「被写体」としての2PM・チャンソンが沼への入口 :川合穂波(写真家)【K-POP沼にハマった人たち 第2回】

2017/11/9 11:00 西門香央里 西門香央里



今、K-POPアイドルやアーティストを好きな皆さんも、「K-POPにハマったキッカケ」はあったはず。あなたはどんな風に好きになりましたか?その理由ってどんなものでした?で、自分以外の誰かが、どうしてK-POPハマったのかって、ちょっと興味がありますよね?

この連載「『K-POP沼』にハマった人たち」は、K-POPの「沼」ハマったキッカケと理由を様々な業界で働くファンの方達にインタビューする企画。第1回目では、漫画家のえるたまさんに登場していただき、意外な過去をお話ししていただきました。第2回目は、広告業界を中心にプロのカメラマンとして活躍している川合穂波さんに登場していただきました。


▲川合穂波さんの作品。独特な妖艶な世界観

妖艶な美しさを持つ写真を多く撮る彼女は、どのようなキッカケで「K-POPの沼」にハマったのでしょうか?


■GACKTから始まった「美しいもの」が好きだった学生時代

ーー今、プロのカメラマンとして活躍していらっしゃいますが、K-POPにハマる前はどんなものが好きだったのですか?

川合穂波:
「小さい頃からテレビっ子で、毎日テレビばかり見ていました。で、小学6年生の時にテレビでGACKTの「鶺鴒」と「OASIS」のMVを見て、「なんて美しいんだ!」と衝撃を受けました。だから、最初に買ったCDはGACKTだったし、最初に行ったライブもGACKTでした。」

ーーその頃から「美しい」ものが好きだったんですね

川合穂波:
「そうですね。やっぱり美しいものが好きだったんだと思います(笑)

音楽的なところを言うと、最初はGACKTから入ったんですが、そのあとはマリリン・マンソンとか、Slipknotみたいなインダストリアルメタルにどんどんハマっていきました。中学生の頃にはすっかりそっちに。他にもRAMMSTEINとかSMASHING PUMPKINSとかも聞いていましたね。

▲Marilyn Manson - Long Hard Road Out Of Hell

洋楽が好きな人たちならわかると思うのですが、洋楽のバンドって基本的にリリースとリリースの間の空白期間が長いんですよね。2〜3年とかザラなんで。一つのグループだけにハマっていると、待ち時間が長くて気持ちが持たないんです。「ジャンル」で丸ごとハマらないと辛い。だから、幅広く、とにかくいろんなバンドが好きでした。

イギリスとか北欧とか、ニュージランドとか、いろんな国のバンドを聞いていたんですが、途中から「推し」ができてしまって(笑)アメリカのThe Usedというエモ系のバンドのメンバーだったんですが。「推し」ができちゃうと、他のバンドに興味がなくなってきちゃうんですよね(笑)」

▲The Used - Buried Myself Alive


■ハマったキッカケは美しすぎた2PMのチャンソン

ーーインダストリアルメタルからK-POPって、これまた面白い流れなんですが(笑)K-POPにハマったのはなぜ?

川合穂波:
「大学生の時に、そのアメリカの「推し」にハマってたのですが、なかなか活動もしないので心に隙間ができていたんです。さっきも話したように、「推し」ができちゃうと他に興味がなくなっちゃうので(笑)。

そんな中で、大学のゼミ活動がメインになってきて、その時に仲よかった子が韓国人が多かったんです。それで興味本心で「韓国って何があるのだろう?」とか思い始めて。韓国人の同級生から、あっちのアイドルの話とかたくさん聞いていたりしました。

あと、洋楽で仲よかった子がロキノン系が好きな子だったのですが、その友達たちがちょうど東方神起とか聞き出したんです。それがキッカケで自分もBIGBANGとかも聞き出して確か当時BIGBANGは全部英語版のアルバムがあって、「NUMBER 1」は英語なのでよく聴いてました。

▲BIGBANG - NUMBER 1

それで「最近、こんなのが流行ってるよね?」という感じで、韓国のアイドルの話をするようになったんです。あと、「INROCK」という洋楽専門誌にBIGBANGが載ってたりもして、洋楽っぽいな〜というのもあって。それから、他のグループを知るようになったんですね。でもその時はまだ「推し」はいなかったんです。」

ーーK-POPに「推し」ができたのは何がキッカケで?

川合穂波:

「最初の「推し」は2PMにというか、チャンソンにハマったのですが、それは本当にちょっとしたキッカケだったんですが(笑)

2PMのジェボムの脱退事件があった時に、韓国のファンとの話し合いの席が設けられたのですが、決裂しちゃったんですよね。その話し合いが行われた後に、何かのアワードに2PMのチャンソンとジュノが出たんです。それで、彼らが出てきた時にブーイングが起きて…。ジュノは気丈に振る舞ってたんですが、チャンソンが涙こらえてて…。その姿が美しくて、儚くて「はっ!この子をちゃんと見守ろう」と思ったのがチャンソンに落ちたキッカケでした。

▲2PM - Heartbeat

それから2PMを追いかけ始めて。そうしたら彼らの作るPVは面白いし、曲もいいし、ライブはかっこいいしで、どんどん好きになっていきました。それからも同じ事務所のJYPを中心にいろいろなグループを見てきましたけど、今でも「チャンソン、マジ女神」って思いますし。」


■チャンソンは私のミューズであり、インスピレーションの源

ーー今は広告などの写真を手がけるカメラマンですが、なぜカメラマンに?

