電気グルーヴが「よしはる」を繋ぐ…「ファンシー絵みやげ」で振り返る将棋(1/2)

2017/9/1 12:00 山下メロ 山下メロ


お久しぶりです。平成元年あたりのカルチャーを発掘調査している山下メロと申します。80年代とも90年代とも違うその時代を、平成レトロとして愛好しております。



当連載では、80年代から平成初期に流行した「ファンシー絵みやげ」から、当時の流行を紹介していきたいと思います。「ファンシー絵みやげ」とは80年代からバブル経済期~崩壊を挟んで90年代まで、日本の観光地で若者向けに売られていた、かわいいイラストが印刷された雑貨みやげのことです。



「ファンシー絵みやげ」については連載第一回をご覧ください。

■ 2017年の将棋ブーム

ここ最近、将棋が連日ニュースで取り上げられていたことがありました。15歳の最年少棋士・藤井聡太四段が歴代新記録の公式戦29連勝を打ち立てたためです。連勝はストップしてしまいましたが、NHK杯テレビ将棋トーナメント2回戦で森内俊之九段に挑む前日の9月2日にはEテレで特集番組が組まれるなど、相変わらず注目されています。

藤井聡太四段 29連勝記念ミニ屏風発売のお知らせ
↑29連勝を記念してミニ屏風が発売された。

今年6月にはひふみんこと加藤一二三名人の引退も話題となりましたね。

では、ファンシー絵みやげが流行していた1980年代から1990年代の将棋文化はどうだったのでしょうか。

■ 1980年代の有名棋士

アイドルや芸能活動をする女流棋士なども多数いましたが、中でも実力を伴って人気だったのは羽生善治さんでしょう。1985年のプロ入りから活躍し、1996年には初の7タイトル独占を成し遂げました。羽生名人はタレントグッズとも呼べる商品まで作られたのです。


↑顔が似ているのかは分からないが、メガネと着物でなんとなく判断ができます。下のパーツがなくなっているがスタンプだったと思われる。


↑ 下に将棋の駒がついており、丁寧に「はぶ」と書かれている。名前が書かれていれば完全に羽生名人と分かる。


↑下は鉛筆削りになっています。

■ ファミコンの中の将棋

まずは当時の流行を知る手がかりとしてファミコンソフトにおける将棋を見てみましょう。いくつか将棋ソフトは発売されていますが最初に発売されたのが1985年セタから発売された「内藤九段将棋秘伝」です。今でもAIとの対戦が話題になっていますが、このソフトではプログラミングで人間と対戦しているように作っていながらも、相手はロボットのビジュアルで描かれているところが特徴的です。

↑ロボットの手が駒をさしている細かさ。この効果音が耳に残ってる人も多いのでは。

■ 音楽の中の将棋

演歌では村田英雄さんの「王将」が有名ですが、1990年代の将棋ソングで思い出すのはユニコーン在籍中にABE・Bこと阿部義晴さんがリリースしたシングル『+OR-』のカップリング曲「SHOWGI MASTER」ですね。羽生善治に対して、同じ「よしはる」繋がりでしょうか。作詞にソニーの後輩である電気グルーヴを起用しているのも印象的でした。

↑クレジットが個人名でないのも、「電気GROOVE」の認知度を上げたいという意図が見えます。

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