観たい庵野秀明作品は、こういう絵面じゃない!池松壮亮主演、浜辺美波・柄本佑共演『シン・仮面ライダー』の問題点とは?

2023/3/31 17:00 龍女 龍女

まず良かった点は、ヒロイン・緑川ルリ子を演じた浜辺美波(2000年8月29日生れ)。


(浜辺美波 イラストby龍女)

庵野秀明作品によく登場する綾波レイ的な感情の起伏が乏しくて切ないキャラクターが良く似合う。
朝ドラ『らんまん』のヒロイン役が非常に楽しみになった。

仮面ライダー第2号の一文字隼人役の柄本佑(1986年12月16日生れ)も良かった。


(柄本佑 イラストby龍女)

彼の飄々とした物言いが仮面ライダー第2号に合っていたからだ。

しかし、これは仮面ライダーが等身大サイズのヒーローだったせいで、庵野秀明の得意技が封じられていたことが筆者にとっていまいちだった結果になった。
庵野秀明はアニメーター時代、宮崎駿の名作『風の谷のナウシカ』の中で巨神兵を担当したことで有名である。

とにかく庵野秀明作品で一番面白いのは
巨大サイズの人型の生き物が暴れ回っている姿なのである。
『シン・ゴジラ』も『シン・ウルトラマン』もそれが観られたが、今回の作品にはそれがない。

巨匠あるあるとして
「本人が本当にやりたい作品と、観客にウケる作品が違う」
事がある。
例えば、マーティン・スコセッシ(1942年11月17日生れ)は
『最後の誘惑』(1988)とか『沈黙』(2016)などの宗教映画に力を入れていた。
しかし、観客が一番観たい監督作品は
『グッドフェローズ』(1990)
『カジノ』(1995)
『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)
『ディパーテッド』(2006)
のようなギャング映画である。

庵野秀明が手がけたシンシリーズの中で面白いとされているのが、一番思い入れのない『シン・ゴジラ』なのは皮肉な話で、ウルトラマンと仮面ライダーは好きすぎて元ネタに忠実すぎるのが面白さを半減している。
庵野秀明監督作品の面白さはクライマックスで巨大生物同士の格闘をちっぽけな人間が見上げるように観てるカメラアングルに全てがつまっていると思っている。
次回作はそれが沢山観たい。


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