川合穂波:
「私が商業のカメラマンになろうと思ったのは、「チャンソンが撮りたかったから」です。例えば、洋楽はバンドでDIYみたいなところがあるので、好きなバンドを撮りたいと思っても、職業的なものじゃなくてもなんとかなるところがあるんですね。でも、アイドルは違う。アイドルの場合は、ちゃんとした写真を撮るためには会社の采配があるので、仕事にしないとダメだと思ったんです。


▲穂波さんの作品。人物写真が本当に美しい

以前から、好きになった人たちとはファンじゃなくて一緒に仕事をする関係になりたいと思ってたんですよね。相手が商業的なら、自分も商業的にならなくちゃならないと。だから、カメラマンになったのは、「チャンソンを撮りたい」という気持ち一つです。まだ叶えられてはいませんが、絶対に撮りたいです。

自分がカメラマンなのもあると思いますが、グッズ集めよりも雑誌収集が主なんですね。日本や韓国の切り抜きをめちゃくちゃ集めてファイリングしています。推しが紙媒体でいい写真になるのがいいんです。ネットではなく、紙で見たいんですよね。だから雑誌を集めるんです。とにかく美しいものを紙の写真で見るのが好きなんです


▲今回持ってきてもらった雑誌。右下にある2PMの「カルバンクライン」の写真集はレアなものだとか

チャンソンは私にとっての「ミューズ」なんです。私の作品のインスピレーションの源で、美しいものの規範になっているんです。チャンソンにハマってしまった結果、彼以上にハマれるものはなくなってしまいました(笑)


■「ジェネリック」で音楽成分を摂取しつつ、2PMが戻ってくるのを待ちたい

ーーK-POPにハマってからは生活は変わったりしました?

川合穂波:
「やっぱり韓国にはいっぱい行くようになりましたよね。一番ハマってた時は大学院生で暇だったので、ソウルの安いモーテルに10日間くらい泊まったりとかして。コンサートも行ってましたけど、年末の歌謡祭とかに行くことも多かったです。寒空の中ずっと並んで待たなくちゃならないんですけど(笑)

あと、私は2PM以外に2AMも好きだったんですが、2AMが毎年クリスマスコンサートをやっていたので、それを見に行って、そして歌謡祭見て…みたいな。そうこうしているうちに韓国人の友達できたりして。そうそう、最初に行った2PMのコンサートは、FCの外国人枠で、最前列だったんですよ!今思えばすごい話です。」


▲貴重な2PMのグッズ!下にあるのは初ソウルコンで販売されていたエコバッグ(年季入っています)

ーーこれからもK-POPは好きだと思いますか?

川合穂波:
「好きだとは思うんですが、2PMというかチャンソンほどハマれる人がいないのも事実なんですよね。昔はU-KISSとかも好きだったんですけど、彼らは辛いことが多すぎて…私も辛くなってしまって。VIXXも一瞬ハマったりしましたが。


▲2PMのコンサートに行った時に撮った写真。背景は代々木第一体育館。

今は2PMがテギョンの入隊で活動を休止しちゃったんで、ちょっとお休み中です。やっぱり音楽ありきなので、音楽活動していないと…って思うんです。だから、チャンソンのことは好きですが、代わりになる「ジェネリックチャンソン」的な存在を見つけて、音楽成分を摂取しつつ、彼らが音楽活動をしてくれるのを待ちたいなって思います。」


■ハマったキッカケもそれぞれ違うから面白い!


▲一番気に入っているチャンソンの写真を幸せそうに見入っている

今回の川合穂波さんのインタビューは、幕張メッセでSEVENTEENやTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE、SUPER☆DRAGONが出演したライブイベントの帰りに行われ、アイドル達のライブ後ということで、かなりテンション高めでした(笑)

K-POPにハマる前はGACKTを好きになり、その後にチャンソンの美しさに惹かれたという話を聞いて、本当に美しいものが好きなのだなということを感じました。作品からは、彼女の独特な美的センスを感じられるものが多いので、ホームページで作品を見てみてくださいね。また、現在、作品集(写真集)出版のためのクラウドファウンディングを行っているそう。ぜひ、プロフィールからご覧ください。

そんな川合穂波さんですが、以前はファンアートも描いていたとかで、2PMの貴重なイラストも提供していただきました。今もたまに描いているそう。


▲チャンソンのキャラ、バナナの「チャンナナ」

「チャンソンが商業カメラマンになるキッカケだった」という話をを聞いて、何かを強く好きになることが大きな力になって、そしてそれに向かっていくエネルギーを発するものなのだなというのをひしひしと感じました。「オタクパワー」って時にはとてつもなく大きなエネルギーになるものなのですね。

それでは、また!アンニョ〜ン♪


■川合穂波(Honami Kawai) プロフィール
東京藝術大学先端芸術表現科学部、修士卒。現在広告写真家と並行して作家活動を行う。絵画を写真に、写真に絵画を組み合わせる独特のスタイルで注目される。作品に一貫したテーマは象徴と信仰。
website http://honamik.info
twitter https://twitter.com/seifenschale
instagram https://www.instagram.com/honami_kawai/

■現在行っているイベント
クラウドファンディング・11/30まで
写真家 川合穂波 初作品集「Symbolisme」制作プロジェクト
https://greenfunding.jp/lab/projects/2003

展示・11/12まで(12日にトークイベントあり)
http://www.pola.co.jp/special/pola_talkersmuseum/


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(取材・写真:西門香央里)