あなたの知らないヴィンテージ時計の魅力

2017/10/18 12:40 ブーストマガジン ブーストマガジン

文:水谷祐司

 ヴィンテージ時計と聞くと、有名ブランドの何十万、何百万円もする時計を思い浮かべる方が多いと思います。また「すぐ壊れるんじゃないか」「壊れたら修理できないんじゃないか」と不安に思う方も多いでしょう。たしかにそういう時計もあります。しかしヴィンテージ時計の世界をよく見てみると、数万円で購入できる素晴らしいもの沢山あり、また皆さんが想像しているほど修理が大変でないこともわかると思います。

 ということで今回はヴィテージ時計の魅力と、知っておくべき特徴や注意点などについてお送りしたいと思います。興味のある方は是非一読ください。(なおここでは100年以上前のものをアンティーク時計、クォーツ時計が登場する70年代直前までの60年代までのものをヴィンテージ時計と定義しています)


OMEGA(オメガ) シーマスター120(キャタピラブレス)

最大の魅力は“一期一会”と“絶妙なサイズ感”

 もともと現行品に比べると生産量が圧倒的に少なく、さらに経年変化によって同じモデルでも文字盤の焼け具合やケースの傷などのコンディションが一本一本異なる、すべてが「一点モノ」。買い逃せばまったく同じモノを手にすることはほぼ不可能と言ってもいいでしょう。それだけにヴィンテージ時計は“一期一会”。出会って一目惚れしたら前向きに購入の検討をすることをおススメします。

 あとワタクシが個人的に気に入っているのがサイズ感。現行品のサイズ径(リューズ除く)が軒並み40mmを越えているのに対し、ヴィンテージ時計のそれは、ほぼ30~35mm程度(同)。現行品と比べるとボーイズかレディースサイズに見えます。しかし身長が180cm以上あり筋骨隆々の体躯の方であれば現行品のサイズでも似合うと思いますが、典型的な日本人体系のワタクシには大きすぎる。まるで小学校に入学したての子供が背負っているランドセルのよう。それに比べるとヴィンテージ時計のサイズ感は大きすぎず小さすぎずピッタリなところが、ワタクシがヴィンテージ時計を好んで選ぶ理由の一つです。

 また大金を費やさなくても、数万円で買えるヴィンテージ時計は山ほどあるので、コンディションやデザイン、年代や身に付けた時のフィット感などにこだわって分相応のものを購入することをおススメします。


HAMLTON(ハミルトン) USN BUSHIPS(Cal.987S)

一攫千金はご法度。信頼のおける国内の専門ショップで購入を

 世の有名オークションを覗くと、なかには販売価格を大きく上回る驚くほどの高値で競り落とされているヴィンテージ時計があります。しかし一攫千金を狙って、素人がいわゆる「お宝探し」をするのは無理だと思った方がいい。ネットオークションなどで相場を大きく下回る価格のヴィンテージ時計は、ほぼ間違いなく偽物か、あるいはジャンクと呼ばれる不動品など何かしらトラブルを抱えているものがほとんど。骨董品の世界同様、素人が手を出すと火傷をするので気をつけましょう。

 また、主にヨーロッパなどで頻繁に開催されているフリーマーケット(蚤の市)に出品されているヴィンテージ時計は、自分で修理できない、あるいは信頼できる修理店が身近にない場合は購入を控えた方がいいでしょう。海外の場合、ヴィンテージ時計専門ショップで取り扱っている時計でも、なかには“修理不可能”なものもあったりするので、購入するのであれば国内の専門ショップをおススメします。

 購入するショップは、オーバーホールの体制がしっかりしているところを選びましょう。機械式時計の場合「オーバーホール」は絶対不可欠。使用しているとオイルの劣化や埃の混入は避けられないので、定期的に分解掃除や新しいオイルの注入などが必要となります。時計を購入する際は出来ればオーバーホール済みのものを、さらに購入後もきちんとオーバーホールに対応してくれるショップで購入するのが一番安心です。(ショップによっては購入決定後にオーバーホールをするところもあり、その場合は3週間から1ヶ月程度期間を要することもあるので事前に確認を)

 もしオーバーホールに対応していないショップで購入した場合は、修理専門店にお願いしましょう。


ENICAR(エニカ) トリプルカレンダー

ヴィンテージ時計の天敵は「水」「衝撃」「磁気」

 ヴィンテージ時計と聞くと「壊れやすいんじゃないか」「部品が無くて修理できないんじゃないか」とおっしゃる方も多いと思います。しかしヴィンテージ時計の修理は皆さんが考えているほど実は大変ではありません。古い時計ほどムーヴメント(機械)はシンプルな構造で、さらに部品一つ一つが当時の職人さんの手作りによって製造されているので、摩耗したり壊れたりしたら代用品を作ればいいだけ。それなりの工具があれば部品を作ることができるので、修理はそれほど大変ではないのです。

 ちなみにヴィンテージ時計の最大の天敵は「水」。1926年にロレックスが初めて本格的な実用防水ケースを発表して以来、多くのメーカーが防水機能を実装していますが、ゴムパッキンの経年劣化などにより、ヴィンテージ時計の場合はすべて「非防水」と考えた方が無難。手を洗う時は必ず外し、汗をかいたら水分を拭き取るなどのマメなケアが必要です。また「衝撃」にも弱いので、ゴルフなどのスポーツをするときも外した方がいいでしょう。

 さらにパソコンや携帯電話、テレビやスピーカーなど強い磁気を発するものの近くには絶対に置かないこと。磁気の影響を受けて時計が正確に稼働しなくなってしまいます。30cm以上離しておけば心配はないので、常に気をつけましょう。


Rolex(ロレックス) オイスター Ref.3121 Cal.710

 さて今回の「あなたの知らないヴィンテージ時計の魅力」特集は、如何でしたでしょうか?これから秋冬を迎え紅葉の季節になると、枯れたヴィンテージ時計がよく似合います。大人なら一本持っていて絶対に損はないと思うので、是非楽しみながら探してみてください。

 なお下の関連記事で、私物のヴィンテージ時計ご紹介や、個人的に信頼しているショップや修理店を紹介していますので、興味のある方はそちらも是非ご覧ください。

 次回の記事は1ヵ月後に掲載する予定です。引き続き持っているだけで気分がアガるファッショングッズやビジネスグッズなどをご紹介していきますので、お楽しみに。


LeCoultre(ルクルト) デイデイト(cal.412)

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