい。
▲セブチの男同士の仲の良さを垣間見れるバラエティー番組「GOING SEVENTEEN」は必見かも
同居生活とか、日本ではあまりないし、ああいう友達関係は本当に羨ましいって思いますよね。僕は学生時代、同性と友情関係を築くのがあんまりうまくなくて、それがコンプレックスになってたりするので、なおさら憧れがあって。
もう一つ、同居生活にもつながりますけど、アイドルなのに宿舎とかプライベートを丸出しなのにも驚きました(笑)『こんなのところ見せてもいいの??』みたいな。宇宙少女の宿舎とか超汚いですからね。あれは、ちょっとしたカルチャーショックでしたね(笑)。それがいいんですけど(笑)。
▲宇宙少女の衝撃的な宿舎生活が見れるバラエティー番組
ーー今はすっかりCARAT(カラット:セブチのファンのこと)って感じですかね(笑)
岸田メル:
「そうですね。行けるライブには行くようにしています!サイン会だって、応募しますよ。5月のKCONでセブチと宇宙少女が来ましたけど、決まった時には彼ら彼女らが出る日に福岡で仕事が入ってて…。でも、どうしても見たくて、仕事を調整して飛行機に飛び乗って見に行きました(笑)もちろん、次の日本ツアーはできる限り全部行きたい!って気持ちです。
▲大きなSEVENTEENの看板のジョシュアと岸田メルさん
僕はセブチでは特にジョシュアとジョンハンが好きなんですが、彼らが仲良くしているのを見るのが特に好きなんですよ。でも、K-POPにハマるまでは、男の子同士が仲良くしてて萌えるなんてことがなかったのに、セブチにハマってからそれを知りました(笑)」
ーーこれからもK-POPのことは好きだと思いますか?
岸田メル:
「まだハマってから時間が浅いので。手探りで色々調べてるだけでも楽しくて、まだまだ先は見えないですね。僕の周りで男性でK-POPにハマっている人が全然いないんですよ。KCONでもカラットはほぼ女性でしたしね。だから、どんどん布教しようと思って、頑張ってます。
あとは、韓国に行ったことがないので行きたいですね。それと宇宙少女のサイン会には死ぬまでに一度行きたいですね!」
■男性でもハマる力を持つK-POPアイドルの魅力
▲日本でも発売されたSEVENTEENの「TEEN, AGE」を持って
K-POPにハマる前は地下アイドルにハマっていたという岸田メルさん。Twitterなどを見る限り、様々なイベントなどに出て忙しく飛び回っている有名人という感じですが、お話をしてみると私たちと同じ「オタク」で、ちょっと安心しました(笑)。オタクはどの世界でも通じあうものなんだなあ…。
男性でSEVENTEENのかなりのファンと聞いて会うのを楽しみにしていましたが、ここも性別関係なしで、好きになったらみんな同じだなということを感じました。セブチのことを熱く語る岸田さんは、私たちと全く同じでした。
お会いした日はネットでの生放送の前という忙しい中で合間を縫ってのインタビューでした。日本中を行ったり来たりしているという岸田メルさん。様々なイベントに参加しているので、興味のある方は、ぜひTwitterをチェックしてみてくださいね。CARATの人なら、ライブ会場で会えるかも??
それでは、また!アンニョ~ン♪
■岸田メル(Meru Kishida)プロフィール
イラストレーター。1983年9月3日生まれ。 ゲーム、アニメのキャラクターデザインを数多く手がける。2017年のPS4/psvitaソフト『ブルーリフレクション 幻に舞う少女の剣』ではキャラクターデザインに加え原案・監修を担当している。イラストレーター以外にも、テレビ・ラジオなど各メディアで活動しており、Eテレの小学3年生向け社会科教育番組『コノマチ☆リサーチ』に出演。
Twitter @mellco
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(取材・写真:西門香央里)