既にオスカー確実?世界のファッションを変えたバスケットシューズ、エア・ジョーダンの誕生秘話を描いたマット・デイモン主演の映画『AIR』は必見なワケ

2023/4/14 17:00 龍女 龍女

ナイキは、1964年にフィル・ナイト(1938年2月24日生れ)とビル・バウワーマンによって、オニツカタイガーの販売代理店として創業した。
本社は、オレゴン州ビーバートン近郊にある。
1970年代になると、オニヅカタイガーとの契約が切れ、技術者を引き抜いて独自の路線を歩み始める。
フィル・ナイト(ベン・アフレック)はジョギングが好きだったので、ナイキは当初ランニングシューズのトップメイカーだった。


(ベン・アフレック演じるフィル・ナイト イラストby龍女)

ソニー・ヴァッカロ(1939年9月23日生れ。マット・デイモンが演じる)はバスケ部門のスカウトだった。
全米の高校のオールスターゲームを設立して有望なバスケ選手を数多く発掘してきた。


(マット・デイモンが演じるソニー・ヴァッカロ イラストby龍女)

1984年以前のバスケットボールシューズのシェアは1位はコンバース54%、2位がアディダスが29%、ナイキは17%だった。

ソニーは当初25万ドルの予算で3人のバスケット選手と契約しろと言われていた。
しかし、彼はラスベガスでルーレットに1つの番号に全て賭ける様なギャンブラーである。
ソニーは、ノースカロライナ大学のマイケル・ジョーダン(1963年2月17日生れ)の動きをビデオで何度も繰り返し観ていくうちに、彼一人に賭けるべきだと判断した。
バスケ部門のマーケティング担当のロブ・ストラッサ-(ジェイソン・ベイトマン)とフィル・ナイトを説得して、マイケル・ジョーダンと交渉することにした。
しかし、マイケル・ジョーダンはシューズはアディダスを愛用しており、契約したがっていた。
そこで、ソニーはマイケルの母親、デロリス・ジョーダン(ヴィオラ・デイヴィス)と直接会う為に、ノースカロライナの自宅を訪ねる。


(ヴィオラ・デイヴィス演じるデロリス・ジョーダン イラストby龍女)

選手の家族に直接会うのはルール違反でスポーツエージェントのデヴィッド・フォーク(クリス・メッシーナ)にキレられてしまう。
しかし、これまでのスポーツ選手とスポーツメイカーとのスポンサー契約とは違う画期的な内容を、ソニーはプレゼンした。
これは、ソニーがたまたまテレビで観ていたテニス選手のアーサー・アッシュ(1943~1993)が出ていたラケットのCMをヒントに提案したモノだった。

バスケットシューズを選手にはいて貰うのでは無く、選手をイメージしたバスケットシューズを売り出す。

名前はシューズをデザインしたピーター・ムーア(1944~2022)が名付け親の
エア・ジョーダン

靴の色は、マイケル・ジョーダンがドラフト3位で入ったチーム、シカゴブルズのチームカラーをイメージした赤と黒と白の配色。
バスケットボールシューズの色は51%以上白でないと罰金を取られる規定があったが、白よりも赤の配分を多くした。
毎回NBAに罰金を取られても宣伝になるからと思い切った判断をした。

契約内容として、デロリスが加えることを主張したのが
「靴の売り上げの利益を選手に配分すること」
これも画期的な契約で、これ以降靴の売り上げで選手の生活も保障されることになった。
マイケル・ジョーダンは引退して20年経った今でもエア・ジョーダンの売り上げで年間多額の報酬を得ている。
エア・ジョーダンが売れたことで、2018年時点でナイキのシェアは70%になったそうだ。
ナイキは、2003年7月にコンバースを買収した。


さて映画の方は、マイケル・ジョーダンの母親デロリスを演じたヴィオラ・デイヴィスが良くて、既にオスカーの助演女優賞の候補ではないかと評判である。

筆者は来年のオスカー授賞式の司会者は、今年と同じジミー・キンメル(1967年11月13日生れ)と予想している。


(ジミー・キンメル イラストby龍女)

「今夜ゲスト予定だったマット・デイモンにお詫びします。時間切れとなってしまいました」
と言うジョークがショーの終わりの定番の人物であるが、マット・デイモン本人が式の会場にいて何かの賞のプレゼンターに選ばれたら、どんなやり取りをするのか?
楽しみで仕方が無い。


筆者は、残念ながらエア・ジョーダンは履いたことがないが、この映画の中でさりげなく紹介されていた、コンバースのオールスターもアディダスのスーパースターも購入して履いていた。
どうしてバスケットボールシューズがバスケットボールをしない人間にも大きな影響を与えて大衆文化の一部になったのか?
歴史の一端を知ることが出来て興味深い内容だった。

よく分かる内容なので、是非観て欲しい。
スポーツ企業で働くおじさん達のやりとりがとにかく面白い。


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