どうする小栗旬?『鎌倉殿の13人』と吉田鋼太郎演出の『ジョン王』を終えて、余計なお世話ですが…

2023/5/29 17:00 龍女 龍女

第41回(2022年度)の向田邦子賞は、三谷幸喜の『鎌倉殿の13人』に決まった。


(三谷幸喜 イラストby龍女)

5月23日に授賞式が行われ、出演者が29名が祝福に訪れた。
小栗旬を始めほぼメインキャストが揃った豪華な会になった。
一人だけ欠席を余儀なくされたことはあまり大きい声を上げられない辛い出来事でもあった。

その人物とは、北条義時の義兄の源頼朝(大泉洋)を平家討伐へ導いた怪僧・文覚を演じた
四代目市川猿之助(1975年11月26日生れ)である。
既にご存じの方も多いと思うが、5月18日に自宅で両親を道連れに無理心中を図り一人だけ生き残ってしまった。
復帰の予定は未定で、恐らく裁判にかけられてしばらくは俳優活動は困難だろう。
週刊誌で弟子や役者仲間にセクハラ・パワハラの疑いがあるという記事を公表され、すぐに発生した事件であった。
この前の年に、従兄弟に当たる香川照之(市川中車)が銀座のホステスをパワハラした証拠の写真が公表され、香川照之名義の俳優活動は未だにストップしている。
俳優以外にも、昆虫をモチーフにしたアパレルブランドの企業も興して軌道に乗り始めたかにみえた矢先の出来事であった。
猿之助率いる澤瀉屋(おもだかや)は歌舞伎人気を一般層から取り組む努力をしてきた。
しかし、コロナ禍の観客減少の後遺症が今になって現れたような形になっている。

市川猿之助と香川照之は優秀であったが故に、
「中年の危機(ミドル・クライシス)」を甘く見積もってしまい、自分の体力が引き受けられる仕事以上の責任を抱え込んでしまった。
過労のために飲酒の席で大きなミスを犯し、大事な仕事を失った。

俳優の仕事は、アスリート並に過酷な面があり、十分な休養もとらずにそのストレスの解消を飲酒に頼ると、肉体を擦り減らす危険性がある。
酒に含まれるアルコールは揮発性の物質であり、水分補給になるどころか脱水症状を起こして筋肉をつるリスクが増大する。
十分な筋肉への水分補給を甘く見ると、疲労の回復を損ない、精神的な余裕もなくなり、前向きな発想を失わせていく。
(過度の飲酒の影響の話であって、全否定するモノではない。
筆者の母方の曾祖母は毎日湯呑み一杯で103歳まで長生きし、従兄は一日500mlの発泡酒を6本飲んで50歳で糖尿病で死んだという極端な例を観たからだ)

歌舞伎俳優の飲酒トラブルは本人の責任ばかりとは言えず、松竹の歌舞伎興行の予定表が梨園の貴公子達に過大な労働環境を課してる構造上の問題もあると、筆者は考える。
売れっ子歌舞伎役者は忙しすぎる問題を松竹は真剣に考えて対策する時代に入ったのだ。
主役が出来る役者の数を増やして、事件防止の一定のルール作りをした方が良いのではないか?


小栗旬は、80年代生れの日本人俳優のリーダー的存在である。
ついには、所属事務所のトライストーン・エンタテイメントの次期社長という大仕事が待っている。
自分で管理できる地位を獲得できそうである。
だから大河ドラマの主役をした後は、今後の俳優活動に支障が来さないためにも、現時点では俳優の仕事は一旦棚にしまう必要がある。
慣れない社長業を覚える時間を最優先に仕事を続けて欲しい。

それが一人の人間が抱えきれる責任を果たす堅実な行動だから。


※最新記事の公開は筆者のFacebookTwitterにてお知らせします。
(「いいね!」か「フォロー」いただくと通知が届きます)
  1. 1
  2. 2
  3. 3