激うま ミドリムシのラーメン【麺屋 六感堂】

2017/3/7 17:00 ブーストマガジン ブーストマガジン



これまで「しょうがラーメン」「牡蠣ラーメン」と紹介してきたラーメン好きの筆者。しかし不惑を過ぎ、脂ギトギト系のラーメンは食後や翌日がシンドイ。そんな年齢となった。

できれば体にやさしい、かつ、しっかりと食べごたえのあるラーメンが食べたい。そんなワガママな考えを巡らせていたところ、ラーメンに詳しい職場のE氏が、「健康に良さそうで、しかもおいしいラーメンがありますよ。ちょっと変わっていますけどね」と教えてくれた。栄養補助食品として有名なミドリムシ=ユーグレナを使用した、やさしいラーメンがあるらしい。

もしかしたらこのお店は、健康は気になるがラーメンが食べたい私たちの救世主になるのではないかと感じ、食べに行くことにした。

ユーグレナって何だ?

ミドリムシといえば、小学生のころ理科の教科書で目にしたことがあるのではないだろうか?顕微鏡で見たことがある人も多いと思う。

それだけメジャーなミドリムシだが、どのように活用されているかを知らない人も多いのではないだろうか。

ミドリムシは藻の仲間。光合成で栄養を作り出せるが、細胞を変形させて移動するなど、動物と植物、両方の特性を備えた不思議な生き物だ。体長はわずか0.05mmだが、その小さな体の中にはアミノ酸やビタミン、ミネラルなど、59種類にも及ぶ豊富な栄養素を含んでいるらしい。そのため、医療用や栄養補助食品として、注目を集めることになった。

そして、2005年にはミドリムシの研究・開発を行う株式会社ユーグレナがミドリムシの屋外大量培養に成功し、実用化が次々に進んでいくことになったのだ。

麺屋 六感堂とは

話をラーメンに戻そう。この麺屋 六感堂さんは2014年に池袋に誕生した比較的新しいお店だ。ラーメン激戦区として知られる池袋で人気を得ている新進気鋭のラーメン屋さんなのだ。

その特徴はなんと言っても緑輝く、ミドリムシを練り込んだ自家製麺。そして無添加無化調、さらに動物系の出汁は一切使用していない。ミドリムシに無添加無化調とくれば、体にやさしいことこの上なかろう。しかし、気になるのは味。「体にやさしい」は大切だが、添加物や化学調味料が味のアクセントとして役立つのも事実。アッサリしすぎていると、物足りない。

事前に集めた情報だと、おぎやはぎのラジオで矢作さんが絶賛していたらしい。というのも店主はなんとお笑いコンビのおぎやはぎ・矢作さんの同級生。筆者は矢作さんがけっこう好きだ。その矢作さんが、アッサリしていることは認めながらも「ウマイ」と言ったのだ。これは期待が膨らむ。

いざ、麺屋 六感堂を訪問

人気店ということを考慮して、開店の11時に間に合うように出発。池袋で降りると東口へ。首都高に突き当たるまで進み、国道254号線の沿線に麺屋 六感堂はあった。池袋駅からはおよそ徒歩8~10分といったところか。

店の外観がこちら。



筆者はラーメン屋らしい、のれんの下がった店構えを想像していたために、一度通り過ぎてしまった…それはまるでカフェのような佇まい。よく見ると、おぎやはぎのチラシのようなものも貼ってある。

店内に入ると中のレイアウトは厨房をぐるりと囲むコの字型のカウンターで、一度に15人ほどは座れるだろうか。

開店してすぐ、ということもあって、店内にお客さんは一人。よかった、並ばずに食べられる。



一番人気という「塩グリーン麺ゆずみつば」(写真下)の食券を買い、着席。ミドリムシ入りのグリーン麺は塩のみに使われる。

ちなみに、店長がなかなかのイケメンで少々緊張してしまった。だが話してみるととても気さくな人だった。「イケメン店長がいるよ」言えば、妻もラーメンに付き合ってくれるかもしれない。

さて、ラーメンを待つ間にテーブルの上に置かれた調味料をチェック。



香味油に胡椒、七味、そして柚子胡椒。中でも気になったのは香味油。こちらも自家製らしく、ラーメンに入れると味が変化するのだとか。これは後で試してみよう。

ラーメンを待っている時間はものの数分だったのだが、その間にもお客さんがどんどんやってきて、カウンターはほぼ埋まった。早めに来てよかった。麺屋 六感堂に行くなら開店と同時がおすすめだ。

そして、到着したラーメンがこちらだ。



透明なスープに、白いチャーシュー、三つ葉。香りづけにゆずの皮をすりおろしたものが少々。あとはメンマと紫玉ねぎが細かく刻んで浮かんでいる。 スープの中の緑色の麺とあいまって、色合いが非常にキレイだ。これは女性受けもよさそうな感じ。

まずはスープをひと口。

スープは魚介系で取った出汁。うまみを強く感じるが、それでいて主張しすぎることはない絶妙な塩味。そこにほのかに柚子の香りが漂う。この上なく繊細なスープだ。一つ一つの要素が出しゃばりすぎず、それでいて互いに支えあっている。

しかしそれと同時に、無添加無化調、さらに塩味、ということもあって、豚骨などこってりしたラーメンがお好みの方には少しパンチが弱いかもしれない。だが、アッサリながらもしっかりとしたコクがある。確かに最初の一口目はおとなしいラーメンと感じるかもしれないが、口に運べば運ぶほど、あとを引く。



次に、最大の特徴であるグリーン麺。いったい普通の麺とどう違うのか。ミドリムシが入っているからといって、青臭さなどはなかった。味わいは普通の麺と特段変わらない。中太ストレート麺で、特徴としてはかなりもちもちとした食感だ。これがミドリムシのなせる技だろうか?

麺と同じくらい気になったのはこの白いチャーシュー。



なんでも、グリーン麺と合わせるために改良を重ねたもので、脂身の少ない部位をじっくり低温で長時間仕上げているとか。時間をかけて作っているおかげか、熟成された高級ハムのように、噛むたびにジューシーな肉汁があふれだしてきて口の中いっぱいに広がる。しばし目をつむって味わう。これはいいものだ。

半分ほど食したところで、最初に気になった香味油を投入。

すると・・・

入れた途端コクがより一層強くなり、より出汁のうまみや塩味の輪郭が際立ってくる。

例えるなら、優男風な人が上半身裸になったら腹筋が6つに割れていた。そんなギャップだ。

・・・かえってわかりにくい例えになったかも。反省。

そのほかにも、合間に清涼感を与えてくれる三つ葉、シャキシャキの食感で麺の食べごたえにアクセントを付けてくれる刻みタマネギなど、掛け合わせの妙を堪能。そして最後には七味を投入。するとより柚子の香りが濃厚になりお蕎麦っぽい雰囲気に変身。最後まで味の変化、食感の変化を楽しみながら完食することができた。


完食。この透明なスープがうまい!

まとめ

無添加無化調、動物性出汁も使用しない、さらにユーグレナと、これ以上ないほど健康的な組み合わせのラーメン。なのに、味はしっかりと人を虜にする魅力を持っている。これなら、ラーメンは好きだけど健康が気になって足が遠のいているオヤジ達には朗報だろう。実際、筆者は大盛り無料の言葉に反射的に「大盛りで」と言ってしまったのだが、ペロリと平らげた。それでいて、胃がモタれるようなこともない。

これだけ体に優しくて、かつインパクトのあるラーメンにはそうそう出会えないと思う。ラーメンを食べるときに感じる、あの密かな罪悪感。あれを一掃してしまうだけの安心感がここにはあった。

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